サスティナビリティFILES:
パナソニック東京汐留ビルが
東京都トップレベル事業所に認定

パナソニックの東京拠点であるパナソニック東京汐留ビル(以下、汐留ビル)が、このたび温室効果ガス総量削減などに優れる事業所として「平成29年度東京都トップレベル事業所」に認定されました。このビルで長年にわたって行っている消費エネルギー削減の取り組みを紹介します。

汐留ビルの外観

既存設備でエネルギー削減

汐留ビルは計測データに基づき、設備機器の運転・管理を行う省エネ改善活動を14年間継続することで、2003年の竣工時に対して51.9%の消費エネルギー削減を達成しました。その大部分は、「省エネチューニング」という地道な活動サイクルの積み重ねです。
消費エネルギー削減の前提となるのは、数値の計測や消費状態の把握といった、いわゆる「見える化」です。まずは基準となる執務フロアを5つのブロックに分け、空調、照明、コンセントの電力を計測し、加えて各空調機に熱量計を設置しています。それによって収集した約5000点のデータと設備運転状況を突き合わせて分析を行ってきました。
分析に用いるツールはパナソニックが開発したSatToolです。このクラウドベースのソフトによって、専門知識が無くてもトレンドグラフや散布図を簡単に加工できます。そこから気になる日や場所を選んで、室内の温湿度といった環境やエネルギーの使用傾向を把握し、そのときの機器の設定状態を確認することも可能です。
このような分析を使って、いよいよ省エネのための機器設定のチューニングを行います。
汐留ビルでは竣工当初より省エネ専門委員会が設けられ、その役割を担っています。社内のみならず社外の専門家も交えて組織されたこの委員会では、空調、照明から社員食堂設備に至るまでエネルギー削減に向けたさまざまなアイディアが出され、過去のデータを参照しながら仮説を作り、モデルフロアでの実証を推進します。例えば空調機器の場合、稼働時間、在室人員に応じた外気の取り込み量の調整など、必要な条件に最適化して、細かく見直していったのです。

計測データはフロアごとに分割された5つのエリア単位で集計
電力計量ユニット(上)と
熱量計測器(下)
SatToolはエネルギーデータの分析に大きく貢献

14年にわたる継続した取り組み

こういった活動も年数の経過によって、マンネリ化や過去の対策の実施漏れが出てくることも考えられます。
汐留ビルの省エネ活動では、その時々の達成具合に応じて目標が設定されました。2011年から掲げた「チャレンジ50」で削減率50%を達成した現在は、省エネレベルを維持しつつ快適性をより重視した「サスティナブル50」に取り組み、活動レベルの維持向上を図っています。
こうした活動の成果として、2013年度の空気調和・衛生工学会特別賞十年賞をはじめ、さまざまな賞を受賞。携わる従業員の士気向上にもつながりました。
また、同ビル4階のパブリックスペースにはタッチスクリーンを設置し、エネルギー消費の状況や推移、省エネ活動の取り組み内容や達成状況などを来館者に紹介しています。こうした「見せる化」は社外への訴求だけでなく、従業員の意識向上にも寄与しています。
なお、この活動で培った省エネノウハウは、パナソニックが「TOTALINK-BAシステム」で提供する照明制御や空調制御にも組み込まれ、お客様の省エネにも役立てられています。

省エネチューニングサイクル。
これを細部までやり込んでいく
4階ロビーのタッチパネル式サイネージで、エネルギー使用状況を紹介

快適なオフィス環境の追求

一般に省エネと聞くと快適さとのトレードオフの関係に思われがちですが、このビルの取り組みは、中で働く人の快適さを犠牲にしないことを前提に行われてきました。それでも省エネ活動のせいで居室が暑い、寒いといった従業員からのクレームがあったことも事実です。そのたび、パーテーションの隙間をふさぐなど、機器設定に直接関係しないことも対応してきました。事実、これまで竣工当初から50%以上のエネルギー削減を行ってきていますが、現在、総務部門に対するオフィス環境への苦情は、当初よりむしろ減っているのです。
2017年にはパナソニックは「環境ビジョン2050」を発表、実現に向けた方策の一つとして、各拠点の照明のLED化も推進します。それに先立って汐留ビルでは2014年から照明のLED化を開始し、2016年に完了。独自の空間明るさ指標であるFeu(フー)を用いながら快適な照明を省エネルギーで実現しています。
これからも今の省エネレベルを維持することはもちろんのこと、社員の生産性を向上させる快適なオフィス環境の実現に向けても取り組んでいきます。

トップレベル認定の盾
認定証贈呈式の模様