「モバイル点検・検針ソリューション」の導入事例 パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社

自分でつくるモバイル点検スタイル
~NFCチップにタブレットをかざすだけで点検項目を一発表示~

  • 紙やバインダーはもう要らない  現場に携行するのは片手に収まる『TOUGHPAD』1台
  • Excelで編集する電子帳票  作業員の経験・ノウハウがいかされ、項目の重複・漏れも防止
  • 日々蓄積される点検データを使った傾向分析で予防保全へ

オフィス業務の電子化・ペーパーレス化が進む一方、“紙とペン”スタイルが根強く残っている点検・保守の現場。パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、同社)の大阪府門真市にある拠点では、このたび、原動設備の日常点検業務に『NFC点検システム』を導入。パナソニックグループのセンサやデバイス技術、そしてIoT・ICTのノウハウを掛け合わせたモバイルソリューションで、ワークスタイル変革をスタートさせた。業務品質向上と同時に作業環境の安全性向上などの効果が生まれてきている。

自分でつくるモバイル点検スタイル

自社技術のNFCを設備管理に応用

京阪本線西三荘駅の北側一帯に広がるパナソニックグループの工場・オフィス群。グループ内で通称“西門真”とよばれているブロックに同社は立地し、約9万㎡の敷地には、工場・オフィス施設などの主要施設が25棟ほどある。
前述の原動設備とは、電気や工業用水・飲料水などのエネルギーを供給するために必要な発電機・変電所・ボイラ・コンプレッサ・蒸気設備・給水設備などを示す。同社 総務・施設部 建屋原動管理課は、ライフラインである西門真の原動設備を適切に管理し、エネルギーを安定供給することがミッションである。

「こちらでは、6名の点検作業員が在籍し、常時3名が交代制で出勤。土日祝日、お正月も休みなく、点検業務に従事しています」(同社 和田氏)

「ベテランがもつデータベースはものすごい量。OJT主体の現場作業では、マニュアルにはほとんど頼ることがなく、人から人に知識とノウハウを伝えています。また、第二種電気主任技術者などの難関資格などにも意欲的にチャレンジし、日々スキルを磨いていこうという風土が根付いています」(同社 山本氏)

経験豊富な作業員がくまなく巡回・点検を行い、設備管理を支えている同社。今回ソリューションを導入したきっかけは、『保有技術であるNFCの技術を自社で活用してみよう』という内側からの働きかけだったという。NFC(Near Field Communication)とは、交通系ICカードなどにも搭載されている無線短距離通信技術で、同社はNFCチップの開発・製造、デバイス・システムへの組み込みに実績を持つ。この働きかけを受けた建屋原動管理課ではすぐに検討を開始した。

「NFCとデバイス・アプリを組み合わせて使うことで設備点検業務の合理化につなげることができる、と判断した私たちのチャレンジを総括の宍野が強力に後押ししました」(和田氏)

「ともすると、設備管理の仕事は守りに入りがちですが、私たちは今回のNFCの利用を一つの新しい変化のきっかけとしてとらえました」(山本氏)

こうして、自社技術を軸にした変革が始まった。

ナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 総務・施設部 施設担当 総括 宍野 政文氏

パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
総務・施設部 施設担当
総括 宍野 政文氏

パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 総務・施設部 建屋原動管理課 原動管理係 係長 和田 敏一氏

パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
総務・施設部 建屋原動管理課 原動管理係
係長 和田 敏一氏

パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 総務・施設部 建屋原動管理課 山本 恭平氏

パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
総務・施設部 建屋原動管理課
山本 恭平氏

打ち合わせと作業予定

事務所で点検作業員と打ち合わせを行う山本氏。事務所のホワイトボードには、作業予定がぎっしり書き込まれている。

現場担当者ならではのアイディアがいきるモバイル点検

同社が紙の点検シートとペンの後継として選んだのは、パナソニックの頑丈タブレット『TOUGHPAD FZ-X1』と、コムシス株式会社が開発を行う点検ソフト『Mobile Inspect』。そして、西門真20エリアに対し、IDが書き込まれた95個のNFCチップが貼付された。作業員がNFCチップにタブレットをかざしてIDを読み取ると、必要な点検項目を検索して画面に表示する仕組みになっている。同社では、作業員への負荷を考慮し、とてもシンプルな操作方法を選んだ。作業員は表示された項目順に入力を行うが、チェックボックスを使った状態選択が中心で、テンキーを使った数字の入力はあるものの、文字入力を行うことはほとんどない。

◆『NFC点検システム』導入による業務手順の変化

『NFC点検システム』導入による業務手順の変化

とはいえ、“紙とペン”スタイルが長く続いた現場で動揺はなかったのだろうか?

「最初は、『紙に比べて、タブレットの画面が見にくい』、『操作がよく分からない』といった不安の声もありましたが、私も現場に付き添い、その場で作業員からの質問に答えながら操作に慣れてもらいました。結果的には、OJTから1週間で定着できました」(山本氏)

「そうですね。タブレットをNFCチップにかざすと点検項目が表示されるので、迷わずに操作できるようです」(和田氏)

作業員にとってもメリットは多い。

「以前は、雨が降ると、右手に傘とペン、左手に点検シートを挟んだバインダーを抱え、とてもやりにくそうに書き込んでいました。それに、雨で文字がにじんで読めないこともたびたび・・・また、高所にある設備点検は、はしごの上り下りがあるので、安全面で心配がありました。でも今は、タブレットをタップするだけで入力は完了します。それに、腰につけたホルスターやポケットにタブレットを収納しておけば両手が使えるので安全です」(山本氏)

「全ての点検項目が常にタブレットに入っているので、何十種類もある中から対象設備に該当する点検シートを選ぶ手間もなくなりました」(和田氏)

もちろん、作業品質の向上という効果もある。同社の設備では、多いものでは200の点検項目があるそうだが、必要項目だけを画面に表示し、スクロールしながら順番に確認することで、点検漏れ・抜けの低減につながっているという。

TOUGHPAD FZ-X1

『TOUGHPAD FZ-X1』

ホールド力と耐久性、持ち運びしやすいサイズ感などを考慮し『TOUGHPAD FZ-X1』を採用。粉じんや水の浸入を防止する保護構造で、屋外でも雨風を気にせず作業可能。また、強い太陽光下や暗所でも視認性を確保。

ところで、NFCチップの貼付には、ちょっとした工夫が入っている。

「どの位置にタブレットをかざせばいいのか、ひと目で分かるように、ラインで表示しています。これは、作業員のアイディアです」と、山本氏は語った。

点検項目は多岐にわたる

点検項目は多岐にわたる

緑のラインに合わせてタブレットをかざす

緑のラインに合わせてタブレットをかざす

今では、作業員自ら電子帳票を編集

『Mobile Inspect』では、帳票の編集(点検項目の修正・追加・削除)をExcelで行うため、プログラミングなど特別な知識は必要ない。
作業完了後は、事務所にあるPCとタブレットを接続し、ボタンをクリックするだけで保存されたデータを転送できる。よって、点検シートのデータ入力作業も不要である。
Excelで点検シートを作成している企業も多いが、『Mobile Inspect』なら、Excelデータをそのまま流用できるので、現在の点検シートに近い感覚で電子帳票に移行できる。

「初回導入時だけ私が帳票作成を対応しましたが、今では作業員が自分で帳票を編集。自分たちが現場で使いやすいように、項目や表示順を決めています」(山本氏)

現場・業務の流れを熟知した作業員のノウハウがそのまま帳票にいかされている。また、かつては、気づかずに同じ点検シートを複数作ってしまった、点検項目が重複してしまった、といった無駄もあったが、デジタル化されたことで、すぐに発見し、改善できるようになったそうだ。
なお、今後は、タブレットのカメラ機能を使って撮影した設備の写真を『Mobile Inspect』に保存することで、錆つきなど経年劣化の状態を把握する、といった使い方もできるのではないかと、同社では考えている。
こうして西門真の点検業務は、“紙とペン”から、“モバイル”点検スタイルに変わることができた。多くの企業に対し、点検業務におけるICT・IoTの活用を提案しているパナソニック ソリューションテクノロジーでは、作業員が使いやすい方法と環境を一番に考えること、そして、それを形にできるツールと技術が業務変革には不可欠であると考えている。

給水管理表の編集画面とタブレットでの表示画面

給水管理表の編集画面とタブレットでの表示画面

まったく同じ現象はない――人の判断力が重要

和田氏によると「似ていることはあっても、まったく同じ現象が発生することはない」設備点検の世界では、メーターなどで管理されている数値だけではなく、音やにおいから異常を検知したり、錆の進行度合いなどの外観変化から状態を判断したりすることも多いという。つまり、経験者自身が数十年かけて蓄積したデータベースだからこそ、適切な状況判断に応用できるのだ。
同社では作業員のかけがえのない経験知を活かし、設備の安定稼働につなげるために現場の無駄や不安を取り除き、業務に集中できる環境を提供している。

一方、同社では、『Mobile Inspect』に日々蓄積されていく点検データが予防保全のヒントにつながるのではないかと期待を寄せている。

「異常が発生し、過去の紙の点検シートを見直していたところ予兆に気づいた、という経験があります。でもこれからは、データベース化された情報を使って予兆を検知し、クイックアクションにつなげたいと考えています」(和田氏)

3tボイラ ガス使用量

予見により部品を早めに入手して交換するなど、先手先手の対策が打てる、と考えている同社では、すでに、山本氏が中心となり、データ分析を始めている。

「作業員の点検方法の傾向など、少しずつ分かってきたこともあります。ただし、単にグラフ化すればいいということではなく、気温・湿度の相関関係や負荷バランスなど、現象の要因を多角的にとらえたうえで、グラフが何を示しているのか読み取ることが必要です」(山本氏)

さらに山本氏は、今後はVBAを活用することで分析の確度・深度を広げようと考えている。このように、同社では、現場を知り尽くした人がもつ知識・経験とデータの力を合わせて活用することで、設備点検業務の質をさらに高めていこうと考えている。
最後に宍野氏に今後の展望について伺った。

「西門真は当社の重要な本部拠点です。この本部での取り組みを通じて得た管理手法を国内外の拠点に広げて管理値の見える化を図ると同時に、日常の設備点検・管理業務に忙殺されている従業員の働き方革新の一助になればと思っております」

新しい“モバイル”点検スタイルを水平展開していく構想がすでに始まっている。

【納入企業プロフィール】パナソニック株式会社 オートモーティブ & インダストリアルシステムズ社

パナソニック株式会社 オートモーティブ & インダストリアルシステムズ社ロゴ

車載事業、BtoB事業をグローバルに展開しているパナソニックの社内カンパニー。自動車のネットワーク化・エレクトロニクス化、工場やオフィスの省・蓄エネ化、さらにIoTを活用したインダストリー4.0の加速など、社会・産業のニーズをとらえ、デジタル家電開発・製造を通じて培った高度な技術をデバイス・システム開発に応用し、さらにメンテナンスまで含めたソリューションで事業成長を追求。

※ 本文中に記載されている内容は、2016年11月の取材時点のものです。

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