審査員コメント

グランプリ/ベスト・コンセプト賞

ブルー・スティーブン
技術的な視点からとてもクオリティの高い作品です。構図や照明、トラッキングショット、フォーカスの被写界深度にいたるまで高度な映画撮影技術が用いられ、また、さまざまなジャンルの音楽を使うことでストーリーを際立たせ、視聴者に感動を与えることに成功しています。
目の不自由な人が感じる孤独感やフラストレーションを、視聴者が理解できるように工夫されていました。
生徒たちの高い感受性と度重なる熟考によってもたらされた良作です。

伊藤有壱
視覚障害を持つ実在の女子生徒の経験を題材に再現ドラマ化。ラストに本人が登場するのもよい構成です。
色合いは、前半がペールトーンでラストはノーマルトーン。ストーリーの密度は濃く、カメラワークも安定、選曲もシックで好感が持てます。
大人のスピーチを重ねながら、ドラマを進める演出は上手い。
コミュニケーションの壁を「克服できる!」と訴え、勇気ある若者がどう成長するか?同じテーマを健常者にも問いかけています。

シェリル・アントニオ
とても重要なテーマを扱っています。このテーマにおける複雑さをわかりやすく描写しています。

ベスト・ストーリーテリング賞

中田純一
ストーリーがしっかりしています。その上、撮影、編集は実に細かい部分まで計算されていて美しい映像作品に。
小学生の子ども達による迫真の演技も見応えがありました。

シェリル・アントニオ
カット割りや小道具の使い方、そして子どもの視点でのストーリーの伝え方が素晴らしいです。

ラクサナ・クライカオ
女の子たちの素晴らしい演技で完成度の高いドラマに仕上がりました。撮影と編集もよくできています。主人公と継母、継娘との関係が悲しく、衝撃的なストーリーでした。

ベスト・ウィットネス賞

伊藤有壱
人が生きる上での誇りは何かということを、鮮やかに引き出しています。
サーカスが身近でありながらも特別な存在と感じる生徒達の素朴な疑問をぶつけることで、取材する側の偏見も浮かび上がり、その答えを3名の中心人物と周辺から断片的に引き出しつつ、共通した見解を発見しています。編集の勝利、ともいえるでしょう。
動物や観客、ステージ裏の映像のカットバックもサーカスのリアルを伝え、決してイメージ通りにつくり上げる強引さを感じない。音楽が明るく軽快で、ステレオタイプの「サーカス」でないことにも独自性を感じます。よい作品です。

ブルー・スティーブン
陽気なBGMを使い、とても魅力的な作品に仕上がっています。色合いの変化や、ワイドショットからのクローズアップが興味深く使われています。
また、インタビューにおいて家族全員にさまざまな質問をしたことで、この家族の日常生活がよく伝わってきました。
この作品を制作した生徒達が、将来このサーカスのプロモーションに関わるのは喜ばしい。この事はKWNが社会に貢献する子ども達を育成する好例です。

ラクサナ・クライカオ
取材現場の雰囲気を多彩なシーンとテンポのよい編集で効果的に伝えています。素晴らしいドキュメンタリーです。

グローバルシチズン賞

ラクサナ・クライカオ
シンプルでパワフルなストーリーをドキュメンタリーで伝えています。
生徒たちは労力を惜しまず、たくさんの情報や多くの場所でのさまざまなカットを盛り込み、事実を印象的に表現しました。
KWNらしい視点がストーリーを明確にしています。

ブルー・スティーブン
自分達が地元に対してどうすれば役に立てるかを考え、実行する姿にとても強いインパクトを感じます。皆で協力すれば大きな貢献ができることを見せてくれました。
1回限りのマラソン大会で思い通りの撮影するのはかなり難しいことですが、生徒達はやり遂げました。

中田純一
マラソンというリアルイベントを核に、ドキュメンタリー制作にチャレンジ。撮り直しのきかない状況でよい撮影やインタビューをしています。
事前の構成と準備が成しえたものと言えるでしょう。

コンテンポラリーイメージ賞

ギド・ワイハーミュラー
完成度の高い作品です。スローモーションなどの映像効果の使い方がとてもプロフェッショナルでした。実話に基づいたストーリーである点も興味深い。

中田純一
強いメッセージを映像と音楽の構成力で伝えています。
セルフィ中毒という若い世代の悩みに着目した点もKWNならではのジャーナリズムを感じます。

伊藤有壱
ティーンエイジャーの悩み、「セルフィーコンテスト」敗者の自殺。
独特な問題のリアルな実例再現による提起は高い価値を持ちます。当事者ならではの「ベストショット」に注ぐ表情や写真は真剣ゆえに可愛くも痛々しく感じました。
映像演出や撮影などはプロ級。独自のくすんだ色調にリアリティを感じます。音楽はバイオリン中心のマイナーで過剰なほどに盛り上げています。
ラストのベストショット連続は痛々しく、印象に残りました。

クリエイティブメディア賞

シェリル・アントニオ
興味を引くオープニングのアニメーションから、重要な情報を伝えるドキュメンタリースタイルへ移る巧みな構成です。

ギド・ワイハーミュラー
興味深いテーマを取り上げており、明快に彼らのメッセージを伝えてます。

伊藤有壱
オープニングのアニメーションが秀逸!
その後のドキュメンタリーパートでは、キャスターの生徒がしっかり発声して「意志」が感じられ、好感が持てます。

ベスト・エディティング賞

中田純一
SNSに潜む危うさを強いメッセージで伝える大変印象的な作品。全編を映画的な構成で仕上げたことで、そのメッセージを強めています。

ブルー・スティーブン
さまざまな面で素晴らしい作品です。構想はよく練られており、深刻なテーマを優れた技術と感性で効果的に伝えています。映像効果とサウンド効果が素晴らしい。主演女優の迫真の演技、ジャンプカットやフラッシュバックのテクニック、そしてグラフィカルな特殊効果や怪しげな声の相乗効果でストーリーの緊張感を高めています。

ギド・ワイハーミュラー
クリエイティブなアイデアが散りばめられた素晴らしい作品です。特に特殊効果やサウンドの使い方がプロフェッショナルで印象的でした。

※当サイト内で掲載する写真および映像は、応募校様からの事前同意に基づき掲載しております。
なお、掲載中止に関する応募校様からの正式な申し入れにより、掲載を停止することができます。