数々の失敗を糧に試行錯誤しながら実践

「育て上げ」ネット
事務局スタッフ 川田朋実さん

特定非営利活動法人「育て上げ」ネットは、すべての若者が将来に希望をもてる社会を目指し、働くことに困難を抱える若者や保護者を支援してきました。事務局スタッフの川田朋実さんによれば、「予防型の早期支援」に取り組むため、まずは求職中の若者のデータを分析しました。

「その結果から、支援対象者を大卒ニート予備軍の大学4年生と既卒3年以内、25歳未満の若者に絞り、就職支援セミナーを企画しましたが、リーチ方法を誤ったせいで集客はゼロでした。すでに企業と協働で対象者に近い層へのサービスを始めているので、そこからリーチ戦略を立て直し、大学と保護者に対して今後も早期段階から継続的に関わっていきます」

特定非営利活動法人 マドレボニータは、産後の女性に向けたヘルスケアプログラムを研究・開発してきました。事務局スタッフの宮下ひかりさんは「産後クラスの受講生を増やそうと産科・産院に飛び込み営業をかけようとしたが、うまくいかなかった」といいます。

「そんな中、プレマーケティングの過程で、地域の仲間に共感を広めていくことこそが大事なのだと気づかされました。そこで、産後クラスに参加した人が出産した病院に、そのよさを伝えに行くという、関係性に基づいた丁寧なアプローチへと方向転換しました」

マドレボニータ
事務局スタッフ 宮下ひかりさん

ひらかた市民活動支援センター
理事長 植田奈保美さん

特定非営利活動法人 ひらかた市民活動支援センターは市民活動を支援する認定NPO法人です。理事長の植田奈保美さんは、サービス受益者である登録団体にヒアリングした結果、「収入を増やす仕掛けづくり」の必要性を感じました。

「他団体とコラボしたいが踏み出せないとの声を受け、私たちはつなぐ機能に特化しました。応募団体の企画を生かしつつ、団体同士のつながりをつくれるようなイベントを開催したところ、参加者は満足すればリピーターにも企画提案者にもなるし、ひいては市民活動の主体者となる可能性もあることが確認できました」

特定非営利活動法人 ブラストビートは高校生・大学生が音楽会社を立ち上げ、音楽イベントを開催し、利益の25%以上を寄付する活動をサポートしています。このプログラムを体験後、メンターとして関わる斉藤雄人さんは「プログラムを全国の若者に届けるために、ファンドレイジングの必要性を感じた」といいます。

「会員のデータを分析したところ、コミット率が高い人ほどサポーター会員になっていることがわかりました。そこで、メンターとして関わる社会人のスキルを活かした勉強会『まなびーと』、プログラム経験者の『ブラビ同窓会』を実施。関わるきっかけを多くつくると同時にプログラムの質を上げ、ファンを増やしていく方針です」

ブラストビート
斉藤雄人さん

全国不登校新聞社
編集長 石井志昴さん

特定非営利活動法人 全国不登校新聞社は不登校・ひきこもりでも安心できる社会を目指し、月2回、新聞『Fonte(フォンテ)』を発行してきました。しかし編集長の石井志昴さんによれば、「2009年度に採算ラインの1100部を下回り、820部になった12年4月には休刊予告を出した」そうです。

「新規読者のデータを分析したところ4割が元読者とわかり、元読者に存続危機のチラシを送った結果、約3%が復帰。新規獲得に要したコストも弾き出し、最終的に1600部まで回復した。今後は“不登校新聞とは何者か”という問いに、読者目線で答えていきます」

最後に、NPOマーケティングプログラムの講師でもある多摩大学総合研究所准教授の松本祐一さんが、全国不登校新聞社を例に、マーケティングのポイントをわかりやすく解説しました。

第2部 NPOと支援の専門家集団との交流・意見交換会

第2部では、NPO支援の専門家8人が得意とする支援の内容をプレゼンした後、それぞれの専門家を中心とした8つのグループに分かれ、一般参加の皆さんも加わっての交流・意見交換会が行われました。

たとえば、ファンドレイジングの戦略立案やWEBマーケティングを専門とする合同会社コーズ・アクション代表の菅文彦さんは、ブラストビートからの質問を受け、「団体内の協力者からファンドレイジングする方法」についてアドバイスを送っていました。

また、メンバーのコミットメントやコミュニティへの愛着をテーマとする特定非営利活動法人CRファクトリー代表の呉哲煥さんは、「お金以外の報酬」について語り、独自に開発した「自分×団体プレゼンテーション」の様子を紹介していました。

交流の後には、報告会・セッションを通じた振り返りの時間を設け、NPO支援の専門家集団と発表団体の代表5人が登壇しました。それぞれのグループで、どのようなやり取りが行われたかを報告し合い、この日の学びを共有しました。

多摩大学総合研究所
准教授 松本祐一さん

そして最後は、松本祐一さんからの「このプログラムは自分自身を知り、自分たちの足元にある仲間や経験こそが宝であることに気づくためのプロセス。具体的に動くことでしか見えないものがあるので、スタートは早いほうがいい」という力強いメッセージで締めくくられました。

新たなネットワークや次なるアクションが生まれる予感を残しながら、フォーラムは閉幕しました。