ーー担当している具体的な仕事内容(ないよう)を教えてください。

以前は家電部門のUD担当でしたが、今は会社全体のUDを担当しています。以前から引き続き担当していることもふくめて、大きく分けると主に3つの仕事を担当しています。

1つめの仕事は、未来のUDのタネをつくるような研究です。例えば、いきいきとした高齢(こうれい)化社会を実現(じつげん)するためにどんなことをしたら良いかや、家の中での子どもの事故(じこ)をへらすためにどうすれば良いか、日本語の読めない外国人にも家電製品(せいひん)をストレスなく使ってもらえるように表示(ひょうじ)はどうあるべきか、などを研究しています。

2つめの仕事は、パナソニックの様々な商品やサービスの開発にUDの専門家として協力することです。例えば高齢者の調査(ちょうさ)をしてつくった家電「Jコンセプト」シリーズや、色弱の人にも配慮(はいりょ)した電子白板などの商品があります。

3つめの仕事は、パナソニックの様々なUD活動を多くの人に知ってもらうために、情報(じょうほう)発信することです。UDのサイトでの発信やパンフレットの制作(せいさく)、UD展示(てんじ)会の企画(きかく)、UDについての講演(こうえん)、出前授業などいろいろあります。

出前授業では、学校の生徒たちに向けてパナソニックの商品を教材に、UDについて教えています。掃除(そうじ)機やアイロン、リモコンなどを持っていって、どんな人にどういう心配りがされているかを実際(じっさい)に動かして実感してもらうんですよ。
海外からの依頼(いらい)で、日本の高齢化社会や災害(さいがい)に対応(たいおう)するUDについてお話をすることもあります。

UD出前授業

UD出前授業    
ユニバーサルデザインのさまざま心配りの説明に、生徒たちの熱い視線(しせん)が集中!

3つの仕事は関連もしていて、例えば、先行研究として高齢化社会の問題を解決するために様々な新しい取り組みの勉強をして、その中で「料理療法(りょうほう)」が高齢者に良さそうと分かれば、パナソニックの家電を使った料理教室を実際にやってみて、その様子をUDサイト「いきいきライフデザインマガジン」で発信する、といった感じです。

わたしは、高齢者も、お手伝いするお子さんも、障がい(しょうがい)のある方も、みんなが毎日使うような生活必需品(ひつじゅひん)の家電をデザインしてきたので、その「みんなにとって使いやすいデザインを」という考え方をパナソニックの多くの事業でいかしたいと思っています。

そのようにして生まれた商品やサービスをより多くの人に知ってもらって、たくさんの人が笑顔でくらせるようになってほしいと思って、仕事に取り組んでいます。

いきいき料理教室

いきいき料理教室
高齢者の認知症(にんちしょう)予防(よぼう)に効果(こうか)があるといわれる「料理療法」にパナソニックの家電を使って挑戦(ちょうせん)!みんなの顔がいきいきし始めます。
(Fujisawaサスティナブル・スマートタウン Wellness SQUARE ココファン藤沢(ふじさわ)SSTにて)

ーー中尾さんが考える「ユニバーサルデザイン」とは?

一般(いっぱん)的な考え方ですが、はじめから、より多くの人への心配りをして、商品やサービスを考えること。

そして、1つで解決できなくても、いくつか選択肢(せんたくし)を用意して合うものを選んでもらっても良いし、モノだけで解決しなくても、人がサポートすることで解決しても良いものだと思っています。

ーー子ども達にどのようにユニバーサルデザインと向き合ってほしいとお考えでしょうか?

心のUDはすぐにでもできるので、まずは身近にこまっている人がいたら声をかけてみることから始めてほしいと思います。

小さい時に危険(きけん)な思いをしたことや、手足にけがをしたこと、外国に行って言葉が分からずにこまったことはありませんか?弱い立場になるのは、みんなにありうることで、UDは決して特別な人のためのものではありません。

一方でカッコイイ義足(ぎそく)で速く走る人や、さっそうとモデルをしている人がいます。障がい(しょうがい)や不便は、環境次第でなくせるんです。それを知ってほしいです。パナソニックもその環境をつくっていきたいですし、みなさんにもいっしょにつくってもらいたいです。

キッズデザインブック
家の中の子どもの危険や、その危険をふせぐために開発された商品を、親子で楽しく学べるパンフレット。

ーー他社とくらべてパナソニックならではのユニバーサルデザインのとくちょうなどはありますか?

パナソニックのUDのルーツは、1942年のモノがない時代に創業(そうぎょう)者が社員に徹底(てってい)した、「できるかぎりお客様に配慮した製品をつくり、喜ばれることを第一とする」という考え方です。

また、1990年には、すでに全社で「フレンドリープロジェクト」という、多くの人に使いやすいように考えるプロジェクトがあり、様々な商品やサービスに展開(てんかい)し、パナソニックの今のUDへとつながっています。

いろんな人にやさしい商品づくりは、パナソニックのDNAといわれています。例えばパナソニックが開発したもので、最近普及(ふきゅう)しているドローンを大型風船に組みこんだ「バルーンカム」があります。

そのふんわりした姿(すがた)にみんなが笑顔になり、近づいてもプロペラがあぶなくない。
パナソニックのDNAがいきていると思います。

バルーンカム

バルーンカム
大きな風船で包まれたドローンがスタジアムに登場!見ただけでハッピーな気分になれて、みんな笑顔!近づいてきてもプロペラがあぶなくないし、さわれます!

また、2020年に向けて、海外から来る方がまよわず安全に移動(いどう)していただけるようサポートするようなUD技術(ぎじゅつ)もあります。

案内板から出るLEDの光にスマートフォンをかざすだけで、その案内板の情報をその人の使っている言葉に変換(へんかん)して表示してくれる「LinkRay(リンクレイ)」という技術です。

「バリアフリーナビ」アプリや対応した電動車いすと組み合わせると、自動運転で目的地まで行ける仕組みもあります。

パナソニック快適(かいてき)移動ソリューション

パナソニック快適(かいてき)移動ソリューション
LEDの光で案内板の情報をとどける「LinkRay(リンクレイ)」と、段差(だんさ)のないルートを案内するアプリ「バリアフリーナビ」で、画期的な移動の進化が実現!

この仕組みは、国際(こくさい)ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD)が主催(しゅさい)する「IAUDアウォード2016」で「2020年に向けたアクセシビリティ向上の取り組み」として金賞を受賞しました。

パナソニックは5年連続で金賞を受賞していて、しかもその他の受賞と合わせると、パナソニックは一番多く受賞しているんですよ。

UD関連の賞をとることも、パナソニックのUDを多くの人に知ってもらえる活動の一つなので、積極的に取り組んでいます。

これからも、UDを広げる様々な活動を行っていきますので、期待していてくださいね。

UDピクトグラム(絵文字)

UDピクトグラム(絵文字)
日本語が読めない外国人などに対応するため、海外でも通用するかを調査し制作したピクトグラムの例。(写真は抜粋)

パナソニックがずっと人によりそって考え続けている、 「いろんな人にやさしい商品づくり」は、 中尾さんのUD専門家としての熱い活動や、 パナソニックの新たなUD商品開発へとつながっているよ。

次回からはUDが配慮された家電の開発担当者の人に
お話を聞いてみるよ。お楽しみに!