2020年につづく、ありがとう。

リオデジャネイロパラリンピック 陸上女子400m銅メダリスト

辻 沙絵(日体大)

辻 沙絵さん(日体大)の写真

「沙絵、おかえり」函館の空港に降り立つと、いつものクルマで、いつものように母が待っていた。リオから戻って、はじめての帰省。「ただいま」そう言った後で、すこし泣きたくなったのは、きっと、たくさんの「ありがとう」が、私の中であふれたから。
走り出すクルマの中で、私は、この、あっという間だった一年半を、思い返す。大好きだったハンドボールから陸上に転向したこと。苦しかった練習。日本記録を出せたレースのこと。日本記録を出せたレースのこと。試合に行くことが、はじめて怖いと思った、リオパラリンピック。決勝の前日に洋子監督からもらった言葉。表彰台の三番目の高さから見た景色。「涙が、止まらなかった」と言ってくれた親友。いつも応援してくれた家族。いまの私は、いろんな人たちへの「ありがとう」でできていて、その一つひとつが、2020年につながっていくんだと、最近、よく思う。
「きんぴらゴボウ、いっぱいつくったから」ふいに、母が言った。メンドウくさがりながら、帰るたびにつくってくれる私の大好物。「ありがとう」言葉にしてみたら「なにが?」って笑われた。「なんでもない」窓の外に目をやると、雪化粧した街並みが、柔らかな日ざしの中で、キラキラ輝いていた。

辻 沙絵さん(日体大)ランニング中の写真

辻 沙絵

2015年、はじめて挑んだ国際大会で6位入賞。その後も、100m、200m、400mで日本記録を更新。リオデジャネイロパラリンピックでは、陸上女子400mで銅メダルに輝いた。東京パラリンピックでのメダル獲得に期待が寄せられる。