助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2011年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

市民主体による環境教育の発展へ向けた、理念の再構築

団体名

特定非営利活動法人 しずおか環境教育研究会

助成事業の概要

本団体は、静岡県を中心とする地域の子供たちやその親ならびに教職員などに対して、環境教育の実践と研究に関する事業を行い、環境の保全ならびに教育全般に寄与することを目的に設立された。けれども、会の考える「環境教育」の定義や長期的展望を内外に明確に打ち出せておらず、また、ここ数年で急激に受託事業が増加し、常勤職員が増えたことも相俟って、事務局内部において理念やビジョンの共有が困難な状況であった。
そこで、本助成事業では、先ずは第一に、外部アドバイザーとして桜井義維家氏(NPO法人国際自然大学校副理事長)を迎え、理事も職員も参画のもとで全11回に及ぶ理念再構築ミーティングを開催した。そして、再構築された理念をもとに3年後の中期目標を設定、職員や会員へ発表した。また、再構築した理念を社会へ発信していくための表現媒体(パンフレット、HP)を整備し、さらに、理念を実現するための組織の在り方について学ぶため、再度、桜井氏を講師に招いて2回の「組織論」研修を実施した。

助成事業の取り組みで得られた成果

本団体の歴史と現状をふまえ、アドバイザーの桜井氏、デザイナーの甲賀氏、深野氏といった外部の視点も参考に、伝えたいメッセージを咀嚼・整理して、理念を再構築することができた。また、理念再構築を進める中で、組織への問題意識や個々人の環境教育へのこだわりなど、自分の想いを言葉で表現し、お互いの認識を理解し、違いを共有、共通の言葉を探す作業にじっくり時間をかけることができたことは、本団体の大きな成長なるだろう。そのように多忙な業務や理事代行の中でも最後まで妥協することなく、全員がグループにつくことができたのは、アドバイザーの桜井氏の存在が大きいと考える。そして、(1)理念までの指標となるマイルストーンを「見える化」して、日々の事業までつなげていくこと、(2)念を実現するための組織をきちんと作ること、2つの重要性を全員で共有、再確認し、論理的に組織を見直すことができた。

助成事業の総合評価

 社会の動向や地域のニーズを見据えること、改革を遂行しようという強い意志、具体的に計画に落とし込むこと、理事・事務局のスタッフ全員との意思疎通など、組織としてもそれぞれの個人としても多くの事を学んだ機会となった。事業全体を通して、立場や考えの違う理事・職員が理念の再構築という同じ目標へ向かうということ、自分の想いを言葉にして誰もが理解できるように伝えることの難しさを全員が嫌というほど味わったと思う。抜本的な改革になれば良いと願って始めたものの、予想以上に大きな改革となった。助成事業が終わり中期計画を実行していく今後が、さらに厳しい道のりになると理解しているが、いくつもの痛みを伴った変革であったことを忘れずに再構築した理念を実現させていきたい。

今後の展望について

(1)支援者の拡大

理念について、会員と職員が深く理解し、できあがったパンフレットやHPを活かし、内外へ周知・発信、会員の増加拡大を目指していきたい。特に、活動地域で、本団体の環境教育事業への認知度を上げていく。また、理念や事業内容の発信、社会参加への提案、営業戦略など、組織運営体制を強化し、多方面の支援者を取りこむ総合力を高め、学校・企業・行政等との協働事業開発や資金調達へと発展させる。

(2)理念の実現へ向けた事業運営

里山を中心とした新たな主催事業を開発し、理念と社会的意義を見据えた環境教育プログラムを増やしていく。リーダー育成制度を確立し、会の理念を担う人づくりを強化する。多様な参加者に合わせた、段階的な人材育成のできるシステムを構築する。参加者、学校、企業などのニーズを把握し、継続性のある広報戦略のもと、参加者を増やしていく。

(3)運営体制の転換、独自の組織確立へ

事務局・会員の役割分担と責任の所在を明確にし、より効率的に、各自がいきいきと主体的に行動していける組織体制、システムを確立する。会員制度の抜本的見直しを図ることで、より多くの市民の様々な形での参加を可能にする。行政からの受託事業依存から脱却し、職員主体の主催事業を収入の柱の一本とする。会員企画の主催事業を活性化、会の枠を超えた自立した事業運営を目指すとともに、新たな関係のあり方を構築していく。

事務局より

 当団体は、前身の団体が設立されてからの21年間、目まぐるしい社会変化に身を委ねるように事業と組織の拡大に奔走してきました。その間、団体の理念や活動方針の見直しを図らないままに活動に邁進してきてしまったことで、主に行政の受託事業費の削減が引き金となり、事務局運営に様々な問題点が浮上してきていた状況でありました。けれども、本助成事業で理念の再構築と中期目標の設定に取り組むことにより、理事会と事務局を構成する個々のスタッフが抱いていた組織への問題意識を浮き彫りにさせ、また、個人が持っている環境教育のこだわりを全スタッフで共有するという効果も獲ることができました。今後は、本助成を受けて再構築した理念と中期目標、作成したホームページやパンフレットなどの表現媒体を活用して魅力的な環境教育プログラムを開発・発信し、父母や企業など地域の支援者の拡大に努めるとともに、中短期的に事業を精査して生産性を高め、長年蓄積してきた経験知を地域社会へ還元できるような団体となることを期待します。