助成を受けられた団体(子ども)

子ども分野・2010年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

会員・支援者対応能力アップを目指した人材育成計画

団体名

アクセス-共生社会をめざす地球市民の会

事業目的

(1) 会員・支援者対応業務に関する分業システムを構築し、それを事務局員・ボランティアが実践する事を通じて、より多くの会員・支援者に、より質の高い対応ができる体制を実現する。

(2) 質の高い会員対応サービスを維持することで、財務3ヵ年計画の年次目標を達成し、フィリピン現地事業の拡大を支えられる安定した財務基盤を固める。

(3) 上記(1) 、(2) の実現を通じて、フィリピン現地事業における、事業内容の質的向上(自立促進)と量的拡大(受益者数増)の実現をめざす。

事業目標

(1) 「会員・支援者対応サービス」に関する事務局と支援チーム間の分業体制の確立

全ての会員・支援者の方々に、一定レベル以上のサービス(報告や特典、さまざまな形でのコミュニケーション)を提供することの大切さをボランティアスタッフに理解してもらい、その実現のためには分業が必要であることを理解してもらう。

(2) 会員・支援者サービス内容の充実と定型化

事務局と支援チームの間での分業を明確にした上で、不足しているサービスを明らかにし、それらの隙間を埋めるような内容の「会員・支援者対応マニュアル」を作成、実践することで、支援者の満足度を高める。

(3) 事務局業務の効率化

「会員・支援者対応マニュアル」の活用を通じて業務を効率化し、会員・支援者が増えても、一部の事務局員に過大な業務が集中しないような仕組みを作る。

事業概要

(1) 事務局5名体制を実現(有給3名、インターン2名)

(2) 「会員・支援者対応マニュアル」の作成

(3) 会員・支援者データベースの再構築と、よりよい形での会員・支援者情報管理

(4) 「チーム別事業報告書の作成マニュアル」の作成

(5) 各種研修を通じたボランティアスタッフ育成制度の強化・維持

(6) 「会員・支援者対応マニュアル」「チーム別報告書の作成マニュアル」の活用

事業の成果と課題

(1) 事務局5名体制を維持

目標としていた事務局5名体制を年間を通じて実現したうえ、「会員・支援者対応マニュアル」を作成したことで、5月から採用した新事務局員やインターンに会員・支援者対応業務の大部分を引き継ぐことができた。このことにより、ここ2年間、業務が集中して過労状態にあった事務局員(野田)の業務が軽減された。また、マニュアルが完成した9月以降、野田がボランティアスタッフ育成業務(研修の実施)や会員・支援者データベースの再構築などに集中して取り組めるようになり、本助成事業の前半期の取り組みの遅れを取り戻すことができた。
ここ数年を振り返り、現在の当会の事業規模を維持するためには、事務局5名体制(うち2名は有給専従)という体制は欠かせないことを実感している。この体制を維持するために、財務3ヵ年計画の年次目標を着実に達成し、一時的にではなく、継続的に収入が増えるような事業計画・資金調達計画を常にもち、財務基盤を固めていくことが引き続きの課題である。

(2) 「会員・支援者対応マニュアル」の作成

事務局員とインターン、そして支援チーム代表者(最もアクティブに活動する現役ボランティア7名)が日常業務の中で直面してきた、会員・支援者対応業務における課題や失敗、悩みなどを聞き取りし、それらに応えるような内容の「会員・支援者対応マニュアル(全34ページ)」を完成させることができた。これは、これまで事務局員(野田)が蓄積してきた会員・支援者対応ノウハウを、他の事務局員と全インターン・ボランティアスタッフに実践してもらう為のツールとして、2010年10月から2011年1月までに、80名以上に配布している。

(3) 「チーム別事業報告書の作成マニュアル」の作成

特定の地区を支援してくださっている会員の方々に向けて、支援チームが主体となって作成・発行している「チーム別事業報告書」は、これまでその内容や質にばらつきがあった。ボランティアが作成しているということで、その内容は「熱意は伝わるが目的がはっきりしない」、「アクセスの理念を十分に反映していない」など、課題の多いものだった。そこで、作成担当になっているボランティアスタッフからの意見も踏まえ、これらを克服するためのマニュアルを完成させた。マニュアルについて研修を実施したのが12月、次の報告書の発行時期は4月のため、まだその成果は見えていない。ボランティアスタッフがマニュアルに沿って報告書を作成することはもちろん、担当理事・事務局員が準備プロセスに関わっていくことを通じてボランティアを育成し、支援チームを、より質の高い報告書が作れるような活動体にしていくことが今後の課題である。

(4) 各種研修を通じたボランティアスタッフの育成制度の強化・維持

当会では、70名以上いるボランティアスタッフが活動の大部分を担っている。よって、彼ら彼女らを育成し、より質の高い活動ができるようにしていくことが、活動の拡大と改善、収入の増加、支援者の増加に直結する。そこで当会では、本助成事業において2008年から一貫してスタッフ育成のための研修事業に力を入れてきた。2010年は、2008年に作成した「一般研修」と「実務研修」、2009年に作成した「レベルアップ研修」を実施したほか、今年新たに作成した「会員・支援者対応マニュアル」「チーム別事業報告書の作成マニュアル」について解説する研修を実施した。
特に「実務研修」「会員・支援者対応マニュアル」はボランティアスタッフの活動上のニーズにマッチしていたようで、参加者からは「事務局と支援チームの位置づけがはっきりし、やるべきことが明確になった」「日々の業務で判断に迷って先に進めないということが減った」「これまで、支援者の方々に対して失礼な対応をしていた場面があったとわかった。改善点が明らかになって、後輩への引継ぎも自信を持ってやれる」といった意見が出た。また、実際の業務においても「どういった点に配慮すれば会員・支援者の方々との距離を縮めることができるのか」、また「どんな工夫が継続支援につながるのか」といった問題意識を持ったボランティアスタッフが少しずつ増えてきていることが感じられる。ただし、そうしたスタッフはまだ10~20名程度のため、その他の50名以上のスタッフにこうした問題意識を共有してもらうためにも、研修を継続していくこと、また業務の場面でその都度助言し、実践の中に浸透させていくことが今後の課題である。また、マニュアルだけでは判断しきれなかった事例について情報を蓄積し、マニュアルの改訂時に役立てていきたいと考えている。
これらの研修で学んだことの実践をボランティアが始めたのは2010年10月以降のため、実際にその対象となった会員・支援者の満足度が向上したかどうかは、まだわからない。今後、会員数の伸びや退会率の低下といった形で数値として結果が現れてくることを期待する。

(5) 会員・支援者データベースの再構築と、よりよい形での会員・支援者情報管理

プログラミングを専門とするボランティアが見つかり、会員・支援者の情報を使いやすく、わかりやすい形で一元管理できるデータベースを完成させることができた。このことにより、会費請求や領収書の発行、会員・支援者の情報管理などにかかる手間が3分の2程度に減り、効率化が進んだ。また、同データベース内で会員・支援者とのコミュニケーション履歴も記録できるようになったため、担当スタッフが不在でも問い合わせにスムーズに応対できるなど、会員・支援者対応サービスの向上にも大きく貢献するシステムにすることができ、非常に役に立っている。

今後の取り組み方針

 2008年からの3年間で取り組んできた組織基盤強化は、「ボランティアスタッフの育成」、「アカウンタビリティの強化」、「広報・コミュニケーションツールの改善」、「会員・支援者対応サービスの向上」といった取り組みであり、団体内部の事務局職員やボランティアスタッフの能力向上・人材育成に焦点をあわせたものであった。このことにより、NPO/NGOであれば当たり前にできなければいけないことができるようになり、まさに「組織基盤を固める」ことができた3年間であった。ようやく社会的に認められる組織の基本条件が整いつつあると感じている。本事業の最終目的は、「フィリピン現地事業における、事業内容の質的向上(自立促進)と量的拡大(受益者数増)」だが、このための最低条件をこの3年間で整えることができたと言える。
 今後は、より多くのフィリピンの子どもたちや青年たちに貧困から脱出するためのチャンスを提供できるようになるために、これまでの成果を踏まえて外部のステークホルダーに対する働きかけを強化していく。具体的には、これまでの取り組みを維持・強化することとあわせて、以下のような領域で、財源拡大のための取り組みを進めていく予定である。

  • 会員への協力要請の強化(会員紹介、冬季カンパ、書き損じハガキ収集等のキャンペーンを実施し、会費を支払う以外の形で当会の活動に参加、協力してもらう)
  • 新たな収益事業の開発(セミナー開催、講師派遣事業の拡大、書籍やブックレットの出版など、啓発活動分野で事業収入を増やす)
  • 企業連携の継続、拡大