使用済み製品リサイクルのグローバルでの取り組み

資源有効利用や環境汚染防止などを目的に、世界各国でリサイクルの法制度、仕組みの整備が行われています。日本では特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)や資源有効利用促進法、EUではWEEE指令が、米国の多くの州でもリサイクル法が制定・施行され、中国でも法律が施行されました。当社は非OECD国への有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約の規定や各国の関連法規順守はもとより、サードパーティーの活用も含めて国ごとのリサイクルインフラの実情に即した最も効率的な仕組みづくりに貢献しています。
2015年度の製品リサイクル実績は以下の通りです。近年はブラウン管テレビの回収・リサイクル量が減少して薄型テレビが増加するなど、製品が小型・軽量化しているため、実績重量は横ばいまたは減少傾向にあります。

2015年度実績

日本

使用済み家電4品目を約11万5,000トン再商品化

欧州

使用済み電気電子機器を約3万1,000トン回収

米国

使用済み電気電子機器を約7,200トン回収

日本における製品リサイクルの取り組み

当社は、2001年に4品目を対象とした家電リサイクル法の施行にともない、既存インフラを活用した地域分散型処理システムを運営管理する(株)エコロジーネットを、(株)東芝様と設立しました。このリサイクル管理会社は、Aグループ(当社をはじめとする18社)に所属するメーカーの委託を受けて関連業務を一括代行し、指定引取場所350カ所(A・Bグループ共有)と再商品化拠点32カ所を管理運営しています。当社のリサイクル工場であるパナソニック エコテクノロジーセンター(株)(PETEC)、パナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)、中部エコテクノロジー(株)(CETEC)※1は使用済み家電4品目※2のリサイクルをより効率的に、かつ多くの資源の回収・供給ができるよう独自の研究を行い、工程改善に努めています。2015年度、当社は使用済み家電4品目を約11万5,000トン再商品化しました。 2014年にリサイクル料金の透明化・低減とリサイクル率※3の向上に向けて家電リサイクル法の改正が検討され、2015年4月に法定リサイクル率※4が改正されました。パナソニックの各リサイクル工場は、製品の特性や使用原材料に応じたリサイクルの取り組みを通じ、生産性とリサイクル率向上に努め、資源循環のさらなる拡大を図っています。
例えば、薄型テレビは2020年の東京オリンピックの前後に大幅な排出量増大が予測されていますが、人手による手分解作業が多く工数がかります。そこでPETECKとCETECは2015年度に分解工程のネジ外し作業を自動化する装置を導入して、生産性向上に努めています。また、冷蔵庫は断熱材の発泡剤として使用されているフロンとシクロペンタンのリサイクル工程が異なるため、同時処理が出来ません。近年はシクロペンタンを使った冷蔵庫が増えてきたため、PETECでは2015年にシクロペンタン専用破砕選別ラインを新設して生産性向上と資源価値向上に努めています。PETECK、CETECでもこうした変化への対応を行っています。
さらに当社は近赤外線識別技術を使って3種類の樹脂を同時に選別できる装置を2014年に開発し、同年のPETEC導入に続きPETECKとCETECにも同タイプの装置を順次導入してきました。これによって純度の高い再生樹脂の回収量が増え、資源循環のさらなる拡大が可能になりました。この技術は2015年、産業環境管理協会が主催する資源循環技術・システム表彰で経済産業大臣賞を受賞しました

※1 PETECKとCETECは三菱マテリアル(株)様と当社の合弁会社
※2 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目
※3 リサイクル率=有価資源重量÷使用済み家電総重量
※4 改正後の法定リサイクル率は、エアコン80%以上、ブラウン管式テレビ55%以上、液晶・プラズマ式 テレビ74%以上、冷蔵庫・冷凍庫70%以上、洗濯機・衣類乾燥機82%以上

PETECKの薄型テレビネジ外し作業自動化装置

PETECKの薄型テレビネジ外し作業自動化装置

PETECのシクロペンタン専用破砕選別ライン

PETECのシクロペンタン専用破砕選別ライン

CETECの近赤外線樹脂3種同時選別機

CETECの近赤外線樹脂3種同時選別機

欧州・CIS地域におけるリサイクルの取り組み

英国において当社は、家電リサイクルのコンプライアンススキームであるRecycling Electrical Products Industry Consortium(REPIC)の運営に、設立当初より深く関わっています。英国では10年以上前からWEEE法制化が検討され、リサイクルシステム構築含め様々な検討を行い、他社と協働して非営利のコンプライアンススキーム、REPICを設立。REPICは生産者に戻ってくるWEEE総重量の約半分を請け負っています。
長年にわたり、当社はREPICを通じて、英国政府や他ステークホルダーとも連携し、2014年に発効した改正法令へ貢献しました。英国のWEEE法令では、処理したWEEEを証明するエビデンスをスキーム間で売買できるエビデンス取引という課題の多い仕組みがありました。今回の法令改正は、このエビデンス取引の仕組みを廃止するものです。これにより、スキームが処理施設の監査を行うことができるようになり、処理品質が向上し、費用低減が可能となりました。当社は引き続き、業界団体を通じて、英国の家電リサイクルシステムが持続可能な形で運営されるよう、貢献していきます。
2015年、当社は欧州においてWEEE指令対象製品を約3万1,000トン※5回収しました。

ロシアの廃棄物法令は何度か改定されており、直近のもの( 包括法令) は2015年1月に施行されました。細則は現在策定中です。当社はこの法令が適切なものとなるよう、業界団体RATEKを通じて活動をしています。
2015年12月9日付の新たな大統領令では2017年のWEEE回収目標を5%と設定しています。ロシア政府は、法令対象製品に対し、リサイクル費用を税金のような形で一律にメーカーから徴収しようとしています。そのため、RATEKでは、メーカー主体で効率的なリサイクルスキームを構築できるよう、活動を進めています。

※5 回収システムごとの回収重量×当該システムにおける当社重量ベース市場投入シェアにより算出

北米におけるリサイクル活動の推進

当社は北米で廃電池・廃家電リサイクルシステムの構築・運営に対し、積極的な取り組みを継続しています。
米国では、2007年7月に施行されたミネソタ州のリサイクル法を契機に、同年9月に、当社が主体となり、(株)東芝様およびシャープ(株)様とともにアメリカリサイクルマネジメントLLC(MRM)を設立し、テレビ、パソコンやその他の電子機器製品のリサイクルを開始しました。リサイクラー数社との提携を通じ、MRMは40企業から委託を受け20州において回収プログラムを運営し、2015年は全米1,600カ所以上の回収拠点で州法に基づく回収および自主取り組みにより約7,200トンの使用済み電子製品を回収しました。回収実績は、商品販売減の影響に伴う法定回収義務量の減少もあり、前年度を下回っています。
廃電池については、1994年に他の電池メーカーと協働してCall2Recycleというプログラムを設立し、全米ならびにカナダで二次電池のリサイクルプログラムを提供しています。Call2Recycleは300を超える企業に回収プログラムと小売店回収ネットワークを提供、2015年は全米とカナダで約5,730トンの二次電池を回収しました。

カナダにおける使用済み製品のリサイクルは、アルバータ州政府拡大生産者責任法の下、2004年に開始されました。それ以来9州でWEEEの法制化が完了しており、それぞれに特徴と要求事項が盛り込まれています。パナソニック カナダはこれらプログラムの調和を図る非営利組織である電子製品リサイクル協会(EPRA)運営の主要メンバーとして参画しています。同協会は政府がプログラムを直接管轄するアルバータ州ならびに北西地域を除く、すべての州プログラムの管理責任を負い、リサイクル運営の標準化を義務付けた上で、2,200カ所の回収拠点を通じて全国規模でのスケールメリットを追求しています。これらの州の拡大生産者責任(EPR)プログラムの下、2014年には合計146,423トン(国民一人当たり4.32キログラム)の使用済み製品が回収されました。
なお、ニューブランズウィック州、ユーコン、ヌナブトでは法制化に至っていませんが、これら人口密度が少ない地域での最良の方法を決断すべく、EPRAも関与しながら法案協議が継続されています。

中国におけるリサイクル事業

2011年1月、中国で廃棄電器電子製品回収処理管理条例が施行されました。このような背景のもと、当社は中国の企業様と合弁で浙江省杭州市において、使用済み家電のリサイクル事業を行う新会社を設立し、2014年2月に操業を開始しました。新会社は同条例に則り、中国の先進家電リサイクルモデル企業を目指し、15年以上にわたり日本のリサイクル事業で築き上げてきた先進的かつ実用的な技術と近代的管理方法をベースに、使用済み家電の回収、解体処理、資源売却の事業を展開しています。2015年度の廃家電処理量は55万台となりました。
2015年2月には中国政府が廃電気電子機器対象品目を改定、2016年3月1日に施行しました。製品分類が5区分から14区分になったことをうけ、今後より多くの分野で事業の拡大を計画しています。これらの事業を通して中国の環境保全、資源の有効活用に貢献していきます。

新会社のテレビ解体ライン

新会社のテレビ解体ライン

東南アジア・大洋州における各国政府との連携

シンガポールでは、廃家電の適正なリサイクルに向けた統合プラットフォーム機能を果たす自主取り組みとして、ハートランド廃家電リサイクルプログラムを実施しています。同プログラムはメーカーである当社をはじめ、リサイクル業者、小売業者、地域社会および行政機関の適切な役割分担に基づく共同をコンセプトに進められています。
2015年2月から2016年1月までの1年間で、シンガポールの南東7地区の回収拠点76ヵ所において、約3,000台、総重量8,700kgを超える廃家電を回収しました。併せて約500人の学生ボランティアが、南東地区の家庭22,000軒以上を訪問し、家電リサイクルに関する意識調査を実施。地域住民のリサイクルに対する意識向上にも貢献しています。

ハートランド廃家電リサイクルプログラムの月例 回収活動に参加する学生ボランティア

ハートランド廃家電リサイクルプログラムの月例
回収活動に参加する学生ボランティア

マレーシアでは、現地政府からの要請により日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)が行ったE-waste管理に関する情報収集・確認調査プロジェクトに業界団体を通じて参画し、リサイクル法案検討を政府と共に進めてきました。次年度以降もJICAが行うE-waste管理制度構築支援プロジェクトにも参画し、実効性のある法制度になるよう働きかけています。ベトナムでは日本・ベトナム政府間協議の日越共同イニシアチブ枠組みでリサイクル法案の検討を政府と進めてきました。
タイやシンガポールでもリサイクル法制化の検討が進められ、業界団体を通じて政府と協議しています。

また、オーストラリアでは現行の使用済み製品リサイクル法令の見直しに対し業界団体を通じて政府と協議しています。
テレビ、パソコンの国家リサイクルスキームは2011年に設立され、それらの回収率を2015年7月以降は50%、2026年、2027年は80%に増やすことを目指しています。パナソニック オーストラリアはこの国家スキームの下、政府公認の共同規制協定であるElectronic Product Stewardship Australasia (EPSA) に加入しています。2012年から2015年までのテレビ、パソコンのリサイクル関連データは下記の通りです。

期間

回収率 (重量)

2012年7月~2013年6月

30%( 1,452トン)

2013年7月~2014年6月

33%( 1,052トン)

2014年7月~2015年6月

35%( 1,166トン)

こうした政府や業界団体との連携を踏まえながら、当社は各国において持続可能な使用済み家電の管理政策の確立に向けて貢献していきます。

インドにおけるリサイクルの取り組み

インドでは、2012年5月にリサイクル法が施行され、各メーカーにリサイクルスキーム構築が求められるようになりました。当社ではこの法施行を受け、廃家電の回収・処理を行うリサイクルスキームプログラムであるI Recycleを構築しています。また当社は、現地の電機電子業界団体CEAMAに参画しています。CEAMAでは、インドのリサイクル活動の現状分析や、課題解決に向けた中長期提案などを盛り込んだ白書を作成。2015年1月に、インドの環境森林気候変動省に提出しました。
今後も家電普及率が大幅に上昇していくインドにおいて、当社は業界団体を通じて政府と協議を行い、さらなる効率的なリサイクルシステム構築に向けて取り組みを進めていきます。

中南米におけるリサイクルの取り組み

中南米各国においても環境法令の強化が進む中、リサイクル法制化の検討・導入が進められています。
ブラジルではリサイクルシステム構築に向け、当社は業界団体、小売業界等と共同で政府と協議を進めており、各主要都市における回収キャンペーンにも積極的に参画しています。さらに、ブラジル政府からの要請によりJICAが技術協力を3年にわたって行うリバースロジスティクス改善プロジェクトにも業界団体を通じて参画し、実効性のあるシステムとなるよう働きかけています。
ペルー、メキシコ、コスタリカではリサイクル管理計画を政府に提出し、2016年から取り組みを開始しています。コロンビアでは政府・関係団体と連携し主要生産者とリサイクル管理機構を形成し、オゾン層破壊問題の解決に向け、2014年から冷蔵庫の回収を行っています。