助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2011年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

NPO、自然学校等による地域内発型エコツーリズムの研究と提言

団体名

特定非営利活動法人 日本エコツーリズムセンター

助成事業の概要

[1] コンソーシアムの事例研究
エコツーリズムへの理解促進と地域が受益者となるための仕組みとして、地域コンソーシアムの事例を阿蘇と、全国事例として特殊ではあるがRQ市民災害救援センター(以下、RQ)を選定し、調査研究を行い、地域活性化のためにエコツーリズムや自然学校が社会に果たす役割の重要性を示す冊子をまとめた。

[2] 政策提言のまとめ
法的課題について、自然学校でのヒアリング、アンケートによる現状調査を行った上で、エコセンとしての提言をまとめ上記とともに冊子にした。さらにエコプロダクツ展で提言を紹介すると共に、本課題についての全国シンポジウムを開催し、現状についての問題提起、全国の事例紹介、そして法律専門家も交えた今後につながるディスカッションを実施した。

助成事業の取り組みで得られた成果

(1) RQのまとめ

RQ市民災害救援センターは、本団体のネットワークをフル活用することで始動した活動だった。現在もなお、RQのネットワークが更なるつながりを生み出し、多種多様な支援活動に発展している。本事業を通して本団体から生まれた活動の総括を自身で行い、社会的に意義付けしまとめることで団体のアイデンティティの強化とコンソーシアム・ネットワークの有効性を説くことができた。

(2) 「体験活動」の価値化という提言

阿蘇の事例を通して、エコツーリズムの担い手としての自然学校が、地域や小さな産業をつなげていくことで、地域の活性化を実現できることが明らかになった。加えて、それを全国的に実現するには、現行法は社会の実情に合っておらず活動に妨げになることに対し「体験活動」を価値化していく、という切り口で提言を作り、具体的な法改正への道筋をつくることができた。これは、単に現行法が不整備だという批判や、法の抜け道探しに走るのではなく、社会的な流れの解釈の仕方を変える、という新たな視点の提言となった。また、提言をまとめ発信していくことで、エコツーリズム分野だけでなく、他の新成長産業分野や普段の生活の中にも、法の不整合があることを社会に気付いてもらうきっかけとなり、社会的組織としての立場を高めることができた。

(3) 組織の強化

2011年は常勤職員を2名増員し、機材などが不足していたが事業による教育効果のほか、パソコンなどの備品を購入することができ、組織の基本的な部分の整備もすることができた。

助成事業の総合評価

孤立無援で奮闘している各地の小さな自然学校やエコツアー事業者へ、本団体のメッセージがRQの実践を通してかなり浸透した。また、これまで法的課題について問題を提起し、国の委員会などで取り上げることは行っていたが、本事業を通じて前向きで具体的な提言に繋げる道筋をつくることができた。さらに、提言書としてまとめたことにより行政や省庁、関係機関に送付し課題をより多様な主体と共有できるようになった。
団体設立以来、重要な課題としてきた「エコツーリズムの社会化(地域化)」、「地域ネットワーク(コンソーシアム)構築」、「法の不整合」について同時に取組んだが、震災という負のファクターをプラスに転じて事業成果を生み出すことができた。

今後の展望について

RQは、長期的な被災地支援に向けて現地拠点を自然学校化しており、これらの現地拠点の支援と、本団体が主体となった東京本部の活動をベースにしたネットワーク研究の場として、新たに「一般社団法人RQ災害教育センター(代表理事・広瀬)」が立ち上がった。こういった状況を鑑み、今後は本団体の「地域支援」とRQの「災害教育」をテーマにしたそれぞれの全国ネットワークにおいてより良い影響・相乗効果を生み出せるよう連携させていきたい。
また、今回の提言書送付先の追跡調査を行いながら、更なる政策提言や法的不整合の是正に向け、環境やITや福祉など新成長産業分野と連携して現状を調査し、構造変革を目前にした日本社会の大きな転換点への貢献を続けていきたい。

事務局より

 3・11の震災での行政対応を見ても明らかになったように、我が国の社会制度の疲弊は顕著で、その原因の一つには政財官の癒着構造と、縦割り行政の弊害があるように思われます。エコツーリズムや自然学校には、現在の我が国の地域社会が抱える課題を解決する大きなヒントが隠されています。そのための政策提言と、地域の担い手の育成・支援が本団体の存在価値だと思います。震災を契機に立ち上がった市民災害救援センター(RQ)は、本団体の持ち味を活かした好事例であり、従来の制度の枠組みではできない新しい社会の仕組みを作る上での一つの社会実験だと言えましょう。「エコツーリズム」という言葉さえなかった時期から、地域に根ざし活動を行っている団体が多数あります。彼らが地域の再生のために縦横に活躍できるよう、政治に働きかけ、法を変え、人を育てる仕組みを作る一連の仕事は、短期的に成果を産むことは大変難しいでしょうが、だからこそ本団体には是非粘り強く取り組み続けることを期待したいと思います。