地球温暖化の緩和

人々が豊かなくらしの実現を求める一方、人々の生活や企業活動を通じて排出される温室効果ガスの増加にともなう、地球温暖化の進行が懸念されています。当社は、生産活動と製品・サービスを通じて排出される温室効果ガスを減らすことで、気候変動の進行を抑制しその影響を小さくする緩和策を推進しています。
製品・サービスを通じた緩和策として、省・創・蓄エネルギー商品に加え、それらをつなぎコントロールするエネルギーマネジメント(エネマネ)商品・ソリューションを提供しています。また、パナホーム(株)は、2016年度に受託する戸建住宅の26%、2018年度は68%、2020年度には80%を、エネルギー収支ゼロのネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)※1、またはそれに順ずるNearly ZEH※2化することを目標に掲げています。さらに当社グループは、住宅分野でのエネルギーマネジメントソリューションに加え、神奈川県藤沢市や横浜市などではスマートシティのプロジェクトも推進しています。
このほか、工場やオフィスでのCO2削減は工場・オフィスの地球温暖化防止 、輸送におけるCO2削減はグリーンロジスティクス で、詳しく紹介しています。

※1 国が2020年までに標準的な新築住宅として実現を目指すもので、住宅の躯体・設備の省エネ性能向上、再生可能エネルギーの活用等により、年間での一次エネルギー消費量が正味(ネット)でゼロ、または概ねゼロとなる住宅
※2 再生可能エネルギーの活用等により、年間での一次エネルギー消費量の75%以上100%未満を削減する住宅

地球温暖化の緩和ソリューション

当社は、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」とそれらをつなぎコントロールする「エネルギーマネジメント(エネマネ)」の4つの切り口で、機器単体から家そのものまで、トータルでCO2排出量削減に取り組んでいます。「エネマネ」商品としては、太陽電池とリチウムイオン蓄電池を連携させて電気をかしこく使いこなす「創蓄連携システム」、ホームエネルギーマネジメントシステム「スマートHEMS」を開発、提供してきました。「スマートHEMS」は、モニターを通じて電力使用量を見える化し、さらに電気機器を自動制御してムリなく節電を行います。省・創・蓄エネ機器のほか、照明用配線器具(スイッチ)や天井埋込型空気清浄機、電動窓シャッターなど様々な機器とも連携することで、より快適な生活空間を提供できるようになりました。スマートグリッド社会の実現に向けた市場普及を図るため、家庭での配電と情報の中枢となり、将来に備えた様々な機能を搭載可能な住宅分電盤「スマートコスモ」も展開しています。またさらに2015年12月には、「スマートHEMSサービス」の提供を開始しました。これは「スマートHEMS」で計測した電力データをクラウド上に集積し、スマートフォンの「スマートHEMSサービスアプリ」で活用、省エネで快適なくらしをサポートするものです。家全体・分岐回路別での電力使用状況の表示や、ピークシフトによる電気代削減サポートなどを皮切りに、提供サービスを順次拡大しています。
なお2014年8月には、経済産業省の「大規模HEMS情報基盤整備事業」で、当社ほか3社が幹事を務めるコンソーシアムが採択されました。以降、大規模HEMS情報基盤の構築や、全国約1万4,000世帯へのHEMSの導入を実施。2016年3月まで、HEMSデータを活用したサービスの提供などを通じ、将来の実運用に向けた課題抽出や効果検証を実施。多くのモニターがHEMSデータを活用して提供したサービスを評価、節電・省エネ意識も向上していることが分かりました。

パナホーム(株)は2015年4月、エネルギー収支ゼロを超えるエコ性能を備えたゼロエコ仕様を設定しました。ゼロエコは、パナホームが独自に提案する「3つの未来標準」仕様を採用しています。具体的には、①エネルギーを創る:太陽電池モジュールHITとリチウムイオン蓄電池ユニットの連携、②エネルギーを活かす:基礎の内側にまで断熱材を施し、夏は涼しく冬は暖かい地熱の活用を可能とした家まるごと断熱と、0.3μmの微小粒子を99.97%除去する※3HEPAフィルターを採用したエコナビ搭載換気システム HEPAプラス ③エネルギーをかしこく使う:スマートHEMSによるエネルギーマネジメントとプライベート・ビエラによる住宅機器のコントロールです。これらの仕様により、ネット・ゼロ・エネルギーを越えるくらしが実現可能となり、高い環境性能と経済性を両立しています。

※3 HEPAフィルターの工場出荷時の性能値であり、換気システム全体の性能値ではありません。また、0.3μm未満の微小粒子状物質については、除去の確認ができていません

カサート ゼロエコ仕様の外観

カサート ゼロエコ仕様の外観

エネルギーを活かす仕組み

エネルギーを活かす仕組み

住宅以外のエネルギーマネジメント

当社は、非住宅の建築物のエネマネにも取り組んでいます。事例の一つが、2011年3月の東日本大震災で被災した岩手県野田村で、2015年2月に構築したスマートグリッド通信インターフェースです。役場庁舎を含む村内11カ所の公共施設で、当社の「エネルギー見える化システム」により消費電力を可視化。データは役場庁舎のデジタルサイネージやホームページでも確認できます。さらに電力使用が多い施設にはデマンド制御システムを導入、使用電力がひっ迫した時、照明制御装置にデマンド信号を送り照明の調光などを実施、消費電力をセーブすることが計画されています。

野田村役場の照明制御盤、電力計測器

また当社は2015年秋から、中小規模のオフィスや店舗などのエネルギーマネジメントソリューションとして、エマネージを提供しています。これは、ASPデータ※4を活用したオフィスや店舗の使用電力の「見える化」・省エネ診断による問題発見と、電気工事会社による設備機器の運用改善・リニューアル提案を継続的に行うことで、消費電力の削減につなげるサービスです。

※4 アプリケーション・サービス・プロバイダの略。当社が運用するサーバーの機能をインターネット環境でご利用いただくサービス

一方、食品小売企業様にとって冷凍冷蔵ショーケース・空調・照明などの設備機器の省エネや迅速なメンテナンス対応は大きな課題となっています。これらを解決するために当社では、店舗向け遠隔データサービス エスクーボを提供しています。設備機器の運転データやエネルギーデータをクラウドサーバーに収集、省エネやメンテナンスに役立つデータをお客様の本部や店舗にインターネットを介して提供するサービスです。
エスクーボは3つのインターネットアプリケーションサービスの中からお客様のご要望にあわせてお使いいただけます。遠隔運用サービス エレモスは、エネルギーの利用状況を見える化することで省エネに貢献すると共に、食品の安心・安全に貢献する温度管理サービスを行います。さらに遠隔保守サービス プロメンテツールは、冷凍・冷蔵設備の運転データをサーバーが常時監視して、異常時には遠隔から確認・制御設定を行うことができるメンテナンス会社向けのサービスです。また遠隔管理サービス 設備台帳システムは、各店舗の機器データや図面データを管理するとともに、冷凍空調機器の冷媒漏洩量や点検データを記録する機能も備え、フロン排出抑制法への対応も可能です。
今後は収集した各種データの分析技術を高度化。エネルギー使用状況の課題分析や、設備機器の運転管理による省エネと省メンテナンスを実現できるサービスの提供も予定しています。

エスクーボの概要

また当社は、2015年9月30日に大阪府吹田市に竣工した、Jリーグガンバ大阪のホームスタジアム 市立吹田サッカースタジアムにも、CO2排出量削減に貢献する、さまざまなソリューションを納入しています。夜間照明としては、当社製LED投光器モジュールタイプ HID1500形を384台納入。フィールド内で1500ルクス以上の明るさを確保しながら、従来のHID光源の導入と比べて、消費電力を約30%削減※5しています。 スタジアムの屋根3カ所には、太陽電池モジュールHITを2100枚設置、約500kWの発電を行っています。スタジアム内の館内モニターでは発電量や使用電力量のデータを表示。観客の環境意識を高める仕掛けとしています。

※5 HID光源を導入した場合との比較。スカイビーム2000形(2050W)164台、マルチハロゲン1500形(1630W)148台、高圧ナトリウムランプ400形(440W)16台=584,480W、LED1500形(1086W)384台=417,024W

スタジアム全景

スタジアム全景

スタジアムに設置された、LED投光器モジュールタイプ HID1500形

スタジアムに設置された、LED投光器モジュールタイプ HID1500形

サスティナブルな街へ

分譲住宅団地「パナホーム スマートシティ潮芦屋(別称:そらしま)」(兵庫県芦屋市・全約500戸)は、日本で初めて※6、戸建住宅とマンションによる街全体でのネット・ゼロ・エネルギーを実現します。太陽光発電システムや創蓄連携システムなど、様々な設備と構造躯体の優れた断熱性能により、消費エネルギーの自給達成率に優れたスマートハウスに加え、全83戸のマンション屋上(共用部)に太陽光発電システムと日本で初めて※7家庭用燃料電池「エネファーム」を各戸に採用したスマートマンション「パークナード潮芦屋」の環境性能が寄与しています。

※6 2013年8月現在。戸建住宅とマンションで構成する総戸数400戸超の大型分譲住宅団地において。当社調べ
※7 2013年8月現在。住戸数80戸以上の分譲マンションにおいて。当社調べ

スマートマンション「パークナード潮芦屋」

スマートマンション「パークナード潮芦屋」

また、当社は「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」を推進しています。神奈川県藤沢市の約19haの当社工場跡地に、住宅約1,000戸、商業施設、健康・福祉・教育施設などを建設するこの街は、2014年11月にグランドオープン、2018年度完成予定です。街全体でサスティナブルに発展するため、(1)CO2排出量削減70%(1990年比)、(2)生活用水30%削減(2006年比)、(3)再生可能エネルギー利用率30%以上、(4)ライフライン確保3日間を全体目標に設定。その達成に向け、太陽光発電システムと蓄電池を装備したCO2±0のスマートハウスの建設や、公共用地での「コミュニティソーラー」の設置・売電など、当社グループの環境配慮商品や技術、ソリューションを最大限活用しています。2013年9月に国土交通省の「住宅・建築物省CO2先導事業」、同年12月には環境省の「低炭素価値向上に向けた二酸化炭素排出抑制対策事業」に採択されました。2014年7月には、一般財団 建築環境・省エネルギー機構「CASBEE-まちづくり」Sランク認証を取得。2015年10月には公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、2015年度グッドデザイン賞 地域・コミュニティづくり/社会貢献活動部門を、2016年2月には神奈川県・かながわ地球環境保全推進会議が主催するかながわ地球環境賞(かながわスマートエネルギー計画部門)を受賞しました。

Fujisawa SST戸建・商業施設街区

Fujisawa SST戸建・商業施設街区

Fujisawa SSTのコミュニティソーラー

Fujisawa SSTのコミュニティソーラー

そして当社は、Fujisawa SSTで培った「くらし起点」のスマートシティ開発のノウハウを、国内外の街づくりへと展開しています。2016年3月には、神奈川県横浜市にある当社事業場跡地を活用したTsunashima SSTのまちづくり構想を発表しました。環境配慮型の集合住宅、商業施設、技術開発センター、タウンエネルギーセンター、水素活用拠点、タウンマネジメントセンターなどを併せ持つ次世代都市型スマートシティで、当社をはじめ10団体が街づくりに参画。2018年のまちびらきを予定しています。環境目標としては、(1) CO2排出量削減40%(2005年度比)、(2)生活用水使用量:30%削減(2005年比)、(3)新エネルギー等※8利用率:30%以上のほか、安心・安全目標としてライフライン確保3日間、その他セキュリティ目標などを設定しています。

※8 太陽光発電を始めとする新エネルギーと、革新的なエネルギー高度利用技術としてエネルギーの多様化に貢献する、天然ガスコージェネレーション・燃料電池等の新規技術を含む。

Tsunashima SST全景イメージ図

Tsunashima SST全景イメージ図

パナソニック ノースアメリカ(株)のグループ会社であるパナソニック エンタープライズソリューションズカンパニー(PESCO)は、2016年1月、コロラド州デンバー市 デンバー国際空港周辺で、パートナー会社や地方自治体と推進する、スマートシティプロジェクトを発表しました。このCityNOWプロジェクトは、エネルギーや水の保全、安全・医療施設へのアクセス向上につながる、充実したインフラや公共サービスを備えることで、よりサスティナブルなコミュニティの実現を目指しています。その達成に向け、当社製の太陽光発電やリチウムイオン電池システムを活用したマイクログリッドを提供するほか、公共交通機関の利便性が高い場所にPESCOの本社も移転します。街の建設は進行中で、PESCO本社のオープンは2016年10月の予定です。

CityNOWプロジェクトイメージ図

CityNOWプロジェクトイメージ図

地球温暖化への適応

地球温暖化への適応

併せて当社は、緩和策を実施しても回避できない地球環境への影響に対処する適応策も推進しています。適応策としては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)などが指摘している、気候変動が生態系、社会・経済などの各分野に与える影響への対処が基本と考えています。気候変動の影響は地域によって異なるため、地域性を加味した対策が重要と認識しています。
適応策としては、以下の2つの側面から取り組みを進めています。

  1. 当社製品・サービス・ソリューションによる気候変動の影響を低減する取り組み
  2. 当社の企業活動への影響を低減する取り組み

1の具体例としては、沿岸監視システム、パッシブハウス型農業システムなどがあります。沿岸監視システムは、遠隔地から沿岸の状況の確認を可能とするもので、太陽光で発電し蓄えた電力でネットワークカメラを常時稼動し、無線通信も可能な完全独立電源型のシステムです。気候変動により影響増大が予測される高潮の対策に貢献すると考えています。また、パッシブハウス型農業システムは、ビニールハウス内の環境を、太陽光・水・風といった自然の力を利用しながら作物の生育に最適な状態に制御するため、温暖化が野菜栽培にもたらす悪影響を低減することが期待できます。

2については、当社への気候変動の影響を評価し、対処すべき課題を見極めることが先決と考えています。当社にとっての事例の一つが、水不足による生産活動への影響です。現在、水リスク評価に取り組んでおり、今後、評価結果を基に必要な対策を検討していきます。詳細は、水資源保全 を参照ください。

パッシブハウス型農業システム