先端研究 夏井 竜一

先端研究 夏井 竜一 先端研究 夏井 竜一
先端研究 夏井 竜一

ガソリン車並みの航続距離を生み出す次世代二次電池の研究。

ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)に搭載され、クルマの動力源として身近な存在になったリチウムイオン電池(LIB)。しかし蓄電容量は限界に近づきつつあり、LIBに代わる高容量の車載用二次電池の実用化にむけて世界中のメーカーがしのぎを削っています。車載用LIBをカーメーカーに提供し、市場で高いシェアを有するパナソニックも、「グリーンケミストリー研究部」が中心となり、この次世代二次電池の研究を加速。プロジェクトの一員として、高容量の新しい正極材料を研究開発するのが私の仕事です。研究は、候補物質を探索し、いく通りもある組み合わせを試して特性を評価するという地道な活動の積み重ね。「これは!」と思うものが見つかり、数ヶ月実験を重ねても、期待通りの結果が出ない場合も。でも、そこであきらめるわけにはいきません。「どこかにヒントが落ちていないか」と業界の最新事情や学術研究の動向にたえず注意を払い、時には電池と直接のかかわりがない分野の学会にも出向いて情報収集にあたり、アイデアが浮かぶと研究者とコンタクトをとって意見交換することもあります。未知の可能性に挑む最先端分野の研究は、試行錯誤の連続。途中で投げ出さない強い気持ちと、「いつか世界を驚かせてみせる」という気概が、自分を支えるエネルギーです。

先端研究 夏井 竜一

スゴい上司、スゴい先輩に囲まれて。

入社からの6年は、教えられることばかりでした。最も印象深いのは、入社4年目、R&D本部(現先端研究本部)で産業用ナトリウム電池の開発に携わっていた時です。ナトリウムとある金属を焼き固めた化合物の合成実験に挑んだところ、一定温度を超えると比重の軽いナトリウムが飛散して目的の化合物ができません。学生時代の経験で、加熱する温度やスピードを調整するものの結果は同じ。そんな時『ふつうのことをしても、ふつうの結果しか出ない』と、上司から見落としたパラメータがあることを示唆され、新たなパラメータを抽出。ところが今度は実験室の設備で、そのパラメータを制御できないことが分かり、実験は再び暗礁に。しかし思いがけないところで助っ人が現れます。たまたま実験室に居合わせた先輩に相談を持ちかけたところ、その場で「これを試したら」と想像もしていない制御法を示され、おまけに必要な治具の図面を書いて、製作発注までしてくれたのです。以来、「柔軟な発想」「多様なアプローチ」「素早い行動力」の3つが私の行動原則になりました。次世代二次電池の研究が始まって3年余り。2015年は大きな可能性を秘めた技術のシーズが見つかり、10件の特許を申請しました。それを可能にしたのは、既成概念にとらわれない自由な発想でした。3つの行動原則をこれからも大切にしてライバルに圧倒的な差をつける次世代二次電池を実現し、事業として成功させると決意を新たにしています。

私のキャリアヒストリー 私のキャリアヒストリー

希望通りのテーマ。電池技術者として一歩を踏み出す。

エナジー社(現AIS社) 技術開発センターに配属。希望通り、次世代二次電池向けの正極材料開発(ノートパソコンなど民生用がターゲット)を担当することに。学生時代の延長で研究ができる喜びを感じる。先輩方に早く追いつきたい一心で、がむしゃらに仕事をこなす。

研究が難航。自分の非力さを痛感。

過去の論文の再現実験を任されたものの、思うような成果があがらず悪戦苦闘。夢の中に実験シーンが出てきて、飛び起きたことも。また会議での先輩たちの発言や意見を聞き、研究者としての格の違いを見せつけられて自信喪失。

初めてプロジェクトチームの一員に。

ある研究テーマの事業化をめざすプロジェクトチームに参加。入社2年目で重要なプロジェクトを任されたうれしさと光栄に思う気持ちが手伝って、仕事に全力投球。結果的に事業化にはいたらなかったものの、多くのものを得る。

「R&D本部」へ初の異動。野心を燃やす。

「いつかは行きたい」と願っていた「R&D本部(現先端研究本部)」に異動。「高容量次世代二次電池の正極材料研究」という大きなテーマと目標を与えられ、プレッシャーを感じつつも「イッパツ当ててやろう」とひそかに野心を燃やす。

晴れて主任研究員に。リーダーとしての自覚も芽生える。

社内の昇格試験にパスし、主任研究員に昇格。前後してメンバー数名が別の部署に移り、チームでは最古参に。はからずもテーマリーダー的な立ち位置に就いて、自らチームを引っ張っていこうという責任感が生まれる。

研究が大きく前進。10件の特許申請。

研究開始から4年、たゆまぬ努力が実り、次世代二次電池の研究で大きな収穫。固定観念にとらわれない手法で検討を重ねた結果、既存の材料よりもはるかに特性の良い新規材料の創出に成功する。1年間で10件の関連特許を申請。祝杯をあげる。

先端研究 夏井 竜一

入社の決め手 入社の決め手

学生時代は、電池材料の研究に没頭。その奥深さに触れ、「電池が、この先どうなっていくのかを研究の最前線で眺めてみたい」という思いから、電池業界を志望しました。電池の原理は、比較的単純な化学反応式で表すことができますが、実際の反応は複雑で、デバイスとして駆動させるためには、さまざまな要素技術を必要とします。いくつもある選択肢の中で最終的にパナソニックを選んだのは、事業範囲が広く、多彩な専門性を持った先輩たちがいて、ここなら電池技術の最前線の「景色」を楽しみながら眺められると思ったからです。