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NPOマーケティングプログラム2013-オリエンテーション&基本研修第1回

2013年5月25日、東京都内で「Panasonic NPOサポート マーケティング プログラム」のオリエンテーションと基本研修第1回を開催しました。
パナソニックは、社会課題の解決に取り組むNPOが持続的に発展していくために欠かせない組織基盤の強化を2001年から応援しています。現在5つのプログラムを展開し、その一つが「マーケティングプログラム」です。
これは2008年からNPOサポートセンターと協働で企画・運営してきたプログラムで、今までに46団体を支援しています。今年はさらに多摩大学総合研究所、法政大学・連合協働研究所とも共催する形で運営しています。
この日は、応募書類の選考を経て6カ月間のプログラムに参加することが決まった6団体の代表や事務局長、スタッフ、参加団体をサポートする講師、社会人サポーター、事務局など40名が参加しました。

NPOの寄付や会員獲得、 ミッション達成に欠かせないマーケティング

開催にあたって、パナソニック ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化グループの東郷琴子が、共催挨拶をしました。

「マーケティングはNPOが寄付や会員を獲得したり、サービスの対価を得たり、組織のミッションを達成したりするための重要な取り組みです。このプログラムはNPOがマーケティング力を身につけ、ノウハウを組織で共有し、自力で課題を解決できるようになることを目指しています。今日は座学とワークによる学び、講師、社会人サポーター、NPO支援の専門家、過去にプログラムに参加した先輩団体との交流を通じて、刺激的な1日になることと思います」

パナソニック 東郷琴子

続いて、NPOサポートセンター事務局次長の田邊健史さんから、プログラムの説明がありました。

NPOサポートセンター
事務局次長 田邊健史さん

「このプログラムは単なる研修ではなく、マーケティングの基本を学びながら、皆さんが日頃から抱えている課題に対してマーケティングの手法で解決していく実践の場です。今日を含めた2度の基本研修で環境分析を学んだ後、応募企画書に書いた施策案をブラッシュアップしてもらいます。続く実践研修で専門家や社会人サポーターによる個別支援を受けながら、実際に施策を立てて実行し、Plan(計画)、Do(実行)、check(評価)、Act(改善)のPDCAサイクルを回していきます。そして、6カ月後の11月30日には成果報告会が予定されています」

「あなたを料理にたとえたら?」 物事の本質を捉える

そしていよいよ、多摩大学総合研究所の教授である松本祐一さんによる基本研修が始まりました。
まずは、ウォーミングアップとして「自分を料理にたとえる」という課題が出されました。

参加者からは「人との間に壁をつくらないから、お通し」「噛みしめるほど素材のおいしさが出てくるラタトゥイユ」などと、ユニークな発言が次々と飛び出しました。
松本さんの解説によれば、これは「メタファー(隠喩)」といって、商品開発をするときによく使われる手法で、物事の本質をとらえるのに適しているそうです。

この後、「マーケティングの基本」について講義を受けた参加者の皆さんは昼食を共にしながら、団体の活動と組織が抱える課題、そしてこのプログラムに懸ける意気込みを発表しました。

キーパーソン21
事務局長 下川原彩さん

NPO法人 キーパーソン21
「小中高の生徒を対象に、将来を考えるきっかけを提供する独自のプログラムを教育現場で実践しています。会員や企業の方が実践することもあれば、地方の方が地元の学校で実践することもあります。大人が子どもの教育に積極的に関わる社会の実現が目標です」

認定NPO法人 FoE Japan
「世界77カ国の団体が集う草の根的な国際環境NGOのネットワークです。気候変動や森林保全、日本が投資する海外プロジェクトのモニタリングなどがテーマです。活動が多岐にわたっているので広報活動を強化し、継続的支援者の拡大に取り組んでいきます」

FoE Japan
事務局長 三柴淳一さん

GRA
共同代表 石田美和子さん

NPO法人 GRA
「被災した宮城県亘理郡山元町の復興を目指し、もともと名産品だったイチゴのブランド構築に取り組んでいます。メンバーは全員がプロボノなので、より幅広い業種・専門分野の人材を巻き込んでマネジメントしていけるように頑張ります」

NPO法人 SOLUNARCHE(ソルナーチ)
「パキスタンの貧困問題に取り組んでいます。現地のNGOと協力し、女性や子どもに識字教育や職業訓練を行うフリースクールを運営してきました。設立から1年、行き当たりばったりでやってきたので会員制度を確立し、経営状況を安定させたいと思っています」

SOLUNARCHE
代表理事 前川航太朗さん

ビーンズ
代表 玉手拓海さん

ビーンズ
「障害者と外に出かけるサービスを株式会社で運営してきました。これからは障害のある子どもの家族が、当事者の人生に関わる意思決定について気軽に相談できるNPOの存在が必要だと思っています。複数の分野を横断した支援を、どのように体系化していくかが課題です」

NPO法人 Class for Everyone
「日本で使われなくなったパソコンを企業や個人から集め、途上国の貧困層に届け、教育・就労の機会を創出している設立2年目の団体です。代表の私が単独で何もかも回していたので、団体のミッションを浸透させ、一緒に活動するメンバーを増やしたいと思っています」

Class for Everyone
代表 高濱宏至さん

すでにもっていた組織の資源に改めて気づく場

昼食の後は昨年、マーケティングプログラムに参加したNPO法人ICYE JAPAN事務局長の宇梶朋子さんが「ケーススタディ」として、体験談を話しました。

ICYE JAPAN 事務局長
宇梶朋子さん

「ICYE JAPANは1958年に発足した団体で、40カ国に支部があります。ボランティアの派遣や受け入れを通して文化理解を促し、平和につなげる活動をしています。私自身も学生だった06年から1年間、デンマークでボランティアをしました。ところが帰国するなり、経営悪化による団体の閉鎖を告げられました」

団体存続のために就職の内定を蹴って、一人で常勤スタッフを務めることになった宇梶さんは運営に行き詰まり、マーケティングプログラムに参加しました。

「初めは地方のニーズを掘り起こし、ボランティアの派遣と受け入れを増やすことが目標でした。しかし環境分析を進めるうちに、リターニー(ボランティアに参加して帰国したOB・OG)の価値に気づき、彼らが各国で吸収した文化を一般の方に知ってもらうイベントを開催することにしました。今ではイベントにリターニーが主体的に関わるようになり、財政規模も拡大して常勤スタッフが3人も増えました。すでにもっているものや経験の中に資源が埋もれていることを学ばせてもらいました」

バディ団体と切磋琢磨し、外部環境分析シートに磨きをかける

ここで引き続き、松本祐一さんによる基本研修が行われました。

参加者の皆さんは、団体を取り巻く環境を分析する「外部環境分析シート」の作成にまず個人で取り組んだ後、団体内で対話を重ねながら、その内容を大きな模造紙に集約しました。

各団体には研修期間中、パートナーとして切磋琢磨する「バディ団体」が定められています。今回は、そのバディ団体に完成した外部環境分析シートを見てもらい、自分たちが想定する「顧客」と「顧客価値」についてプレゼンし、質問を受ける時間が設けられました。
そして最後に、この日の学びを反映した外部環境分析シートのブラッシュアップと顧客リサーチが、次回までの課題として出されました。

続いて、社会人サポーターの鈴木大介さんを講師とする「次回課題に向けたミニ講座」が開かれました。講座では、「リサーチには、どういう顧客がどのくらいいるのかを数字で把握する定量調査と、インタビューによって顧客価値を深掘りする定性調査がある」といったリサーチのコツが伝授されました。

参加団体、講師、サポーター、事務局が 立場を超えて交流を深める懇親会

プログラムの終わりには参加団体や講師、社会人サポーター、事務局が情報を交換し、交流を深める懇親会の時間が設けられました。

キーパーソン21
事務局長 下川原彩さん

参加団体であるNPO法人キーパーソン21事務局長の下川原彩さんに、この日の感想を聞きました。

「団体としての方向性の分析などが、いかに不足していたかを痛感しました。団体規模をこれから拡大していくにあたって組織を強化したいと思っていた、ちょうどそんな転換期にタイミングよく参加できてよかったと感謝しています」

このプログラムでは、中小企業診断士や弁護士、人材サービス会社のコンサルタントなどのスペシャリストが「社会人サポーター」として参加団体に寄り添います。社会人サポーターをフォローする立場にある加藤遼さんは、次のように意気込みを語りました。

「普段は、人材サービス会社で事業企画やコンサルティングをしていますが、社会課題の解決の現場にいる人たちとリアルに触れ合いたくてこのプログラムに参加しています。多様な人が連携してプロジェクトを進めるときに生じる問題を解決する仕組みを確立し、本業にも活かせたらと思っています」

会場では、活動の分野や立場を超えた交流が、あちこちで活発に行われていました。
この出会いがいつか、異色のコラボレーションとして開花し、社会的インパクトをもたらすことがあると思います。
参加者の皆さんにとっては、とても充実した1日となったようでした。

加藤遼さん