使用済み製品リサイクルのグローバルでの取り組み

資源有効利用や環境汚染防止などを目的に、世界各国でリサイクルの法制度、仕組みの整備が行われています。日本では特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)や資源有効利用促進法、EUではWEEE指令が、米国の多くの州でもリサイクル法が制定・施行され、中国でも法律が施行されました。当社は非OECD国への有害廃棄物の移動を規制するバーゼル条約の規定や各国の関連法規順守はもとより、サードパーティーの活用も含めて国ごとのリサイクルインフラの実情に即した最も効率的な仕組みづくりに貢献しています。
2016年度の製品リサイクル実績は以下の通りです。近年はブラウン管テレビの回収・リサイクル量が減少して薄型テレビが増加するなど、製品が小型・軽量化していることや、各国における事業領域の変革に伴う回収・リサイクル量の減少により、実績重量も横ばいまたは減少傾向にあります。

2016年度実績

日本

使用済み家電4品目を約13万8,620トン再商品化等処理

欧州

使用済み電気電子機器を約3万トン回収

米国

使用済み電気電子機器を約2,426トン回収

日本における製品リサイクルの取り組み

当社は、2001年に4品目を対象とした家電リサイクル法の施行にともない、既存インフラを活用した地域分散型処理システムを運営管理する(株)エコロジーネットを、(株)東芝様と設立しました。このリサイクル管理会社は、Aグループ(当社をはじめとする18社)に所属するメーカーの委託を受けて関連業務を一括代行し、指定引取場所343カ所(A・Bグループ共有)と再商品化拠点30カ所を管理運営しています。当社のリサイクル工場であるパナソニック エコテクノロジーセンター(株)(PETEC)、パナソニック エコテクノロジー関東(株)(PETECK)、中部エコテクノロジー(株)(CETEC)※1は使用済み家電4品目※2のリサイクルをより効率的に、かつ多くの資源の回収・供給ができるよう独自の研究を行い、工程改善に努めています。2016年度、当社は使用済み家電4品目を約13万8,620トン再商品化等処理しました。2014年にリサイクル料金の透明化・低減とリサイクル率※3の向上に向けて家電リサイクル法の改正が検討され、2015年4月に法定リサイクル率※4が改正されました。パナソニックの各リサイクル工場は、製品の特性や使用原材料に応じたリサイクルの取り組みを通じ、生産性とリサイクル率向上に努め、資源循環のさらなる拡大を図っています。
PETECKでは、エアコン熱交換器の効率的な単一素材への分類を目指し、省スペースで低コストなコンパクト破砕選別システムの開発・実用化を行いました。コンパクト破砕選別システムは、エアコンの室内機・室外機の熱交換器をそのままの姿で同時に破砕することができ、破砕機の高速回転ブレードの遠心力により油分を除去します。比重選別と風力選別を用い、アルミ・銅・鉄を選別。銅は99%の高純度選別回収を実現しています。また、PETECでは、エアコンラインで切断・回収された配管銅、および冷蔵庫を破砕選別して鉄・プラスチックを取り除いたミックスメタル(銅とアルミの混合物)を再破砕・選別することで銅とアルミの資源価値を向上させる、「配管銅およびミックスメタルの破砕選別ライン」の導入を行いました。

※1 PETECKとCETECは三菱マテリアル(株)様と当社の合弁会社
※2 エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目
※3 リサイクル率=有価資源重量÷使用済み家電総重量
※4 改正後の法定リサイクル率は、エアコン80%以上、ブラウン管式テレビ55%以上、液晶・プラズマ式テレビ74%以上、冷蔵庫・冷凍庫70%以上、洗濯機・衣類乾燥機82%以上

欧州・CIS地域におけるリサイクルの取り組み

2016年、当社は欧州においてWEEE指令対象製品を約3万トン※5回収しました。
ドイツでは、400m2以上の倉庫施設スペースを持ちオンライン販売を行う生産者は、オンライン顧客へWEEEの無償引き取りを提供しなければならなくなりました。これは以前のような自治体などを通じての回収だけではなく、「商品出荷地点に程近い場所」で引き取ることです。パナソニック ドイツは、2016年7月よりオンライン顧客へ適切な引き取り手段を提供して法的責任を果たしています。
ロシアでは廃棄物法令は何度か改定されていますが、直近では廃棄物包括法令が2015年1月に改定、施行されました。新法令では回収目標に基づく環境対策料金(エコ料金)が設定されていますが、2016年度での回収目標については当社が加盟する業界団体RATEKを通した協議の末に段階的な目標が設定されました。またこの法令では、生産者および輸入者は、個別もしくは共同機構を通じて製品および包装材からの廃棄物を管理するか、またはエコ料金を支払わなければならないこと、また、廃棄物の管理を選択した場合の報告の要件について規定されています。当社を含む14社は、新たに創設した共同機構「EPR E-WASTE RECYCLING」のメンバーとして登録されました。当社は、さらに適切な法規制となるようにRATEKを通じて働きかけを継続しています。

※5 回収システムごとの回収重量×当該システムにおける当社重量ベース市場投入シェアにより算出

北米におけるリサイクル活動の推進

当社は北米で廃電池・廃家電リサイクルシステムの構築・運営に対し、積極的な取り組みを継続しています。
米国では、2007年7月に施行されたミネソタ州のリサイクル法を契機に、同年9月に、当社が主体となり、(株)東芝様およびシャープ(株)様とともにアメリカリサイクルマネジメントLLC(MRM)を設立し、テレビ、パソコンやその他の電子機器製品のリサイクルを開始しました。リサイクラー数社との提携を通じ、MRMは40企業から委託を受け20州において回収プログラムを運営し、2007年の開始以来およそ340,592トンを回収してきました。2016年には米国における当社の事業戦略の変更とともに当社の回収義務はごくわずかとなっていま すが、MRMはメーカーを代表し回収プログラムの運営を続けていきます。
廃電池については、1994年に他の電池メーカーと協働してCall2Recycleというプログラムを設立し、全米ならびにカナダで二次電池のリサイクルプログラムを提供しています。Call2Recycleは300を超える企業に回収プログラムと小売店回収ネットワークを提供、2016年は全米とカナダで約6,386トンの二次電池を回収しました。
カナダにおける使用済み製品のリサイクルは、アルバータ州政府拡大生産者責任法の下、2004年に開始されました。それ以来10州と2準州でWEEEの法制化が完了しており、それぞれに特徴と要求事項が盛り込まれています。パナソニック カナダはこれらプログラムの調和を図る非営利組織である電子製品リサイクル協会(EPRA)管理にて積極的な役割を担っています。同協会は政府がプログラムを直接管轄するアルバータ州ならびに2準州を除く、すべての州プログラムの管理責任を負い、リサイクル運営の標準化を義務付けた上で、2,200カ所の回収拠点を通じて全国規模でのスケールメリットを追求しています。これらの州の拡大生産者責任(EPR)プログラムの下、2015年には合計127,122トン(国民一人当たり3.57kg)の使用済み製品が回収されました。これらの実績は、当社製品の軽量化が進んでいることや使用済み廃棄物の流れへ重量のかさむブラウン管テレビの数量が減少傾向であることが表れています。
なお、2017年にはヌナブト準州での法制化のみを残し、ニューブランズウィック州とユーコン準州で使用済み製品のリサイクルプログラムが開始されます。

中国における取り組み

中国では、中国外商投資企業協会(ECFIC)などを通じて、2012年5月に公布・同年7月に実施された廃棄電器電子製品回収処理管理条例の第2期目録(2015年2月公布)の対象製品定義の明確化や、基金単価の設定に関する情報収集・意見提出を進め、政府部門である環境保護部や財政部などからの早期開示に向けた活動を展開しています。
また2017年1月に政府より公布された「生産者責任延長制度推進方案」の動向把握と対応検討を進めています。

東南アジア・大洋州における各国政府との連携

ベトナムでは、リサイクル法が2016年7月から実施され、生産者および輸入者はベトナム国内で販売した製品に対しての廃家電引き取りスキームの構築が義務付けられています。ベトナム政府による公式なリサイクル法の実施細則は今後発表されることになっていますが、パナソニック セールス ベトナムは、法的責任を果たしつつ、政府が取り組んでいるリサイクルの意識高揚に向けた協力活動の一環として、ハノイとホーチミンのサービスセンターに2カ所の回収拠点を開設しました。2017年4月には、ハイフォン、タインホア、ゲアン省、ダナン、ホーチミン、カントーの当社特約サービスセンターにさらに6カ所の回収拠点を開設する予定です。
オーストラリアでは、テレビ、パソコンの国家リサイクルスキームが2011年に設立されました。パナソニック オーストラリアはこの国家スキームの下、政府公認の共同規制協定であるElectronic Product Stewardship Australasia(EPSA)に加入し法的責任を全うしています。2012年から2017年までのテレビ、パソコンの回収実績は下記の通りです。

期間

回収量

2012年7月~2013年6月

1,452トン

2013年7月~2014年6月

1,052トン

2014年7月~2015年6月

1,166トン

2015年7月~2016年6月

1,108トン

2016年7月~2017年6月

1,027トン

オーストラリア政府は、2017年にはプロダクト・スチュワードシップ法を見直すことを発表しており、当社は業界団体の代表を通じてこの見直し協議に参画していきます。また、小型電池の自主リサイクルプログラム構築に向けた実行可能性を調査するため、当社はクイーンズランド州政府やその他のステークホルダーとともに電池業界の作業部会にも参加しています。

マレーシアやタイ、シンガポールでも、グローバルでの使用済み製品リサイクルの法的責任の規定化の流れに沿って、当社は法策定に関連する部門や業界団体を通じて協議を進めています。マレーシアの環境局と日本の独立行政法人国際協力機構(JICA)が行ったE-waste管理メカニズム開発プロジェクトへの参画や、タイでの現地業界団体を通じての協議活動は、その一例です。

こうした政府や業界団体との連携を踏まえながら、当社は各国において持続可能な使用済み家電の管理政策の確立に向けて貢献していきます。

インドにおけるリサイクルの取り組み

インドでは、2017年9月1日より実施される新たなE-wasteリサイクル法が環境森林気候変動省によって通知されました。その法令にはE-waste(管理)ルール2016で定義された製品寿命(EoL)に基づく拡大生産者責任 (EPR)目標が規定されています。当社ではその法令に対応するため、パナソニック インドがすでに構築している「I Recycle」プログラムを通じて廃家電の回収・リサイクルを実施していきます。また当社は、現地の電機電子業界団体CEAMAに参画しています。CEAMAでは、E-wasteが流れる経路ならびに製品寿命などを盛り込んだ、インドのリサイクル活動の現状分析や、課題解決に向けた中長期提案に関する白書を作成し、2016年10月にインドの環境森林気候変動省に提出しました。この白書ではE-waste(管理)ルール2016における障害や過去に実施してきた状況を明らかにしています。
当社はリサイクル管理のためのEPR目標およびEoL定義に関する様々な対話を、CEAMAと共にインド政府と重ねています。また、より効率的で安定的なリサイクルシステム構築に向けインド商工会議所連合会(FICCI)やインド工業連盟(CII)とも積極的に連携し、よりよい管理システムとなるよう業界の見解をインド政府へ提言しています。

中南米におけるリサイクルの取り組み

中南米各国においても環境法令の強化が進む中、リサイクル法制化の検討・導入が進められています。
ブラジルではリサイクルシステム構築に向け、当社は業界団体、小売業界等と共同で政府と協議を進めており、各主要都市における回収キャンペーンにも積極的に参画しています。さらに、ブラジル政府からの要請によりJICAが技術協力を3年にわたって行うリバースロジスティクス改善プロジェクトにも、電機電子製品リサイクル協会(ABREE-Associação Brasileira de Reciclagem de Eletroeletrônicos e Eletrodomésticos)を通じて参画し、実効性のあるシステムとなるよう働きかけています。そのプロジェクトにおける実証回収では、小売業者やリサイクル業者との連携により使用済み家電製品を店頭にて回収する方法に加え、ブラジルで初めての試みとして大型家電製品の新規購入時に使用済み製品から置き換えられる、家庭で戸口回収する方法を実施しました。
ペルーでは2016年に施行されたリサイクル法の下、非営利組織である廃棄物管理協会(ASPAGER- Asociación Peruana de Actores para la Gestión de Residuos)の主要メンバーとして参画し、政府と協議を進めながら使用済み製品の回収プログラムを実施しています。
コスタリカでは電子廃棄物の総合管理のための順守組織(ASEGIRE-Unidad de Cumplimiento para la Gestión Integral de Residuos Electrónicos)を通じ使用済み製品の回収プログラムを開始しており、またメキシコでも政府に承認されたリサイクル管理計画に基づき回収プログラムを展開しています。コロンビアでは政府・関係団体と連携し主要生産者とリサイクル管理機構を形成し、オゾン層破壊問題の解決に向け、2014年から冷蔵庫の回収を行っています。
チリでも法制定が加速しており、政府とも協議を重ね回収プログラム構築準備を進めています。アルゼンチンでは、ALPIBA(汎中南米電池業界)に加盟し、実効性のある乾電池の法案策定に向けて政府との連続した協議を続けています。