NPO、『プロボノワーカー』と出会う 適度の緊張感、多様なキャラクターとの協働作業による刺激と創造

NPO法人「花と緑のネットワークとよなか」は昨年、プロボノチームの支援を受けて、ホームページのリニューアルを行った。 「プロボノ」とは、一般社会人が自身のスキルや経験を生かして行うボランティア活動で、新しい社会貢献のかたちとして注目されている。関西で本格的に始まった「NPO×プロボノワーカー」の新たな出会いは、両者にどのような化学反応を起こしたのか。 プロジェクトを終えた同団体とプロボノチームに取材した。
[THE BIG ISSUE JAPAN ビッグイシュー日本版 第183号(2012年1月15日発行)掲載内容を再編集しました]

発足から10年。 継続・発展のためには変わる必要があった

「花と緑のネットワークとよなか」代表理事 高島 邦子さん

「いやー、正直、最初はプロボノプログラムに参加するかどうか迷ったんだよね」そう打ち明けるのは、NPO法人「花と緑のネットワークとよなか」(以下、「花と緑」)事務局長の中村義世さん。つられるように、同代表理事の高島邦子さんも「説明会に行って、ウチはやめておこうって言ってたのよね」と二人して笑う。

というのも、今回のプロボノプログラムはNPOのウェブサイト構築を支援するものだったが、同団体ではホームページの情報発信は限定的。日々の広報活動はブログを中心に行っていたことから、「今さらホームページを大改造するのは大変すぎる」と二の足を踏んだのだ。ただ……。組織を客観的に眺めれば、「大きな課題はあった」と二人は口をそろえる。

任意団体の活動を経て 「花と緑」が発足したのは、02年。資源循環型地域の形成を目指して、生ごみの堆肥化実験を市民提案したのをきっかけに、学校給食の食べ残しに街路樹の剪定枝を混合した土壌改良材「とよっぴー」を頒布・有効活用する団体としてスタートした。活動を続けていくうちに、「とよっぴー」を使って花づくりを行う「花いっぱい運動」や野菜の直販活動、さらには家庭生ごみの堆肥化推進運動、「とよっぴー農園」での環境体験学習など、事業内容は多岐に広がった。多種多様な事業を展開する中で、それらを支える活動資金と人手を、今後、どう安定的に確保していくのか。発足から10年近くが経ち、組織基盤強化の問題は避けては通れない課題だった。

「私らの活動はボランティアから始まって、有機物資源を地域で循環させる小さなモデルケースをつくりたいという思いひとつでやってきたんですね。盤石な組織はなくても、活動が広がることに自分たちは達成感を感じていたし、むしろ無償の奉仕こそ美徳とも思っていた。でも、活動を継続していくには、事業と収益のバランスを考えてマネジメントしていく必要があるし、これからは無償の美徳では団塊世代以下の若い人たちはついてこない。自分たちの組織も変わらなアカンなと思っていたんです。会員数の拡大やボランティアの裾野を広げるには広報活動が大事だけど、ホームページはほとんどアクセスがない状態で、かといってリニューアルするには自分たちでは限界がある」。そこで、「プロボノチームにお願いしてみることにしたんです」と中村さんは当時を振りかえる。

「花と緑のネットワークとよなか」事務局長 中村義世さん

[団体情報 花と緑のネットワークとよなか]
地球環境を守る市民行動計画である「豊中アジェンダ21」の取り組みの一環として、99年に豊中市と事業者、市民の三者が協力して生ごみの堆肥化実験を実施。その後、01年の食品リサイクル法の制定をきっかけに、学校給食の食べ残しに街路樹の剪定枝を混合した土壌改良材「とよっぴー」を頒布・有効活用する団体として02年に発足した。地域の花づくりを通してコミュニティを創造する「花いっぱい運動」や農家と消費者を結ぶ野菜の直販活動、「とよっぴー農園」での環境体験学習など、「とよっぴー」を活用した多種多様な活動を展開している。