地球温暖化の緩和

人々が豊かなくらしの実現を求める一方、人々の生活や企業活動を通じて排出される温室効果ガスの増加にともなう、地球温暖化の進行が懸念されています。当社は、生産活動と製品・サービスを通じて排出される温室効果ガスを減らすことで、気候変動の進行を抑制しその影響を小さくする緩和策を推進しています。
製品・サービスを通じた緩和策として、省・創・蓄エネルギー商品に加え、それらをつなぎコントロールするエネルギーマネジメント(エネマネ)商品・ソリューションを提供しています。その事例であるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及については、グリーンプラン2018で「全戸建住宅のZEH比率」の数値目標を設定しています。しかし、余剰電力買取価格の低下でZEHの必須要件である、太陽光発電システムの搭載率が伸び悩んだことなどから計画通りの訴求を行えず、当初の2018年度目標68%に対し、2016年度実績は17%にとどまりました。これらの状況を踏まえ、ZEH比率の目標値を、2017年度:17%、2018年度:22%、2020年度:50%と再設定しました。達成に向け、国の施策を有効活用しながら、エコでスマートな住空間の提案の徹底を図り、ZEHの普及を加速させます。
さらに当社グループは、住宅分野でのエネルギーマネジメントソリューションに加え、スマートシティのプロジェクトも推進しています。グリーンプラン2018では、2015年度から2018年度までに、3拠点(870区画)の販売・着工を目標としています。2016年度までの実績は、3拠点(424区画)でした。
このほか、工場のCO2削減は工場の地球温暖化防止、輸送におけるCO2削減はグリーンロジスティクスで、詳しく紹介しています。

地球温暖化の緩和ソリューション

当社は、「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」とそれらをつなぎコントロールする「エネルギーマネジメント(エネマネ)」の4つの切り口で、機器単体から家そのものまで、トータルでCO2排出量削減に取り組んでいます。
「エネマネ」商品としては、太陽電池とリチウムイオン蓄電池を連携させて電気をかしこく使いこなす「創蓄連携システム」、ホームエネルギーマネジメントシステム「スマートHEMS」を開発、提供してきました。「スマートHEMS」は、モニターを通じて電力使用量を見える化し、さらに電気機器を自動制御してムリなく節電を行います。省・創・蓄エネ機器のほか、照明用配線器具(スイッチ)や天井埋込型空気清浄機、電動窓シャッターなど様々な機器とも連携することで、より快適な生活空間を提供できるようになりました。スマートグリッド社会の実現に向けた市場普及を図るため、家庭での配電と情報の中枢となり、将来に備えた様々な機能を搭載可能な住宅分電盤「スマートコスモ」も展開しています。
またスマートHEMSサービスは、スマートHEMSで計測した電力データをクラウド上に集積し、スマートフォンのスマートHEMSサービスアプリで活用、省エネで快適なくらしをサポートするものです。家全体・分岐回路別での電力使用状況の表示や、ピークシフトによる電気代削減サポートなどを行えます。そのほか、設備機器の遠隔操作や家電商品の運転状況のプッシュ通知といった、環境に配慮した機能を搭載しています。
2016年12月には、HEMSゲートウェイ(AiSEG)と設備モニターを一体化した、AiSEG2(7型モニター機能付)を発売。お求めやすさと設置の自由度を向上しました。ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及に対応し、太陽光発電システムやエネファームで発電した電気の使用状況が、ひと目で分かる表示も採用しています。

パナホーム(株)が設定するゼロエコ仕様は、エネルギー収支ゼロを超えるエコ性能を備え、独自に提案する「3つの未来標準」仕様を採用しています。具体的には、①エネルギーを創る:太陽電池モジュールHITとリチウムイオン蓄電池ユニットの連携、②エネルギーを活かす:基礎の内側にまで断熱材を施し、夏は涼しく冬は暖かい地熱の活用を可能とした家まるごと断熱と、0.3μmの微小粒子を99.97%除去する※1HEPAフィルターを採用したエコナビ搭載換気システム HEPAプラス、③エネルギーをかしこく使う:スマートHEMSによるエネルギーマネジメントとプライベート・ビエラによる住宅機器のコントロールです。ネット・ゼロ・エネルギーを越えるくらしが実現可能となり、高い環境性能と経済性を両立しています。

※1 HEPAフィルターの工場出荷時の性能値であり、換気システム全体の性能値ではありません。また、0.3μm未満の微小粒子状物質については、除去の確認ができていません

また2017年4月には、快適・新空調「エアロハス」を搭載するフラッグシップ商品、カサート・プレミアムを発売しました。エアロハスは、専用エアコン+換気システムによる換気・空調システムで家中を快適な温度に保ちながら、自然の力である地熱の活用や、各室の温度センサーを活用した空調制御により、快適性と省エネを実現する、全く新しい空調システムです。

カサート・プレミアム
エアロハスによる換気・空調のイメージ

住宅以外のエネルギーマネジメント

当社は、非住宅の建築物のエネマネにも取り組んでいます。事例の一つが、2011年3月の東日本大震災で被災した岩手県野田村で、2015年に構築したスマートグリッド通信インターフェースです。役場庁舎を含む村内11カ所の公共施設で、当社の「エネルギー見える化システム」により消費電力を可視化。データは役場庁舎のデジタルサイネージやホームページでも確認できます。さらに電力使用が多い施設にはデマンド制御システムを導入、使用電力がひっ迫した時、照明制御装置にデマンド信号を送り照明の調光などを実施、消費電力をセーブすることが計画されています。

写真:野田村役場の照明制御盤、電力計測器。写真:野田村役場に設置されたデジタルサイネージ

また当社は2015年から、中小規模のオフィスや店舗などのエネルギーマネジメントソリューションとして、エマネージを提供しています。これは、ASPデータ※2を活用したオフィスや店舗の使用電力の「見える化」・省エネ診断による問題発見と、電気工事会社による設備機器の運用改善・リニューアル提案を継続的に行うことで、消費電力の削減につなげるサービスです。

※2 アプリケーション・サービス・プロバイダの略。当社が運用するサーバーの機能をインターネット環境でご利用いただくサービス

一方、食品小売企業様にとって冷凍冷蔵ショーケース・空調・照明などの設備機器の省エネや迅速なメンテナンス対応は大きな課題となっています。これらを解決するために当社では、店舗向け遠隔データサービス エスクーボを提供しています。これまでに15,000店舗以上に提供実績があり、次の3つのクラウドサービスを展開しています。(1)温度と電力の見える化ツール「遠隔運用サービス"ERMOS(エレモス)"」。(2)多種多様な設備機器の情報をインターネット上で一元管理し、いつでも簡単に閲覧が可能な「遠隔管理サービス"設備台帳システム"」。(3)機器の異常発生時などに機器の運転データを分析し、問題箇所を早期に発見する「遠隔保守サービス"プロメンテツール"」。
これら複数のサービスを融合することで、エネルギー管理、温度品質管理、設備管理、保守管理のための統合的なデータを遠隔で提供。クラウドに収集されたビッグデータを解析し、機器の異常の早期発見やエネルギー使用の問題分析、機器の運転連携による省エネ・省メンテナンスなどのサービスを提供しています。

また、2017年4月には、「食品小売業向け冷蔵/冷凍設備運用サービス“エスクーボシーズ”」の提供を開始しました。これは、食品小売企業に代わり、冷凍・冷蔵設備の導入から省エネ運用・保守メンテナンスまでを、月々のサービス利用料にて一括で行うサービスです。初期投資コストと運用にかかわる業務負担を抑え、「食品を冷やす」という価値自体を提供するものです。
具体的には、店舗の設備の状況分析を行い、投資する店舗の選定を支援します。また、IoTを活用した遠隔監視により故障予知を行いながらメンテナンス効率を上げ、Aiを活用して運転データを解析。遠隔制御することで店舗環境にあわせた省エネ運転を行います。遠隔監視を通した保守メンテナンス・運用の効率化だけでなく、店舗改装の投資効果を含めた分析を行うことで、お客様の予算内における店舗改装と事業運営の最適化を支援します。既存店舗の冷凍・冷蔵設備を検査し必要に応じて修繕や塗装を行った上で、チェーン店舗の他店に再活用(リファービッシュ)するサービスも始めます。

クラウドデータ活用で店舗のライフサイクル全体をサポート「エスクーボ シーズ」。1.新規出店(ニーズ困りごと:より安く/より使いやすい/環境対応、S-cuboがお客様に提供できるサービス:設備台帳システム(新機種提案/フロン法管理)/ERMOS(補助金店舗支援))。2.保守メンテ(ニーズ困りごと:修理コスト・商品ロス・業務の削減/法対応の簡易化、S-cuboがお客様に提供できるサービス:プロメンテツール(早期メンテナンス/遠隔機器設定)/設備台帳システム(冷媒管理・業務効率化))、3.エネルギー管理(ニーズ困りごと:デマンドを上げない/店舗の最適運用、S-cuboがお客様に提供できるサービス:ERMOS(見える化/エネルギー異常検知)/プロメンテツール(遠隔機器設定))、4.改装(ニーズ困りごと:効果の高い改装/迅速化、S-cuboがお客様に提供できるサービス:設備台帳システム(機器一括管理/更新判断基準)/ERMOS(新旧エネルギー比較))、5.閉店(ニーズ困りごと:フロン回収/機器撤去工事、S-cuboがお客様に提供できるサービス:設備台帳システム(フロン法対応/移設判断基準)/プロメンテツール(遠隔機器設定))

また当社は、2015年9月に大阪府吹田市に竣工した、Jリーグガンバ大阪のホームスタジアム 市立吹田サッカースタジアムにも、CO2排出量削減に貢献する、さまざまなソリューションを納入しています。夜間照明としては、当社製LED投光器モジュールタイプ HID1500形を384台納入。フィールド内で1500ルクス以上の明るさを確保しながら、従来のHID光源の導入と比べて、消費電力を約30%削減※3しています。 スタジアムの屋根3カ所には、太陽電池モジュールHITを2100枚設置、約500kWの発電を行っています。スタジアム内の館内モニターでは発電量や使用電力量のデータを表示。観客の環境意識を高める仕掛けとしています。

※3 HID光源を導入した場合との比較。スカイビーム2000形(2050W)164台、マルチハロゲン1500形(1630W)148台、高圧ナトリウムランプ400形(440W)16台=584,480W、LED1500形(1086W)384台=417,024W

スタジアム全景
スタジアムに設置された、LED投光器モジュールタイプ HID1500形

サスティナブルな街へ

分譲住宅団地「パナホーム スマートシティ潮芦屋(別称:そらしま)」(兵庫県芦屋市・全約500戸)は、日本で初めて※4、戸建住宅とマンションによる街全体でのネット・ゼロ・エネルギーを実現します。太陽光発電システムや創蓄連携システムなど、様々な設備と構造躯体の優れた断熱性能により、消費エネルギーの自給達成率に優れたスマートハウスに加え、全83戸のマンション屋上(共用部)に太陽光発電システムと日本で初めて※5家庭用燃料電池「エネファーム」を各戸に採用したスマートマンション「パークナード潮芦屋」の環境性能が寄与しています。

※4 2013年8月現在。戸建住宅とマンションで構成する総戸数400戸超の大型分譲住宅団地において。当社調べ
※5 2013年8月現在。住戸数80戸以上の分譲マンションにおいて。当社調べ

スマートマンション「パークナード潮芦屋」

また、スマートシティ潮芦屋「そらしま」は、兵庫県芦屋市の主導で整備された山と海を一望できる広大な埋立地に、パナホームが2012年より単独で開発を進めているスマートシティです。計画戸数約500戸の住宅開発事業において、「スマートエネルギー」、「タウンデザイン」、「タウンマネジメント」をコンセプトに自然環境を守りながら、再生可能エネルギーを最大限活用した街づくりを行い、2023年の完成を目指しています。「そらしま」は2017年4月、APEC(アジア太平洋経済協力)の第3回「ESCIベスト・プラクティス・アワード」の「スマートビルディング」部門で金賞を受賞しました。

スマートシティ潮芦屋「そらしま」

また、当社は「Fujisawa サスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)」を推進しています。神奈川県藤沢市の約19haの当社工場跡地に、住宅約1,000戸、商業施設、健康・福祉・教育施設などを建設するこの街は、2014年11月にグランドオープン、2020年度以降の完成を目指しています。街全体でサスティナブルに発展するため、(1)CO2排出量削減70%(1990年比)、(2)生活用水30%削減(2006年比)、(3)再生可能エネルギー利用率30%以上、(4)ライフライン確保3日間を全体目標に設定。その達成に向け、太陽光発電システムと蓄電池を装備したCO2±0のスマートハウスの建設や、公共用地での「コミュニティソーラー」の設置・売電など、当社グループの環境配慮商品や技術、ソリューションを最大限活用しています。
2016年8月には、医療・介護・教育・保育・多世代交流の施設を備えた多機能複合拠点、ウェルネススクエアがオープン。約68kWの太陽光発電・ガスコージェネレーションシステム・蓄電池を備え、環境負荷の低減を図っています。また、同年11月には、街全体の総合的な物流インフラである、Next Delivery SQUAREがオープン。各宅配会社の荷物をまとめてお届けする一括配送や、ICTを活用したエコでスマートな荷物の受け取りを可能としています。太陽光発電やLED照明の導入、建築資材の低炭素化など、従来の集配拠点と比べて約30%のCO2削減も実現しました。
なお2016年12月には、環境省が主催する、2016年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰(対策技術先先進導入部門)を受賞しました。

Fujisawa SST戸建・商業施設街区
Fujisawa SSTのコミュニティソーラー

そして当社は、Fujisawa SSTで培った「くらし起点」のスマートシティ開発のノウハウを、国内外の街づくりへと展開しています。2016年3月には、神奈川県横浜市にある当社事業場跡地を活用したTsunashima SSTのまちづくり構想をパートナー事業者と共に発表、同年11月に全ての施設が着工しました。環境配慮型の集合住宅、商業施設、技術開発センター、タウンエネルギーセンター、水素活用拠点、タウンマネジメントセンターなどを併せ持つ次世代都市型スマートシティで、当社をはじめ11団体が街づくりに参画。2018年のまちびらきを予定しています。環境目標としては、(1)CO2排出量削減40%(2005年度比)、(2)生活用水使用量:30%削減(2005年比)、(3)新エネルギー等※6利用率:30%以上のほか、安心・安全目標としてライフライン確保3日間、その他セキュリティ目標などを設定しています。
2017年3月には、次世代エネルギーとして関心が高い水素エネルギーの活用拠点となる、「横浜綱島水素ステーション」が開業。燃料電池自動車への水素供給を通じて水素社会づくりに貢献するほか、水素の特性や活用の取り組みに関する情報発信を行います。将来的には、純水素燃料電池を用いて水素から発電した電気を施設内に供給する取り組みも検討していきます。

※6 太陽光発電を始めとする新エネルギーと、革新的なエネルギー高度利用技術としてエネルギーの多様化に貢献する、天然ガスコージェネレーション・燃料電池等の新規技術を含む。

Tsunashima SST全景イメージ図

パナソニック ノースアメリカ(株)のグループ会社であるパナソニック エンタープライズソリューションズカンパニー(PESCO)は、2016年1月、コロラド州デンバー市 デンバー国際空港周辺で、パートナー会社や地方自治体と推進する、スマートシティプロジェクトを発表しました。このCityNOWプロジェクトは、エネルギーや水の保全、安全・医療施設へのアクセス向上につながる、充実したインフラや公共サービスを備えることで、よりサスティナブルなコミュニティの実現を目指して、建設が進行中です。2016年11月には、コロラド州交通運輸局(CDOT)とのパートナーシップによるRoad X プロジェクト(ITS技術を導入した交通管理システム)を発表しました。現在、太陽光発電やリチウムイオン電池システムを活用したマイクログリッド、スマートLED街灯、ルーフトップソーラーといったビジネスソリューションの導入が進んでいます。

CityNOWプロジェクトイメージ図

加えて、2016年9月に開催された欧州最大の家電見本市IFA2016では、ドイツ・ベルリン市郊外で、2018年末までの街びらきを目指す「Future Living Berlin」への参画を発表しました。同プロジェクトには、再生可能エネルギーやセキュリティ、モビリティシステム、クラウドサービスの技術提供を行っていきます。建設されるスマートホームには、各棟に太陽電池パネルによる発電設備のほか、ヒートポンプの技術を使った蓄熱設備などが整備され、入居者が高効率なエネルギー循環システムを利用できる環境づくりを目指します。

IFA2016での「Future Living Berlin」展示

地球温暖化への適応

遠隔地から沿岸の状況の確認を可能とするもので、太陽光で発電し蓄えた電力でネットワークカメラを常時稼動し、無線通信も可能な完全独立電源型のシステム

あわせて当社は、緩和策を実施しても回避できない地球環境への影響に対処する適応策も推進しています。適応策としては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)などが指摘している、気候変動が生態系、社会・経済などの各分野に与える影響への対処が基本と考えています。気候変動の影響は地域によって異なるため、地域性を加味した対策が重要と認識しています。
適応策としては、以下の2つの側面から取り組みを進めています。

1.当社製品・サービス・ソリューションによる気候変動の影響を低減する取り組み

2.当社の企業活動への影響を低減する取り組み

2016年8月から9月まで、東京・新橋駅前で実証実験を行ったグリーンエアコン

1の具体例としては、沿岸監視システム、グリーンエアコンなどがあります。沿岸監視システムは、遠隔地から沿岸の状況の確認を可能とするもので、太陽光で発電し蓄えた電力でネットワークカメラを常時稼動し、無線通信も可能な完全独立電源型のシステムです。気候変動により影響増大が予測される高潮の対策に貢献すると考えています。
またグリーンエアコンは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向け、他社と共同で開発を進めています。水と空気を混合して微細にし、濡れを感じにくくしたドライ型ミストや、日よけの下にドーム状の冷却空間をつくるエアカーテンなどによって、オープンスペースの夏の暑さを和らげるものです。熱中症など温暖化が生活にもたらす悪影響を低減することが期待できます。

2については、当社への気候変動の影響を評価し、対処すべき課題を見極めることが先決と考えています。当社にとっての事例の一つが、水不足による生産活動への影響です。現在、水リスク評価に取り組んでおり、今後、評価結果を基に必要な対策を検討していきます。詳細は、水資源保全を参照ください。