Wonder Life-BOX × SPECIALIST インタビュー

すぐそこの未来。2030年、私たちのくらしはどうなる?

リニューアルした『Wonder Life-BOX』をデザイン分野で幅広く活躍する4人の専門家が体験。その率直な感想、そしてPanasonicが目指す『憧れの豊かなくらし』について意見を交わしていただきました。

パートナーは映像かロボットか 2030年にはそれが選べる時代になっているかもしれない

――『Wonder Life-BOX』の新たなトピックスとして「2020~2030年の憧れの豊かなくらし」を実現するために、映像と自然対話で人に追従して情報を与えてくれる”パートナー”という存在を提案しています。まずは、このパートナーの存在についてどう思われたかを教えてください。

田中さん 「明るいナショナル」をモチーフにしたニコちゃんマークのキャラクターがキュートですね。“あかりちゃん”って名前がついているのもカワイイ!

安藤さん 人についてくるのが面白いですね。決まったところだけに映像が映るのではなく、呼べば出てきて、歩くとついてくるのは画期的。キャラクターもいいし、僕はすごく好きです。

中西さん 僕は「2020~2030年の憧れの豊かなくらし」であればプロジェクションディスプレイに映像として出てくるよりもロボットのほうがより未来的だと感じましたね。みなさんはどう思いますか?

映像と対話でくらしをサポートする"あかりちゃん"

安藤さん 映像のほうが可能性が広がる気がします。ロボットとして物理的にいると、できる限界が見えてしまうじゃないですか。「あれもやってくれる、これもやってくれる」と期待値だけが上がって、失敗すると余計がっかりしてしまったり。その分、映像だと実体がない分、多少失敗しても、そこまでがっかりしない気がするんですよ。

木原さん 私も実体はないほうがいいと思いますね。

中西さん 『2030年の未来の家』と言ったときに家の中にロボットがいると想定しているか、いないかで考え方は分かれるでしょうね。ただ、仮想的なパートナーがいるとしたら先進的なテクノロジーがあるのは明白なのに、映像だけなのか、もしくはロボットと併用なのかと言われたら、ロボットがいるほうが自然ですよ。

木原さん 2020年ならロボットは“いない可能性が高い”と言いきれるかもしれないけれど、2030年になると言いきれない可能性は高くなりますよね。

安藤さん でも、2015年の今でも犬がいる家もあれば猫がいる家もあって、両方飼っている家もある。だから、仮想的なパートナーか、物理的なパートナーかはそれぞれの選択になるのかもしれませんね。

テクノロジーがコミュニティをオープンにし パブリックとプライベートの線引きを変える

――『Wonder Life-BOX』は『Wonder Town』『エントランス』『キッチン&リビングルーム』『サニタリー&ベッドルーム』の4つのエリアに分かれていますが、それぞれに対する感想をお伺いできればと思います。まずは未来の街のショッピングスタイルを展示している『Wonder Town』から。

木原さん ショーウィンドウにある商品やサイネージ(看板)にタブレット端末をかざすと、商品情報がクリッピングされたり、そのまま購入できたりするんですね。

田中さん ショーウィンドウや店舗という「街の風景」からスタートするのはいいですね。

安藤さん そうそう。いきなりテクノロジーがたっぷりの“未来のくらし”から始まると感情移入しづらいですからね。「街」という普段の生活の延長線上から入ると馴染めるし、共感もしやすい。

土間をイメージしたエントランスは人が集う空間をイメージ

木原さん ただ、私が気になったのは、タブレット端末で商品情報を取り入れる行為は意志的行動ですが、ショーウィンドウは基本的に受動的な存在。その存在に対して、人が積極的にタブレット端末をショーウィンドウ内の商品にかざすことはなかなかハードルが高いなと感じましたね。

だったら、ショーウィンドウ側から「誰かの誕生日は近くないですか?」などの呼びかけがあって、受動的な環境から意志的行動を誘発するコンテンツがあればいいかもしれない。

安藤さん 確かに、わざわざショーウィンドウを注意深く見ることは少ないですからね。パッと見たときにショーウィンドウ側からアクションがあって「そうだ、妻の誕生日が近いからプレゼントを買おう」となる方が自然かも。

――それでは、続いてエントランスはいかがでしたか?

中西さん エントランスに入るとエアシャワーが埃や花粉を落としてくれるのはすごくいい! 僕は花粉症なので、必ず服を払って花粉を落としてから家に入るんです。その手間がなくなるのはありがたい。購入したいですよ(笑)。

田中さん このエントランスは土間をイメージしていて、人が集まってつながりをもてるシェアリングスペースとしての意味もあるんですよね。

安藤さん パブリック空間とプライベート空間が重なったところという感覚かな。

中西さん アメリカだと“ゲーテッドコミュニティ”と言われるような入口のセキュリティがしっかりしているからこそ、中がオープンにできるというシステムがありますよね。テクノロジーによってオープンなコミュニティを作れるようになったり、パブリックとプライベートの線引きを変えたりする人が今後、増えてくる可能性は大きい。

田中さん パブリックとプライベートの線引きがなくなるとしたら、やはり一番大事なのは安全面ですよね。日々のセキュリティに加え、地震や災害が発生した際に防災サイネージで家族の安否が分かるのは安心。欲を言えば、子どもの画像がデジタルサイネージ上に映って「大丈夫だよ」の一言が聞けると安心度は増しますよね。

安藤さん 家屋の状態も分かるようになっていたけど、やっぱり家のことより家族の安否が一番だから。

あかりちゃんの存在が働く母親をサポート 家族のシェアに一役買ってくれる存在に

――キッチンではパートナーの“あかりちゃん”がさまざまなクッキングナビゲーションをしてくれましたが率直な感想としては?存在についてどう思われたかを教えてください。

木原さん 料理のレシピを教えてくれるだけでなく、ケーキのデコレーション方法を教えてくれるのは良かった。デコレーション前のホールケーキの上に苺を乗せる位置が投影されるとイメージは湧きやすいですね。

田中さん あれは、子どもと一緒にケーキ作りをするときにすごく盛り上がると思います。

安藤さん デコレーションも面白いけど「このケーキを5分割にしたいです」って言うと切り方まで教えてくれると便利だな(笑)。

木原さん 素朴な疑問だけど、家族から相反する答えが返ってきたらあかりちゃんはどういう行動をとるんだろうね。

キッチンのカウンターには
ケーキのデコレーションや料理情報が映しだされる

中西さん お母さんはこっちのデコレーションが良くて、お父さんは別のデコレーションの方がいいって言ったら、どっちの意見を取り入れるかということ?

木原さん そうそう。

田中さん それは、あかりちゃんが家庭内の力関係を把握して動くんじゃない(笑)。

木原さん それでお父さんの意見がずっと取り入れられなかったらツライよね(笑)。

――あかりちゃんがそこまで敏感かは分かりませんが(笑)。キッチンからつながるリビングでは家族のシェアリングをテーマにした仕掛けがあります。テーブルに本を置くとピンポイントで光が当たったり、タブレットの画像を壁面に表示して映像を共有したりすることができます。

田中さん ライトが自動的に手元を照らしてくれるのはいいですね。子どもって暗いところでも平気で本を読んでしまったりするから。

安藤さん あの機能は大人の僕でも欲しい。読書するのに便利ですよ。

田中さん テーブルに線路の映像が投影されて電車遊びができたり、チェス盤になったりするのもいいですね。「遊ぶのは1時間だけ」と決めたら1時間後には映像を切れば「片付けなさい」と怒らなくてもいいですから、母親からしたらとてもラク。

中西さん 私が思ったのはタブレットの画像をテーブルに映して、それを壁面に映すのって二度手間ですよね。キッチンでは音声だけで認識して作動しているのにリビングで急にタブレットが出てくることで行動が複雑化している。

安藤さん タブレットの機能をテーブルでできるようにしてしまったほうがいいかもね。

中西さん 今はみんなリビングでタブレットを使っているからこその発想だろうけれど、2030年にタブレットはあるんだろうか。

田中さん タブレット自体がなくなっている可能性はありますよね。もしかしたら手元の端末から解放されている時代になっているかもしれない。

タブレットのデータをテーブルに投影して画像をシェア

安藤さん でも、テーブルがタブレットの代わりになるとしたら、いつも片付けておかないといけないですよ。2030年でもテーブルに上はごちゃごちゃ何か置いてあるはずだから(笑)。

中西さん だからこそ、片付けられるんですよ(笑)。

木原さん 田中さんの家は男の子2人ですよね。兄弟が遊ぶスペースってリビングなの?

田中さん リビングですね。でも、性格が違うから遊ぶにも電車遊びかチェスかがはっきり分かれるんですよ。だからテーブルに2つの映像が投影されるのが理想。それで兄弟の争いごとが減って楽しく過ごせればいいですから。

Profile

安藤幸央さん

株式会社エクサ コンサルティング推進部 UXリサーチャー、CGプログラマー。CGを中心としたメディアアート、シアター、立体ショーなどを手掛ける。また、ユーザー体験をベースとしたスマートフォンやタブレット端末などデジタルデバイスの開発も行っている。

木原民雄さん

昭和女子大学 生活学科部 環境デザイン学科 教授 博士(情報理工学)。情報をデザインとして表現する情報アーキテクチャが専門。メディアアートに関する企画制作を行うとともに若手の育成にも力を入れている。

田中千絵さん

株式会社ストライプファクトリー デザイナー、イラストレーター。ファッションブランドのウィンドウ・インスタレーションが話題となり、現在ではグラフィックやイラスト、プロダクトなど幅広い分野で活躍。中学生と小学生の息子を持つ2児の母親でもある。

中西泰人さん

慶應義塾大学 環境情報学部 教授。感性情報処理、実世界指向インタフェース、モバイルアプリケーションの研究が専門。研究の一環としてメディアアートの制作や空間デザインを行う。デザインで新しいコミュニケーションのカタチを実現することを目指す。