2015年度「Panasonic NPOサポート プロボノ プログラム」
参加者への調査からのご報告 ~後編~ 2/2

かわいい子には旅をさせよ?
仕事のスキルを活用した社会貢献が、
本業における協働、主体性、組織への愛着を高める

~藤田さんの本業における変化のストーリー~

「やって当然、やれて当たり前」だった仕事に、
楽しさと自信がうまれた

Q. プロボノに参加されて、気づいたことはどのようなことでしょうか

藤田さん
“私はどちらかというと社内の仕事が多いので、面識もなく業界も違う社外の方とお話しして、パナソニックの代表として見てもらえたっていうことは身も引き締まりましたし、嬉しかったですね。
「自分はたまたま大きい会社に入って、たまたまずっと勤めていて、ずっと同じような仕事をしている。だからある程度の評価を頂けている、出来て当たり前」というように自分のことを見ていたんですけど、社外の人と直接的に、自分が専門じゃない分野でも仕事のような活動をさせてもらい、そこを評価をいただけたというのは、今まで自分が社内で培ってきたことや、勉強してきたことが社外からも認めてもらえるんだと、自信になりました。”

“また、仕事ってプロとしてやって当たり前なので、ありがとうとか言ってもらえることがあまりない、やって当然と考えるところがありますが、プロボノでは素直にダイレクトにありがとうと言ってもらえるのがすごく嬉しかったです。がんばろうと思うし、結果として自信にもなりました。”

写真:プログラム参加中の様子1

次に本業でマネジメントをするときは、プロボノ・スタイルでやると思う

Q. プロボノでの気づきをもとに、本業での仕事が変わったこと、変わりそうだと思うことはありますか

藤田さん
“以前マネジメント職をしていた時は、自分の専門分野・テーマの実務をやりながらのいわゆるプレイング・マネジャーでした。当時は、マネジメントをやりたくてしていたわけじゃなかったから、やらされ感もあったんでしょうね、きっと。専門の仕事が好きでしたから。
でも、プロボノで実務を任せて調整役に徹してみたら、こっちのほうがおもしろい。みんながやってくれたことが形になっていくのが見える。自分が実務もしていたら人のことを構う余裕も生まれないし。もう1回自分がマネジメントを仕事上ですることになったら、やり方を変えていくと思います。もう少し余裕を持って、本当に任せますっていう感じで、なるべく自分は引くようにすると思います。”

~山形さんの本業における変化のストーリー~

視野が広がり、隣のプロジェクトの進捗まで
冷静に見られるようになった

Q. プロボノでの気づきをもとに、本業での仕事が変わったこと、変わりそうだと思うことはありますか

山形さん
“プロボノのチームって、会社での仕事と違って、いろんな要素を全部カバーしないといけないところがある。コンサル会社みたいな感じで、いろんなことをみんなで考えて知恵を集めて進めていくから、1人1人の視野がすごく広がるように思いました。”

“プロボノに参加する前は、忙しくて周りまで見渡せる余裕がなかったんですけど、今は例えば、隣のプロジェクトはどうしているのかとか、他にも気を配り、そういうことも冷静な目で見られるようになりましたね。客観的に見てアドバイスすることもあって、こういうふうにやっていこうよとか前向きに話もできるように。”

写真:プログラム参加中の様子2

“今いる情報システム部門っていうのは、ユーザー部門があって初めて存在するような部署なんですよね。ユーザー部門が気づいてない課題を見つけて、ソリューションを納得してもらった上で提案していくっていう、ある意味おせっかいな部門でもあるんです。
プロボノでは、全く異文化の事業において、そもそも課題はどこにあるのっていうのを探さないといけないところから始まりました。相手のアタリマエの中で見過ごされている課題を見出すという点で本業と共通した仕事を、プロボノという、やらされ感がない中で自発的に進めていくのがすごく楽しかったです。日頃の客観的にアドバイスをするという業務スタンスが自然と表に出てきたように思います。”

~岐津さんの本業における変化のストーリー~

エンジニアとしての専門性の充実から、
チームで成し遂げる成果へと視点が変わった

Q. プロボノでの気づきをもとに、本業での仕事が変わったこと、変わりそうだと思うことはありますか

岐津さん
“プロボノ参加以前は、自分の持っている技術を磨いて、スペシャリストとして生きていくべきなのかなと思っていたんです。でもマネージャーになってもいいかなというか、なりたいかなという気持ちになってきました。”

“プロボノでは、仕事が本当に忙しくてプロボノ活動が全然できなくなってしまう人がいるのも当然。自然と、周りの人の進捗状況もカバーしなきゃいけないとか、そういうのを常に考えながらやっていました。自分がカバーされたときには、最初はちょっと申し訳ないなという気分にもなったんですけど、でも、ちゃんと見てくれてる人がいる、カバーしようと考えてくれているというのは安心感もあるし、お互い様的な支え合いがすごくいいなって思いました。
それで、そういう組織に自分の職場をしていきたいと思うようになりました。みんなやっぱり楽しく仕事したいじゃないですか。当然しんどいことはたくさんありますけど、充実感を味わえる組織にしていきたい。“

写真:プログラム参加中の様子1

“ソフト開発の仕事をしていて、自分1人でやる部分がわりと多いので、これまでみんなで大きなことを成し遂げるっていうことの実感があまりわいてなかったかもしれないですね。お客様にもっと喜んでもらえるにはどうしたらいいかっていうことを考えると、自分がやるだけじゃなくて、周りの人も巻き込んでいって、もっと大きな果実を得るということがより大切なんだなという実感が、プロボノを経験した今はあります。”

“上司にも面談のときに、「最近、成長してきたね」って言われました。プロボノとの関係性はたぶん気が付いていないと思うんですが・・・”

上司からみても、本業の取り組みに変化が感じられた

プロボノでの活動を詳しくご存じない上司の方にも、岐津さんの変化が伝わったとのこと。職場でのどのような行動に変化が現れていたのでしょうか。岐津さんにご紹介をいただいて、上司の方にも直接お話を伺いました。

Q. 岐津さんに「成長したね」と声をかけられたそうですが、上司の目から見てどのような変化を感じられたのでしょうか

“最初の気づきは、周りへの発言がちょっと変わってきたなと。目線や姿勢が、ベースとして上がってきたかなと感じました。周りが、だいぶ上から見渡せるようになったと思っています。エンジニアとしての能力が飛び抜けて高いので期待もしてしまうのですが、これまでその辺りで歯がゆい思いをしていました。今は「最後までやりきる」というような気概が表れてきて、非常にうれしいです。”

“プロボノ活動をやっているのも知っていたんですけれども、全然そこは意識していなくて、「最近、顔つきが変わってきたね」、「こういう印象で違いがあるんだけど、何か心当たりある?」っていうような話をしたときに、「もしかしたら、プロボノがいい影響を与えてくれているのかもしれません」ということを言っていました。”

Q. 技術的に優秀なメンバーを、プロジェクトや組織を動かす目線に引き上げるきっかけになったとしたら素晴らしいですね

“通常の業務の中では、私は次のステップに上げたいメンバーに対しては、外との交渉事をする機会を与えます。時には、交渉先に反対されたりするなかで、なぜやらないといけないかというのを、自分なりに納得してやっていくというところが必要になりますが、技術者にはそういう経験を嫌がる人が多いですね。”

“プロボノは自発性が問われますし、自分がやるという意志を持っていないと、なかなか進められないですよね。そういう経験の中で、岐津さんがマネージャーに興味を持ち始めたというのは、非常に大きな変化の表れかと思います。”

調査を通じて、プログラム参加者の豊かな「越境経験」の一端が可視化されました。日常でアタリマエ化していた個人の能力や組織力が、感謝や驚きの声によって、自信をもって意識的に使える資源に変わりました。互いをケアしつつ主体的に動くというボランティア活動ならではの経験が、仕事上のリーダーシップスタイルに影響を与えました。このような自信と主体性の回復は、社会貢献活動への参加がもたらす素晴らしい副産物といえるでしょう。