助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2011年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

活力ある広域的中間支援(環境分野)の基盤強化

団体名

一般社団法人 環境パートナーシップ会議

助成事業の概要

多様な主体の参画による持続可能な社会づくりを目指し、市民、企業、行政機関等の連携、協調関係を創り出すために設置されたEPO(環境パートナーシップオフィス)が全国に8つある。環境問題の解決に向け、その社会的な役割に期待する所は大きいが、個々の受託団体はリソースも限られるため、継続的にスタッフを育成、新規事業を開発することに限界があった。そこで、本助成事業では、北海道環境財団【北海道】、みやぎ環境とくらしネットワーク(MELON)【東北】、環境パートナーシップ会議(EPC)【関東】、環境ネットワークくまもと(かんくま)【九州】の4つの中間支援組織がコンソーシアムを組み、それぞれが従前に行ってきた事業の棚卸しと、各方面へのヒアリングを実施、多様な組織が連携して環境課題を解決する一連のプログラムをメソッドとして定型化・可視化することに取り組んだ。

助成事業の取り組みで得られた成果

(1) 協働取組手法の確立と共有

4つの中間支援組織間で、環境課題解決協働取組手法『ラウンドテーブルソリューションメソッド(RTSメソッド)』を確立・共有することができたことが最大の成果と考える。異なる組織背景やスタッフ間の能力・経験値の格差がある中でも、RTSメソッドの工程枠で事例や情報を分析することで、手法を共通化できた。

(2) 団体間の情報基盤が共有された

RTSメソッドを展開する文脈で、団体情報・事例情報等が自動的に共有化されるようになった。例えば、第1工程を経過する際、過去に実施した類似事例の分析や、第2工程でファシリテーションができる人材リスト、第3工程で新たに参加が必要な専門家・専門的見地を持つ団体情報など、工程を揃えたことで、各行程で直面する課題も共有し、解決策を共有していくことがスムーズになった。

(3) 団体間の学び合いが可能になった

RTSメソッドが共有されたことにより、コンソーシアム内のスタッフがメソッドに基づいた事例の分析や企画をするようになった。それにより、団体の性質や扱っている事例が異なっていても、メソッド分析の視点から「こうすべきではないか」といった指摘が可能になり、「プロジェクト進行上どこが良かったのか・どこが問題だったのか」がわかるようになり、団体間の学び合いが可能になった。

(4) 実践におけるRTSメソッドの活用

メソッドを用いて、いくつかのプロジェクトを試行している。例えば、現在、除染ボランティアのガイドライン作りにRTSメソッドを活用し、合意形成プロセスをデザインしている。これまで中間支援組織のスタッフの中に蓄積されていたノウハウが、一定のルールによって分類・整理することができ、過去の事業の分析や、これから取り組もうとする案件の戦略作りができるようになった。

助成事業の総合評価

当初は、団体間での共通目標・中期計画の策定に力点を置いていたが、学びあいや机上の計画といった域を出ず、十分な手応えを得ることができなかったため、これまで各団体がどんなことをやってきたのか、どんな課題を持っているのかといった棚卸から議論をやり直した。議論をしていくうちに明らかになったのは、パートナーシッププロセスをコーディネートするには相当の経験値と専門性が必要だが、暗黙知化されていて、スタッフ間で十分共有がはかれていなかったということであった。人材の入れ替わりの激しい環境NPOセクターにおいて、一定程度経験値を摘まなければ活躍できないという状況は大きな問題であり、暗黙知化の可視化という発想からRTSメソッドが生まれた。

RTSメソッドが生まれたことにより、議論や分析がよりシャープになった。何をすべきかが明確になり、若手スタッフと熟練スタッフの企画や対策の違いが具体的かつ明確になった。具体的かつ明確になることで、若手スタッフがどの点を改善すればよいのかが明確になり、どういう情報を集めればよいか、過去の事例をどう分析すればよいかが明確になった。

RTSメソッドという具体的な手法を確立できた一方で、申請時に書いている中間支援組織間の中期計画については描き切れていない。これについては、引き続き議論を続けていくが、RTSメソッドによる具体事例を重ねながら、実績をもとにした議論をしないと、空論になる恐れがあるため、RTSメソッドの精度を上げていくことに注力したい。

今後の展望について

RTSメソッドを活用した具体案件の実施に今後は注力したい。現在、除染ボランティアや新しい公共円卓会議など、具体的な案件が動いており、案件形成を通じて、RTSメソッドの精度そのものも高めていきたい。4つの中間支援組織は、環境省が設置する環境パートナーシップオフィスを受託しているが、将来的には行政資本に依存せず、多様な資金源による広域中間支援組織の構築を視野に入れており、その点で自取財源の確保は一つの課題であった。RTSメソッドを実践的な場で活用する点について、当初まちづくりコンサルティングなどを行うことを想定しており、具体的にはマンション管理組合に対して、住民の合意形成を図る提案を行っているが、具体的な進展はない。一方で、除染ボランティアなどの案件は、社会的な重要性はある一方で、それ自体を収益化しにくいテーマである。中間支援組織の資金的な自立という点では、このメソッドを収益が上がる形にしていくことも今後の課題である。

事務局より

 環境省が各地域の企業、市民らと連携して各地に設置したEPO(環境パートナーシップオフィス)は、環境分野のNPOへの支援を一つの役割としており、その運営受託団体としての本団体をはじめ各地のコンソーシアム団体が連携することで、より波及効果の高い支援メニューを生み出そうという企画が本助成の趣旨です。本助成で生み出した「RTSメソッド」という手法は、多様な主体が地域の課題に取り組み、合意形成を図る上で可能性を感じさせるものですが、学問的に言えば未だ仮設の域を出ておらず、臨床事例を積み重ね、手法の有効性を証明するには至っていません。机上の空論に終わらせないためにも、是非地域の現場に出かけて行き、手法を活用し、修正を加えながら、引き合いが多数来るようなメソッドにまで高めて行っていただきたいと思います。