ベトナム農村地方で洗濯の重労働の解消をめざす

現在、ベトナムの農村地方における洗濯機普及率は20%弱です。この地方では、洗濯は主に女性の仕事で、手洗いでの洗濯に1日平均4時間が費やされています。このような重労働を解消すべく、ベトナムの冷蔵庫・洗濯機製造会社パナソニック アプライアンスベトナム(PAPVN)は、大手洗剤メーカー ユニリーバ社様と共同で、ベトナムの生活環境に適応した、買い求めやすい洗濯機「スーパークリーン・OMOマティック」を開発しました。

「スーパークリーン・OMOマティック」は、ベトナムの一般的な家庭に最適な8kg容量。ユニリーバの洗濯機用洗剤「OMOマティック」の洗浄能力を最大に発揮できる専用コースを搭載し、低い水圧や不安定な電圧といったベトナムの地方特有の環境に合わせた仕様となっています。さらに、新たな販売のスキームとして、ユニリーバと非政府組織のベトナム女性連合が普及に向けて設立した基金を利用すれば、月々最大50万ドン(2,700円)の月賦払いで購入できる仕組みを構築しました。

「スーパークリーン・OMOマティック」は、ベトナム国内で開発から製造、販売まで行っているパナソニックだからこそ、洗剤最大手のユニリーバ社様との協業で、企画に着手してからわずか1年という短期間で商品化することができた自信作です。ユニリーバベトナム社のジャン・ローラン会長は「『ベトナム国民への社会貢献』という企業理念とR&D部門や工場を持っているパナソニックだから協業した。この取り組みがベトナムの地方の女性たちの大きな助けとなるであろうことを誇りに感じる。こういった事例はアジア初の取り組みであり、是非成功させたい」と述べています。

PAPVNは今後もベトナム女性の家事軽減と子育てを支援する商品の開発を強化していきます。

※ EuroMonitor、GfK等を参考に当社推定

水汲みの重労働から解放する井戸水ポンプ

すべての人にとって、水は生命をつなぐものであると同時に、衛生的な生活のためにかかせないものです。インドネシアでは水道設備が十分に普及していないために「浅井戸」と呼ばれる深さ10メートル程度の井戸の水を洗濯や入浴に使用しています。井戸水を汲むのは女性や子どもの仕事であることが多く、浅い井戸とは言え、毎日の汲み上げは重労働です。

インドネシアの製造子会社、パナソニック マニュファクチャリング インドネシア(株)(PMI)では、1988年から井戸水汲み上げ用電力ポンプ(以下、井戸水ポンプ)の生産を行っています。インドネシアでは約半数の家庭が契約電力量450Wであるため、井戸水ポンプを使うときには、照明やテレビ、冷蔵庫などの電気機器のスイッチを切る必要がありました。当社の井戸水ポンプは、これまでも省電力(最少タイプで消費電力270W(出力125W))である点を評価いただいてきましたが、2015年2月には消費電力120W(出力75W)の製品を発売。これにより、他の電気製品と同時に井戸水ポンプを使うことが可能となりました。

当社は、インドネシアにおける井戸水ポンプ販売を2013年度の200万台から、2018年度には330万台まで成長させることで、インドネシアの人々の生活環境の向上に貢献していきます。また、インドネシアで培った井戸水ポンプ事業のノウハウを生かし、インドネシアからの輸出を拡大してグローバルに井戸水ポンプ事業を展開、2018年度には2013年度の2倍の430万台の販売を目指します。

当社は、現地の水道事情や井戸事情を踏まえた井戸水ポンプを提供することで、今後ともアジアや中近東の人々の水道環境の改善に貢献してまいります。

※ ポンプが水をくみ上げる能力のこと

低消費電力の井戸水汲み上げ用電力ポンプ(GL-75JAK)
設置事例1:井戸水ポンプ(左下)を使って手前の井戸から水を汲み上げ、上部の赤いタンクに貯水。蛇口から使用します。
設置事例2:井戸水ポンプ(中央奥)で水を汲み上げ、家庭の蛇口に直接送っています(蛇口を開けると自動的に給水するタイプ)。

無電化地域に電気を届ける「パワーサプライコンテナ」

2014年7月17日、インドネシアのカリムンジャワ島の小学校が歓声に包まれました。電気が届いたのです。薄暗い教室にあかりが灯り、天井扇が涼しい風を送り、プロジェクターが学習内容を大きく写し出します。この小学校のある地域は、夜間はディーゼル発電機による電気が届けられていましたが、昼間は電気のない状態が続いていました。

当社が開発した太陽光独立電源パッケージ「パワーサプライコンテナ」は、高効率の当社太陽電池モジュール「HIT®240」を12枚搭載し、約3kWの発電を行います。また、24台の蓄電池(17.2kW)を搭載し、蓄電池からの電力供給も可能です。最大の特長は、これらの部品を輸送用コンテナにパッケージ化し、一般の電気工事会社で簡単・スピーディに組み立てられるようにしたことです。これにより、設置時はもちろん、将来の部品交換もスピーディに行うことができます。

このような点を評価いただき、2014年3月に、在インドネシア日本大使館の「草の根・人間の安全保障無償資金協力」※1を活用した官民連携プロジェクトに採用されました。そして、第1号機がカリムンジャワ島の小学校に届けられました。

世界では、まだ約13億人の方々が電気のない環境で生活されています※2。「パワーサプライコンテナ」の製造・品質管理を担当するインドネシア法人パナソニック・ゴーベルES製造インドネシア(株)では、今後とも世界各地のお客様に電気のあるくらしをお届けしてまいります。

※1 開発途上国の地方公共団体、教育・医療機関、NGOなどが、現地において実施する比較的小規模なプロジェクトに対し、ODAとして資金協力を行うもの。
※2 出展:国際エネルギー機関(IEA)"World Energy Outlook 2014"

カリムンジャワ島の小学校の生徒たちと「パワーサプライコンテナ」

カリムンジャワ島の小学校の生徒たちと「パワーサプライコンテナ」

事業進出時の地域への影響の配慮 インドの事例

パナソニックはインドでの事業拡大をめざし2007年にアンカーエレクトリカルズ社(以下、アンカー社)を買収しました。買収時のアンカー社はインドの配線器具市場でナンバーワンのシェアと強い販売網を有しており、買収後も西部のダマン地区に新工場を建設するなど、積極的な投資により順調に事業を拡大してきました。しかし、買収当時のアンカー社は、個人経営の体質が色濃く、多くの課題が山積していました。

当社がアンカー社を買収した当時、工場では床の上での作業や照明が十分でない場所での手作業などが行なわれており、非効率で歩留まりが上がりませんでした。また、倉庫には材料が乱雑に積まれている状態で、従業員向けの食堂やユニフォームも整備されておらず、安全・衛生面でも多くの問題がありました。

これらの問題に対し、当社はこれまでの日本や海外展開で培ったノウハウを生かし、一つひとつ改善に取り組みました。まず、生産現場では、設備を刷新。セル生産方式に切り替えるとともに、5S活動(日本の職場環境整備・管理を目的とした活動で、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字)を導入。製造社員の技能指導も積極的に実施しました。この結果、工場や倉庫は整理整頓され安全性が高まるとともに、生産性が30~40%改善。アンカー社の従業員のスキルは、パナソニックグループの技能競技大会で金賞を受賞するまでに向上しました。
食堂も新しく立て替え、トイレの改装も実施。加えて、健康管理室の設置や、救急車を常設するなど、現地の要求基準にとどまらない環境整備にも取り組んできました。また、児童をもつ従業員のための保育施設開設など、社員が働きやすい職場環境への配慮も行っています。

アンカー社では、こうした活動を通じて、個人経営から組織経営への企業体質の変革に取り組んだ結果、従業員の満足度・モチベーションが大きく改善しました。現在では、多くの現地の人材が幹部や現場のリーダーとして、製造やマーケティングの現場で活躍しています。今後もアンカー社では、事業の成長を通してインドおよび世界の人々の豊かなくらしの実現に貢献してまいります。