1980年代にアメリカのロナルド・メイスさんにより
「ユニバーサルデザイン」が提案(ていあん)されたんだ。

1963年にデンマークで「みんながふつう(ノーマル)に生活していく
ノーマライゼーション」 が提案され、その考え方が広まり、
1980年代にアメリカで「ユニバーサルデザイン」が生まれたんだよ。

知的しょうがいのある人たちが、大きな建物の施設(しせつ)に集まってくらしている。
そこでは施設の外にいる人のように、自分のくらしや好みを決めることができない。
そんなようすを見たデンマークのバンク・ミケルセンさんはショックをうけ、
これはおかしいと感じたんだ。

それで「しょうがいがあっても、なくても、みんなで同じ街でふつうにくらしましょう」
という「ノーマライゼーション」という考え方を提案したんだよ。
その後、バンク・ミケルセンさんは、ノーマライゼーションを実現(じつげん)するために、
力をつくしたんだ。

そのすばらしい考え方はヨーロッパからアメリカへと広がっていった。

アメリカでは戦争の影響(えいきょう)でふえた、しょうがいのある人の
生活の不便を取りのぞくため「バリアフリー」の考え方が広まっていたんだよ。

そんな中で、アメリカ・ノースカロライナ大学の教授(きゅうじゅ)である
建築家(けんちくか)ロナルド・メイスさんは、バリアフリーで特別あつかいされる
ことをきらい、「ユニバーサルデザイン」を誕生させたんだ。

ロナルド・メイスさんは、9歳(さい)の時にポリオという病気にかかり、
酸素吸入(さんそきゅうにゅう)をしながら電動車いすを使って生活していた、
しょうがいのある人だったんだ。

不便を解消(かいしょう)するものが「しょうがいのある、特別な人のためのもの」と
考えて作られると、しょうがいがない人の気持ちのどこかに、しょうがいがある人に対して
バリアが生まれることが多い。

「しょうがいがあるから自分とちがう。」「しょうがいがあってかわいそう。」
きみだってそう思われたら、ゆううつな気持ちになっちゃうよね。

「だったら最初から、みんなに使いやすいものを作ればいいじゃないか!」

ロナルド・メイスさんはそう考えて、ユニバーサル(みんなに共通のという意味の英語)
デザインを研究し、仲間といっしょに広めたんだ。
日本に広まってきたのは、1990年代のなかばからなんだよ。

「しょうがいを持つアメリカ人法」