「生産現場向け業務改善ソリューション」の導入事例 株式会社ユーシン精機様

世界最高クラス オーダーメイド産業用ロボットの検査工程を見える化
~グローバルな視点で小さく始めるICT革新。日本のモノづくり最前線、実況中継~

  • “ユーシンブランド”を支える徹底した検査。品質はそのまま維持し、デジタル化に成功
  • ネガティブノウハウこそ大切に。タブレットは検査員の“気づき”連絡帳
  • 一目瞭然のデータビジュアライゼーションで製造・検査・物流まで「つながる工場」

インダストリー4.0に象徴される、モノづくり改革が注目される今、プラスチック射出成形品取出ロボットの世界的メーカー、株式会社ユーシン精機(以下、同社)は、プル型生産による高効率経営で業績を伸ばしている。同社ではこのたび、検査工程のICT化に着手。ユーシンブランドをさらに盤石なポジションへと導く本改革について、同社、製造本部 製造部 検査課 責任者の江副光治氏、同課の藤村勇太氏にインタビューした。

品質は物言わぬ最大の営業

世界最速の取出タイム0.27秒を誇る新型取出ロボット「HSAシリーズ」をはじめ、数々の業界初、業界最高品質の産業用ロボット開発で世界的に有名なユーシンブランド。

株式会社ユーシン精機 製造本部 製造部 検査課 責任者 江副光治氏

株式会社ユーシン精機
製造本部 製造部 検査課
責任者 江副 光治氏

株式会社ユーシン精機 製造本部 製造部 検査課 藤村勇太氏

株式会社ユーシン精機
製造本部 製造部 検査課
藤村 勇太氏

ユーシンとは、「信用は一夜にしては得られない。まず信用有る会社に」、「商売上の鉄則は信用」という創業者の想いから、「有信」と書いたのが起源だという。今でも、この信念は大切に受け継がれ、同社の研究開発のよりどころとなっている。そして、工場のいたるところに「品質は物言わぬ最大の営業」というスローガンが掲げられ、品質維持・向上のため、検査に対しても常に厳しい姿勢を貫いている。

「当社のロボットは、お客様ごとに仕様の異なる『個別受注生産』。私たちの役割は、ロボットの性能や仕様を細かく検査し、出荷可能な状態にすることですが、完全オーダーメイドのため、検査内容や項目数もそれぞれ異なります。そのため、以前は、工数の把握で苦労していました」(江副氏)

新型取出ロボット「HSAシリーズ」
受注から出荷までの流れ

また、同社では、工数の把握以外に業務付帯作業の負荷も課題であった。従来の検査の流れを示したのが、下図である。検査員は、この往復移動・検査・入力を一日に何度も繰り返していたのだ。そこで、江副氏を中心に業務改善に向けた検討が始まった。

従来の検査の流れ

タブレットは検査員の“気づき”連絡帳

パナソニック ソリューションテクノロジーでは、帳票電子化ツール「XC-Gate.ENT」とBIツール「MotionBoard」を提案。検査員がタブレットで入力をした情報は、即時に大型モニターの進捗管理表に反映。検査員の往復移動時間や手書き入力にかかる労力を大幅に削減すると同時に、データの可視化、収集・分析を可能にした。

「これまでは、紙の検査票に手書き入力していました。手書きが故に、記載した情報は書類としてしか残らず、次回同じお客様から同じような仕様の受注を頂いた際も、前回の検査時の気づきを全て拾い上げることはできていませんでした。でも今では、結果がデーターベース化されているおかげで、検査票の入力データがそのまま検索できますし、電子化ならではの検査飛ばしを防ぐポカよけの仕組みも組み込まれており、品質の向上にもつながっています」(江副氏)

一般的に、受注生産品の電子帳票化は難しいといわれているが、「XC-Gate.ENT」は、Excelの帳票をそのまま流用できるため、検査項目のカスタマイズなども、現場で簡単にできる点がメリットであったという。

「私たちのような個別受注生産では、お客様ごとに細かな仕様の要望があり、さらに改善活動の中で、検査内容が変化していくこともあり、カスタマイズのし易さは魅力です。また、これまでは仕様の内容と工数の関係の把握が難しかったのですが、現在は実績を一元管理できるようになり、工数そしてリードタイムもより正確に把握できるようになりました」(藤村氏)

大型モニターに表示された進捗管理表。検査員がiPadに入力した情報が即反映される。
対象製品の検査進捗状況や担当者を確認。詳しい検査方法の確認や特記事項・申し送り事項を入力。また、実際に検査にかかった時間の測定も可能。

こんな新しいことやるから!

最初は、ICT化に不安を感じていた検査員も今では、iPadを自由自在に操作

最初は、ICT化に不安を感じていた検査員も
今では、iPadを自由自在に操作

ここまでの話では、きわめて順調に導入が進んだようにも思えるが、実際、検査員の方からの抵抗はなかったのだろうか?

「たしかに、スマートフォンすら使ったことのない人は、突然、iPadを渡されたら戸惑いますよね」(江副氏)

「でもそこは、江副がうまくカバー。まずは、メンバー全員を集め『こんな新しいことやるから!』と、ICTを導入する目的と効果を力説。私たちの働き方も、会社の未来にとっても、とてもメリットがあることなのだと、彼自身の言葉でストレートに語ったので、思いが伝わったのだと思います。とはいえ、最初は、iPadの基本操作から丁寧に教える必要がありましたが(笑)」(藤村氏)

同社では、製造の現場などでは、工程の把握には紙に印刷したガントチャートを用いていたため、急激なICT化ではなく、現場の“気持ち”を配慮した段階的なICT化が功を奏した。

データの意味がすぐ分かる、すぐ動ける

「MotionBoard」の特長は、データの“かたまり”を、一瞬でダイナミックでグラフィカルな図・グラフなどに変換し、分析結果を視覚的に解説できること。検査工程の前後で、大活躍している。

「一番うれしいのは、1日単位で組立台数のデータが把握できることです。前工程で組立台数に大きな山や谷ができると、つまり、日によって組立台数にばらつきがあると、検査の作業計画が立てづらいのです・・・。本音としては、適度な緊張感と集中力をもって検査対応できる量を超える山を作ってほしくない。そこで、お客様への納期を守った上で、どうやって山をならして平らにするか、前工程の管理者とも情報を共有して、対応策を協議しています」(江副氏)

さらに、効果は物流シーンにも。海外売上比率73%、海外ネットワークは18ヶ国、25拠点と業界一の拠点網をもつ同社にとって、物流は、まさにライフラインである。

「グラフ化された各種のデータを基に、日別の出荷台数を把握することで、以前より早い段階から物量に応じたトラックの確保への動きが取れるようになりました。また、船積みまでのタイムラグがある海外向けの製品などは、その特性を生かして出荷日の前倒しや後ろ倒しで積極的に平準化の動きが取れるようにもなりました」(江副氏)

まさに、製造・検査・物流の現場が一体となって、同社のモノづくりを支えている。

「そういえば、最近は組み立て、物流のメンバーと直接会話することが増えた気がします。やはり、見たかったけど見えにくかったものが、図やグラフで直感的に分かるようになって、課題を共有しやすくなったことが大きいかもしれないですね」(藤村氏)

BIツールによるデータビジュアライゼーションは、現場を説得し、動かす源泉となる。データから導き出された情報を、端的に伝えることで、新たなアクションにつなげることができるのだ。

大型モニターに表示される製造部出荷状況確認のトップページ

大型モニターに表示される
製造部出荷状況確認のトップページ

棒グラフの高低差で組立予定(検査受け入れ)台数の変動を直感的に理解

棒グラフの高低差で組立予定(検査受け入れ)
台数の変動を直感的に理解

出荷台数を調整し、トラックの数を平準化

出荷台数を調整し、トラックの数を平準化
 

日本のモノづくり改革のヒント

最後に、今後のICT活用について聞いた。

「作業が速くて正確な検査員がいるのですが、なぜ、彼が優れているのか、要因を分析して、横展開することで、検査品質の底上げにつなげたいですね」(藤村氏)

「プラスチックの需要は今後も、拡大することが予測されていますが、プラスチック製品の安定供給において重要な役割を果たすのが当社の取出ロボットです。『お客様のニーズの一歩先を行く結果を導きだす』それが私たちの挑戦です。製造現場でのICTの活用は、お客様に満足してもらう、さらに感動してもらう製品を提供するための手段のひとつと考えています」(江副氏)

同社のICT化に向けた取り組みと現場改革へのたゆまぬ努力は、日本の製造業が再び輝きを取り戻すためのヒントになるのではないだろうか。

小さく始めるICT

為替変動・デフレ・人口減少など、製造業を取り巻く厳しい環境下で、生産性向上の切り札として期待されたERP。しかし、欧米流の業務プロセスに即したパッケージは、セットメーカーと下請けが生産分業する日本の生産体制や、現場と生産技術が一体となって工程を設計する日本のモノづくりの現場に、必ずしも適合するわけではない、という問題があった。

そこで、パナソニック ソリューションテクノロジーでは、まずは現場の仕事のやり方を深く理解した上で、ひとつの工程・課題から「小さく始めるICT革新」を提案している。そこで働く人の気持ちを無視したICTのおしつけでは、絶対に成功しない。
モノづくりを超えたサービス・付加価値を希求する製造業のお客様のために、今後も顧客視点に立ったICTの活用を提案していきたい。

株式会社ユーシン精機様 本社前にて

【お客様プロフィール】株式会社ユーシン精機様

株式会社ユーシン精機様ロゴ

1973年設立。本社は京都。取出ロボットを中心に、プラスチック射出成形の合理化・FA化推進機器の製造・販売をグローバル(世界18カ国)に展開。世界最速の取出タイム0.069秒を誇る光ディスク取出ロボット「DRDⅢ」や、京都大学と共同開発した最適設計採用新型取出ロボット「HSAシリーズ」など、業界初・最高品質のロボットを製造。また、一般社団法人日本機械工業連合会「優秀省エネルギー機器表彰(日本機械工業連合会会長賞)」を受賞した「YCシリーズ」など、最適設計による軽量化・省エネ化にも力を入れている。

URL:http://www.ype.co.jp/

※ 本文中に記載されている内容は、2016年2月の取材時点での情報です。

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