産業と共に進化する高機能・高効率モータ

写真:工場の内観

「きづく」「つなぐ」「動かす」をキーワードに
モータを進化させ、新たな可能性を切り拓く

「家電」「住宅」「車載」「B2B」の4つの事業領域で成長戦略を推し進めるパナソニック。そんな中、産業用機器や自動車、設備、家電などさまざまな分野の製品に搭載され、それらの革新を支えているのがモータだ。モビリティの高度化・多様化が進むに伴い、モータの活用範囲は一段と広まりつつあり、それに対応するためにさらなる進化が求められている。パナソニックが考えるモータの進化の方向性とは?そして、それを推し進めるために今、どのような人材が必要とされているのか?同社のモータ開発を統括するキーマンに話を訊いた。

IoTやインダストリー4.0対応のモータ開発も大きなテーマに

写真:開発総括担当 加藤康司 氏のインタビューカット

パナソニックのモータ事業は、1933年にスタートした、80年以上の歴史を有する事業だ。「松下幸之助創業者は、『将来、文化生活が進めば、一家に10台以上のモートル(モータ)が使われるようになる』と予言し、研究を開始しました。今では一般家庭でそれを上回る100個以上のモータが使われています」と、同社モータビジネスユニット開発総括担当の加藤康司氏は語る。

同社のモータ製品は、産業分野のFAサーボやブラシレスモータ、小型ギヤードモータから、車載分野の電池冷却ブロワモータ、EBSモータ、フラットモータ、さらに設備・家電分野の大型・設備空調用、コールドチェーン機器用、冷蔵庫用、掃除機用、エアコン用の各種モータに至るまで幅広く展開されている。売上比率ではFAサーボを中心とする産業分野が最大。大阪府大東市にあるヘッドクオーターのほか、中国の杭州、珠海、厦門およびタイに生産拠点を有し、日本だけでなくグローバルに販売を展開している。とりわけグローバル市場の中で重要な中国市場において、同社のFAサーボはトップクラスのシェアを誇る。

モータは、原理は昔から変わらないものの、材料や構造、制御、モノづくりなどあらゆる面で技術が年々進化している。そんな中、進化のキーワードとなるのが、モータビジネスユニットが属するメカトロニクス事業部のスローガンでもある「きづく」「つなぐ」「動かす」だと加藤氏は強調する。

『きづく』はいろいろな設備や車などの中でモータをセンサーとして活用しようということです。『つなぐ』はネットワーク化。モータをインターネットにつなげることで、IoTやインダストリー4.0の流れに対応していく。『動かす』はモビリティで、これはモータの働きそのもの。昨今のロボット掃除機をはじめドローン、コミューター等、様々なモノが自動で動き回るようになると言われている。自動車の電動化も著しく加速しており、モータの活用範囲はますます広がっている。

こうした進化の方向性を体現する製品が、「FAサーボアンプ MINAS A6シリーズ 無線接続システム」だ。これらは、半導体製造装置や産業用ロボットに搭載されて高速・高精度の位置決めを可能にするFAサーボを、業界で初めて無線LAN接続に対応させ、スマートフォンやタブレットから調整を行えるようにしたもの。これにより動き回る無人搬送機や高所などに設置された装置の調整をワイヤレスで簡単に行えるほか、日本から海外の工場の装置に対して遠隔で調整を行うことも可能に。さらにFAサーボのデータから装置状態を分析し、最適なメンテナンス時期を知らせる予兆診断機能も展開予定だ。

今後も「きづく」「つなぐ」「動かす」を軸にした開発を続けていくが、その大前提となるのがモータ自体のさらなる高効率化・高信頼化だ。特に高効率化については、日本で使用されている全モータの効率を1%上げると中型の発電所1基分の電力削減につながるといわれるほどで、省エネ・環境対応の面からもインパクトは大きい。その上で重要なのが、顧客の求めるモータ製品をいかに「システムとして」提供していくかだ。「この点は特に、モータ専業メーカーと比較して、総合電機メーカーであるパナソニックの強みを活かせる部分。IoTへの対応にしても、社内には無線・ネットワークなどに関する豊富な知見がありますから。社内の連携をさらに進め、モータ事業をより強くしていきたいですね」と加藤氏は前を見据える。

(【用語説明】MINAS A6シリーズ:パナソニック サーボ商品(モータ&アンプ)の名称)

目標達成に向けた、強い意志を持つ人を求める

様々なモノが動き出し、モビリティに新たな展開が起きていることを追い風に、パナソニックのモータ事業は現在、社内でも大きな注目を集める事業となっており、キャリア人材の採用によるマンパワー強化にも力を入れている。制御システムやソフトの開発、要素技術開発、機械・機構設計、生産技術、品質保証など求める人材の技術分野は広いが、共通して持っていてほしいのは「自分はこういうことを成し遂げたい、という強い意志」だと加藤氏は言う。

「開発にあたり、ハードルの高さに挫けて『ここまでしかできない』となると、画期的な製品は絶対に生み出せない。目標とする製品を自分の想いでなんとしても実現するんだ、と粘り抜くことが何よりも大切になります」

モータはデバイスとシステムの中間くらいの開発規模の製品。既存のものをベースにした特定の顧客向けのモータは、少人数のグループで、直接顧客の声を聞きながら開発できる。それだけに自分の想いやアイデアを盛り込める余地は大きい。

「だからこそエンジニアもお客様のところにどんどん行き、ニーズを汲み取り、自分の意見をお客様に提案できる人であってほしいし、サプライヤーからもいろいろな知見を引き出せる人がいい。『私はここが得意』という高い専門性に加えて、『商品としてどう開発するか』という広い視野を持っている人だと理想ですね」

これらを備えている人であれば、必ずしもモータ自体の開発経験にはこだわらない。振動騒音や品質に対する考え方など、モータを使う製品側の開発で身につけた視点が役立つ面も大いにある。また、モータ事業は海外の売上比率が高く、海外のカスタマと打ち合わせする等の海外出張の機会も頻繁。グローバルに仕事をしたい人にももってこいだ。

「モータ開発はお客様や現場に近く、やったことの成果がすぐに見える仕事。自分が開発したモータがお客様の製品に載り、そのセット製品が高い評価を受けた時には、この上ない喜びを感じられます。一緒にその喜びを味わいながら、No.1にこだわって開発を行っていける人に、ぜひいらしてほしいですね」と加藤氏。飛び込んでみる価値は充分にありそうだ。

写真:開発総括担当 加藤康司 氏のインタビューカット 写真:開発総括担当 加藤康司 氏のインタビューカット
パナソニック株式会社 オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 メカトロニクス事業部 モータビジネスユニット 開発総括担当 加藤康司 氏

パナソニック株式会社
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社
メカトロニクス事業部 モータビジネスユニット
開発総括担当 加藤康司 氏

1990年パナソニック入社。産業用FAサーボ開発やSE、モータ研究所での先行開発などを経て、2004年には北米市場をターゲットとした組織された新事業プロジェクトのプロジェクトリーダーとして企画開発に従事する。以後、制御開発や商品開発のチームリーダーを経験し、2012年にはモータビジネスユニット 要素・制御開発グループのグループマネージャーに就任し、モータの先行技術開発を担当。2016年より現職に就き、モータ開発全体を統括する。