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NPO/NGOの認知・支援の拡大に向けて
Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ
〜2016年成果報告会、広報に関する勉強会を開催〜

パナソニックは、貧困や飢餓、教育、保健医療などあらゆる分野で問題を抱えるアフリカ諸国において、課題解決に挑むNPO/NGOの広報基盤強化を支援するプログラム「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」を2010年より実施しています。

2017年1月18日に、本プログラムの2016年助成団体の報告会をパナソニックセンター東京で開催しました。報告会の後には博報堂から講師を招き、NPO/NGOの広報基盤の強化に向けた勉強会も行いました。

<成果報告会>

■アフリカの社会課題をもっと身近に感じてもらいたい

2016年に「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」の助成を受けた4団体が、これまでの成果や今後の取り組みについて報告を行いました。

まず登壇したのは、「すべての人々が安全な水と衛生を利用できる世界」の実現を目指す認定特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパンのコミュニケーション担当 立花香澄さんです。

「日本人に対して遠く離れたアフリカのことを一方的に話しても、なかなか自分事として捉えてもらえません。また、3名の職員だけで伝えるには限度もあります。そこで、アフリカの水事情について語ることのできるボランティア人材の育成に取り組み、こういった人材を『ウォーターエイド・スピーカークラブ』として組織しています。2016年は全国5都市でスピーカー養成のための講習会を開催、48名のスピーカーを新たに養成し、対面による広報活動の強化を図ることで支援者の拡大に努めました。」

写真:認定特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパン コミュニケーション担当 立花香澄さん

認定特定非営利活動法人 ウォーターエイドジャパン
コミュニケーション担当 立花香澄さん

続いての登壇は、西アフリカの内陸国、ニジェールについて、少しでも多くの人に知ってもらうことで、子どもたちの支援につなげようと活動する一般社団法人 コモン・ニジェール 代表理事 福田英子さんです。

写真:一般社団法人 コモン・ニジェール 代表理事 福田英子さん

一般社団法人 コモン・ニジェール
代表理事 福田英子さん

「『貧困』や『テロ』などのイメージが強いニジェールですが、国土の75%を占めるサハラ砂漠は『星の王子さま』の舞台でもあり、実はとても美しいところです。そこで私たちは、ニジェールの美しさを伝えるために絵本を作りました。絵本のコンセプトは、『行きたくても行けない場所に想像力で旅をしませんか』です。国内3ヶ所で展覧会も開催し、延べ1,100人以上にご来場いただきました。今後は絵本を動画や朗読CDにすることで、より多くの方々にニジェールへの関心を持っていただきたいと思っています。」

3番目は、アフリカ諸国でのトイレ建設、中東での難民支援、アジアでの衛生支援など様々な活動を展開する公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)広報担当 福島美樹さんです。

「NICCOは多岐にわたる活動を行っているため、ビジョンや活動をシンプルに伝えられていないという広報課題がありました。そこで、ご支援をいただいたこの3年間は、アフリカにおけるトイレの建設に絞った広報活動を行ってきました。インターネットと対面イベントを組み合わせた活動の結果、スマートフォンサイトへのアクセス数は1年で約170%増加しました。『NICCOさんといえば、トイレをやっていますよね』と言っていただける機会も増えています。」

写真:公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)広報担当 福島美樹さん

公益社団法人 日本国際民間協力会(NICCO)
広報担当 福島美樹さん

最後の報告は、全国から寄付を募った着物を一枚布にし、ルワンダに送って洋裁指導をしてきた認定特定非営利活動法人 リボーン・京都 事務局長 横田千景さんです。

写真:認定特定非営利活動法人 リボーン・京都 事務局長 横田千景さん

認定特定非営利活動法人 リボーン・京都
事務局長 横田千景さん

「ホームページでの情報発信や大学・百貨店でのイベントの開催に注力した結果、若い世代の支援者数を3人から30人に増やすことができました。また、2016年には広報マニュアルが完成し、短期のボランティアの方にも広報業務を依頼できるようになりました。今後は、途上国の労働環境についてもっと知っていただくために、ルワンダの伝統生地を使ったエシカル・ファッションの拡大に向けた取り組みを強化していきます。」

■人の流動が多いNPO/NGOにおいて、いかに広報基盤を作るか

選考委員から講評や意見も寄せられました。

「3年間、選考委員を務めさせていただいていますが、『広報基盤』に対する申請の内容が急速に変化してきた実感があります。3年前は撮影機材など『モノ』への要請が多かった。確かに広報基盤の一つではありますが、審査委員の間で違和感があったのは事実です。それが『人』への投資に変わってきました。人の雇用や育成は、果たして広報基盤なのか? という議論を重ねてきています。そして本日、マニュアルの作成によって『引継ぎ』が行われるようになったという団体の発表がありました。『人から人に』広報活動のソフト面が見える化し、スムースに移管することができるようになったことが、モノではなくコトとしての広報基盤整備の成果であると、強く思いました。」

写真:株式会社 博報堂 PR戦略局 部長 加藤昌治さん

株式会社 博報堂 PR戦略局
部長 加藤昌治さん

写真:パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部 部長 福田里香

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部
CSR・社会文化部 部長 福田里香

「皆さまの報告は『成果、それは変化である』ということを体現されている内容であり、嬉しく聞かせていだきました。また、高齢化が進む中、若者の支援者を着実に増やしている団体の発表を聞き、パナソニックのCSR・社会文化活動も若者に広げていきたいと感じました。これから助成を受ける皆さんの参考にもなると思いますので、ぜひ、失敗や悩んだことについても共有をしていただきたいです」

当日ご欠席の特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長 定松栄一さんからは、「NGOの広報の第一歩は、自らのビジョン・ミッションを明確に定義することです。どのような世界を作っていきたいのか、そのために何をしたいのかを社会に伝えることによって、NGOは支援の輪を広げていきます。ビジョン・ミッションを定義することが、広報において何を伝えるかを決めることだとすれば、次の問題は、どのように伝えるかです。この点で、今回の4団体の取り組みは興味深かったと思います。」とメッセージが寄せられました。

写真:特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)事務局長 定松栄一さん

特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター(JANIC)
事務局長 定松栄一さん

写真:特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会 国際保健部門ディレクター 稲場雅紀さん

特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会
国際保健部門ディレクター 稲場雅紀さん

「皆さまの報告に、非常に励まされました。現在、NGOは全般的に危機状況にあります。特に日本発の小規模な現場定着型のNGOでは、長年アフリカで活動してきたリーダー層や支援者層の高齢化が深刻化しています。また、小規模なNGOで経験を積んだ若手が、民間企業に行ってしまうという人材流出の問題も起きています。そんな中、若い世代をどのように惹きつけるのかという課題に対して、今回の4団体の取り組みはヒントになると思います」

<勉強会>

■見込み客をつくるために情報発信量を増やす

成果報告会の後には、博報堂の加藤昌治さんによる、広報基盤の強化に向けた勉強会が行われました。

加藤さんは、「相手がすでに自分について知っていると、関心を持ってもらいやすい。広報活動を通してより多くの共感を得るには、自分たちの情報を大量に、あらかじめ相手に対してインプットしておくことが重要」と強調します。

「支援者を増やすには、いきなり支援を乞う前に、まず『見込客』をたくさん持つことが大事です。広報活動の効果を高めるためには、『たくさん伝えること』『ストーリーで伝えること』『相手が知らなかった情報を伝えること』がポイントになります。皆さんの団体には、伝えられる情報がすでにたくさんあるはずです。それを圧縮してしまうのはもったいない。ホームページ上で、写真が一枚しかない宿に泊まりたくなりますか? 自分が知らない商品やサービスをいきなり買うのは勇気がいります。まず必要なのは、かっこいいキャッチコピーひとつではなく、情報の量、ボリュームを増やすことなのです。」

「情報の受け手は、皆さんの団体のことや、活動を行っている国がどこにあるといった基本情報について、何も知らないという前提に立つことも大切です。みなさんの支援者候補である生活者は、NGOの活動の平均値、『ふつう』がどこにあるのかを知りません。ゆえに皆さんの活動がどれくらいすごいのか判断できません。『ふつうと自団体との差』を伝えるコミュニケーションも効果を発揮します。」

写真:博報堂 加藤昌治さんによる、広報基盤の強化に向けた勉強会

加藤さんのお話の後は、それぞれの団体で年間にどのような活動が行われ、どのような情報発信が可能かについて棚卸しと共有するワークを行いました。グループごとに話し合うことで、様々な気づきが得られたようです。

「活動についてもっと読んでもらえる情報を増やすために、発信担当者が簡単に使えるツールを模索しようと思いました。」
「日々の仕事に追われていて、きちんと情報を発信できていませんでした。難しいことは考えず、現地のことや活動について知ってもらえるブログなどを増やすことが大事だと学びました。」
「イベントなどで活動に関する質問をよく受けます。普段のやりとりで求められる情報が喜ばれるのだと気づきました。ホームページを綺麗に作らなくてはといったことばかり考えていて、大事なことを忘れていました。」

加藤さんは、「情報の受け手に対して、皆さんの活動『報告』を行うのではなく、活動の『疑似体験・追体験』をしてもらいましょう。少ない情報量でコンパクトに伝えるのではなく、ストーリーとなるように、結果的にはボリュームが多くなるように。」と締めくくりました。

アフリカ諸国の課題解決に取り組むには、より多くの人々に、それぞれが抱えている課題について認識していただくことが重要です。パナソニックは、今後もNPO/NGOの組織基盤の強化に向けた応援を続けていきます。