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障がい者の自立と社会参加を支える―あらゆる人に優しい社会を目指す、パナソニックの挑戦

オリンピック開催国でその閉幕後に開催される、障がい者スポーツの大会として最高峰の国際大会であるパラリンピック。毎回、世界中に大きな感動を呼んでいます。2014年10月15日、パナソニック株式会社は、国際パラリンピック委員会と、2014年から2020年のワールドワイド公式パートナー契約を締結しました。この背景には、障がい者の自立と社会参加をさまざまな側面で支えていきたいとのパナソニックの強い想いがあります。このたびのパートナー契約に加え、障がいを持つ人々の生活や活動の向上を応援する商品、障がいを持つ社員が主役となった職場づくりなど、事業活動を通じた取り組みを幅広くご紹介します。これはまた、あらゆる人に優しい社会を目指す、パナソニックの挑戦です。

国際パラリンピック委員会とのワールドワイド公式パートナー契約に調印

パナソニックは、これまで1998年長野冬季大会から2014年ソチ冬季大会までの16年間にわたりパラリンピック競技大会へ映像音響機器・サービスを提供。こうした活動を通じて、国際社会の平和と発展および、障がい者スポーツの振興・普及に貢献してきました。

パラリンピック ワールドワイド公式パートナー

今回の契約では、スポンサーのカテゴリーが、従来からオリンピックで当社がスポンサーをしてきた音響・映像機器を中心とした商品群に加えて、「The シャワー」や「パワーアシストスーツ」といった福祉関連商品が新たに対象となりました。これによりパナソニックは、商品、サービス、技術サポートを通じて、パラリンピックムーブメント及びアスリートを幅広く支援することが可能となります。

当社は1918年の創業以来、常に「人」を中心に置き、その「くらし」にフォーカスしてお客様と共に歩んできました。「人にやさしいモノづくり」は当社のDNAと言えます。世界中のあらゆる人が等しく、持続可能でより安心・快適、楽しいくらしを送ることができる社会の実現や、年齢、性別、民族の違いや障がいの有無を超えて、さまざまな方々に快適にお使いいただける商品・サービスを生み出すことは、当社の使命です。

今回のパートナーシップを機に、障がいを持った方、ご高齢の方を含めた世界中のあらゆる人に優しい商品・サービスを提供していきます。

障がいを持つ人々の生活や活動の向上を応援する商品

この度、ワールドワイドパラリンピックスポンサーカテゴリー商品として新たに対象となった福祉関連商品。パナソニックが培った技術やノウハウを活かした商品をご紹介します。

Theシャワー

座ったまま浴槽入浴なみの温熱効果が得られるシャワー――当社は、1996年10月より、全く新しい入浴法を提案する製品として「座シャワー」を販売してきました。

簡単に素早く入浴でき、身体への負担も軽くてすむことから、ご高齢者に限らず、心臓や血圧に不安のある方や妊娠されておられる方など、主に入浴動作に不安のある方に好評で、多くのご利用をいただいてきました。また、入浴は介助する側にとっても、肉体的に重労働ですが、「座シャワー」を設置すれば、浴槽の段差を超える必要がなく浴用の車椅子のまま浴びることが可能であり、病院や老人保健施設などの介護の現場の方からも、とても喜ばれました。

イスに座った楽な姿勢でゆったりシャワー浴 / 時間に余裕のない時は立ってスピーディに全身シャワー

開発にあたっては、当時はまだ入浴にかかわる専門的な裏付けデータが無く、地道な生活研究を重ね、さらに公的研究機関との共同研究を行うことで、効果検証を一歩一歩進めてきました。また商品化を進めるなかで、予想した以上に多く、入浴を困難と思われているお客様がいらっしゃることも認識しました。こうした経験は、「座シャワー」の開発や改善のみでなく、たとえば車椅子を使っておられる方にも利用していただける商品の開発につながったのです。また、高齢者や介護の場面を想定して開発しつつも、一方で家族みんなが使う商品にしたいという思いや視点が、座シャワーの開発と新たな市場の創造につながりました。

さらに2014年には、これまで体を温める入浴代替機能として追求してきた商品コンセプトを見直し、入浴をシャワーのみで済ましたり、毎朝シャワーを浴びたりといった入浴スタイルの変化を捕らえて、シャワー浴自体を多くの方々に楽しんでいただけるように「Theシャワー」としてリニューアルしました。水栓本体から伸びたアーム部分から、均一、かつ広範囲に拡散する機構により、通常のシャワーとほぼ同等の水量ながら、肌あたりがやわらかく、アーム可動域を拡げたことで立っても座っても、体を包み込むように温めるシャワーが楽しめます。また、シャワースタイルに応じて、折りたたみ式のイスの有無が選択可能であり、住宅、施設等、様々な場所に設置ができます。

このように、老若男女や、障がいの有無を問わないユニバーサルデザインを実現すると同時に、グローバルに「新しいシャワー浴」の文化を提案する、そのような商品を今後も市場に提供してまいります。

パワーアシストスーツ

体力を使う仕事の負担を軽くしたい。働くチャンスの拡大や人手不足解消の役に立ちたい。

パナソニックのグループ企業、アクティブリンク株式会社では、年齢や性別など体力の差から生まれる壁が取り除かれた「パワーバリアレス社会」の実現に向けて、「人の力をアシストする」機器の研究開発に取り組んできました。現在、様々な使用シーンで実証実験を進めています。

「パワーローダー(TM)ライトPLN-01(愛称:忍者)」は、スーツ装着者の自然な歩行をアシスト。歩き始めるときはモータがアシストし、連続歩行に入ると自然と脚が前に出る構造になっています。これにより、平地の歩行だけでなく、階段や傾斜地でも歩行をアシストすることができます。「アシストスーツAWN-02」は、物流現場など、荷役作業(重量物の上げ下ろし動作)での身体負担を軽減する補助器具です。体幹の動きを位置センサで検出し、動作意図に合わせて腰部のモータを回転させることで、重量物を持った状態で上体を引き上げたり、上体を保持するなど、荷役作業時の腰への負担を軽減します。

これらの技術はリハビリなど福祉の分野での活用も期待されており、今後に向けた検討を進めています。

歩行をアシストするパワーローダー(TM)ライトPLN-01
荷役作業で身体負担を軽減するアシストスーツ
AWN-02(左)上体を引き上げる(右)上体を保持する

障がいを持つ社員が主役となった職場づくり

パナソニックグループでは、障がいの有無にかかわらず、チャレンジ精神に溢れ、創造性を発揮して、共に会社の継続的な業績向上と仕事を通じた自己実現の双方を追求していきたいと考えておられる方を広く採用しています。

2014年6月現在の日本国内における当社の障がい者雇用率は2.16%、グループ全体では2.18%と、全国平均実雇用率(1.82%)や法定雇用率(2.0%)を上回る雇用率を維持しています。

また、地域や行政との連携により、グループとして特例子会社7社(*)を運営し、重度障がい者の雇用を進めています。たとえば、パナソニック吉備株式会社(岡山県加賀郡)、パナソニック交野株式会社(大阪府交野市)など、電気製品の製造組み立てを担う特例子会社では、車椅子使用者の体型に合わせて部材配置や作業机を工夫するなど職場環境を整備するとともに、実習生や会社見学の積極的な受け入れも行っています。

(*)特例子会社7社 : パナソニック吉備株式会社(岡山県加賀郡)、パナソニック交野株式会社(大阪府交野市)、パナソニックアソシエイツ滋賀株式会社(滋賀県彦根市)、パナソニックエコシステムズ共栄株式会社(大阪府大阪市)、三洋ハートエコロジー株式会社(大阪府大東市、他)、播磨三洋工業株式会社(兵庫県加西市)、千代三洋工業株式会社(鳥取県鳥取市)

1998年に設立された三洋ハートエコロジー株式会社は、「共生の花咲かそう!人と環境にやさしい企業をめざします。」を企業理念とし、環境・園芸事業を通じ、知的障がいを持つ人たちを中心に、障がい者の自立・社会参加という問題を見据えた働く場を創造しています。

その事業のひとつに、洋蘭育成販売事業があります。このビジネスモデルは、2011年度のグッドデザイン賞(**)において、「障がい者の自立を支援する胡蝶蘭事業のデザイン」として「社会貢献活動のデザイン」カテゴリでグッドデザインに認定されています。

(**)財団法人日本産業デザイン振興会主催。「優れたデザイン」のもつ卓越した「デザインの力」をもって、豊かな生活を築きあげ、産業の健全な発展を導いていこうとする制度。

胡蝶蘭の栽培は、従来、熟練者でなければ困難な作業をともないます。その工程を見直し、徹底的に単純作業に細分化することで、高度な栽培技術が不要なスキームの構築に取り組みました。その結果、知的障がいを持つメンバーが取り組める業務を拡大するとともに、作業品質の均一性や、作業効率の向上をも実現することができました。高品質で、比較的均一な商品を通年で安定的に出荷できる体制を構築したことが、障がいを持つメンバーが主役になれる、そして持続可能な事業のデザインとして認められました。

2011 年度のグッドデザインに認定された三洋ハートエコロジー株式会社の胡蝶蘭事業
仕立て業務標準化のための治具を制作