助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2011年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

子ども向け環境教育のテキスト作りと実践

団体名

特定非営利活動法人 ボルネオ保全トラストジャパン(BCTJ)

助成事業の概要

本団体は、これまで、企業から国内キャンペーンイベントに対する寄付を獲得したり、数社と提携して各種CRM(Cause Related Marketing)商品を販売するなど、売上の一部が団体の収益となる仕組みを作ってきた。けれども、そのほとんどがイベント経費のみを対象としていたり、「ボルネオ緑の回廊」事業やオランウータンの吊り橋事業などの現地の環境保護活動の費用に限定されており、日本事務局の運営を支える財源に課題を抱えていた。そこで、本助成事業では、企業等へ協働事業を提案する際のツールとして、活動根拠となる「パーム油白書」の製作に取り組んだり、環境教育事業のベースとなるテキストを製作して、事業の生産性を高めることに挑戦した。また、環境教育プログラム開発・テキスト作りの流れの中では、理事や会員と意思疎通の機会を増やし、事務局運営の考え方や組織体制について意見交換を繰り返し、見直す機会ともした。

助成事業の取り組みで得られた成果

(1)環境教育部の会議

環境教育部の組織体制について協議、基準やシステムを文章化した。3年を試験期間と考え、基準やシステムを実際に使用し、不足分を補い、改善を心がけ安定した運営を目指す。会の組織化の必要性、基盤強化の必要性をリーダーとなる理事が意識をできた。

(2)環境教育テキストと白書の製作

環境教育テキストと白書を製作した。内容は毎年見直し、必要な時期に追加更新してゆく。動物園など公共施設での安定したイベント実施を目指して、テキストを用いたワークショップを開催した。また、企業や協力施設に対して本団体のミッションまたは事業の効果の根拠を説明する際の資料、協賛・協力営業資料、小中学校でのイベント実施の教材とするなど社会への啓発資料としても使用していく。

(3)ワークショップの基盤整備

従来は、経費の持ち出しとなっても、急な話でも、依頼があれば受けていた。けれども、事業の継続、充実した内容とするためには、十分時間に余裕をもって依頼いただけるよう、また、動物園等の施設側に開催費用を負担いただけるよう提案した。その結果、双方協働の意識を持って計画・運営にあたれ、事業運営費を負担していただけることに一部成功することができた。

(4)人材育成

イベント運営の作業が能力のある一部の者に偏る傾向にあったが、会員と一緒に運営してゆく体制に変化したことで、事務局スタッフに対する負担の低減、会員間の交流の活性化につながった。

助成事業の総合評価

 本団体の活動の柱のひとつに環境教育が挙げられる。先進国である日本に住む人たちの意識・行動を変えずして解決の無い「ボルネオの生物多様性保全」が本団体のミッションであるからである。しかしながら、従来は、環境教育活動は私たちの団体にシステム化された考え方はなく、環境教育分野で活動してきた一部の理事の力量に依存するという実情だった。けれども、本助成が後押しとなり、会員のリーダーシップや環境教育活動への参画が組織として承認され、ワークショップ運営手順等がシステム化、環境教育テキストが整備された。それによって、今までボランティアとして参加をしたくても宙に浮いていた状態の会員が一緒に参加し、運営・活動しやすい形に変わってきていると実感する。

今後の展望について

 依然として、一部のスタッフの労働的偏りが高い。個々の事業を継続・発展させていくためには、ボランティア参加の仕組みを整備し、生産性を上げていくことが必要である。本助成事業によって組織化した環境教育部の会員に徐々に引き継げるよう組織基盤を整備していきたいと思う。また、経営基盤では、専従職員や事務局長を継続的に雇用できる段階には未だ十分ではない。また、イベント運営についても、来年度以降も依頼主と継続して良い関係を結んでいかなければならないし、大変苦労した白書も毎年継続して発行していきたい。新しく課題解決に取り組むのではなく、この状態をまずは3年継続できるかどうかが今後の課題だと思っている。

事務局より

 本団体は、国内基幹事業である動物園等公共施設での環境教育活動やキャンペーン活動の質の向上と拡大に課題を抱えていました。それは国内事務局の経営基盤の脆弱さに起因していましたが、さらに根源の課題には、事務局または理事会内で目指すべきビジョンが共有されていなかったこと、また、運営方針が曖昧だったことが、本助成事業を進めるにしたがって明らかとなりました。環境教育テキストやパーム油白書の作成を進めるコンセンサスの中で、全国に散らばる理事と事務局が何度も議論を繰り返した成果と考えます。そして、関東と関西のボランティアのインセンティブの相違についても明らかになったことで、両地域それぞれで異なる環境教育事業の運営方針、ボランティア育成方針が確立しつつあります。今後は、作成した環境教育テキストやパーム油白書を活用して、事務局を支えるボランティアの育成を図り、過大であった事務局の負担を軽減し、また、企業への営業を繰り返し、国内事務局の持続可能な組織基盤の構築を期待します。