紛争鉱物に対する基本的な考え方

当社は、コンゴ民主共和国(DRC)および周辺諸国(以下、対象諸国)で人権侵害、環境破壊、汚職など、不正に関わる組織の資金源となっている紛争鉱物問題を重大な課題として懸念しています。
そして、調達活動における社会的責任を果たすため、このような不正と関わる紛争鉱物を原材料として使用しない方針です。
万一、使用が判明した場合は、ただちに不使用化に向けて取り組みます。

このために、2010年12月に全グループに対して、不使用の徹底を要請する通達を発信し、2011年2月には、主要な購入先様に鉱物調達先の確認を求める取り組みも開始しました。

ただし、対象諸国には、不正と関わりなく、合法的に事業活動を行っている企業や人々もいます。不正と関わりのある鉱物不使用の取り組みにより、そのような人々の事業活動やくらしを阻害することのないよう、十分な注意を払いながら取り組んでいかなければなりません。
そのためには、対象諸国で公正な鉱物サプライチェーンの構築に取り組む国々や企業、NPOを含め、さまざまなステークホルダーと連携して取り組む必要があります。こうした認識をもとに、当社は、経済協力開発機構(OECD)が2011年8月より開始した「紛争鉱物デュー・ディリジェンス・ガイダンス」実施プロジェクトに参加しました。
本プロジェクトへの参加をはじめとして、OECDガイダンスに沿った取り組みを行い、グローバルスタンダードに即したマネジメントプロセスを構築することで、紛争鉱物問題の解決に向けた国際的な取り組みへの貢献をめざしていきます。

※ 錫・タンタル・タングステン・金

紛争鉱物対応体制

モノづくり総括・調達担当役員の代表取締役専務 宮部 義幸(2016年8月現在)を最高責任者とし、全社体制を構築して取り組んでいます。2013年4月の4カンパニー制開始に伴い、各カンパニーに「紛争鉱物調査・報告責任者」を設置しました。各カンパニーで紛争鉱物調査・報告責任者の下、それぞれの事業特性に応じた体制構築と調査実施に取り組んでいます。

デュー・ディリジェンスの取り組み

購入先様に当社方針をお伝えするとともに、「DRCコンフリクトフリーに向け、合理的な努力を払っていただくこと」「可能な限り紛争とかかわりのない製錬所(以下、CFS)から調達いただくこと」をお願いしています。
紛争鉱物調査は、製錬/精錬所に至る全ての購入先様のご協力が必要なことから、購入先様の対応負荷低減と調査効率向上のため、共通の調査ツールや説明資料を使用することが効果的です。このことから当社では、調査ツールとして「コンフリクト・フリー・ソーシング・イニシアティブ(CFSI)」の発行する「コンフリクト・ミネラル・レポーティング・テンプレート(CMRT)」を使用しています。また、JEITA「責任ある鉱物調達検討会」で実施する調査説明会に説明員として参加し、自動車メーカー・自動車部品工業会と共通の調査実施マニュアル・手引きを積極的に活用しています。

調査の状況

2015年度は、パナソニックグループ全体で1300社の購入先様に対し紛争鉱物調査を実施し、86%を回収しました(2015年12月末時点)。回収した調査票(CMRT)に基づき、リスク分析と評価を実施しリスクに応じて購入先様へ更なる調査をお願いしました。
パナソニックグループで特定した製錬所は、対象4鉱物で256社でした。そのうちCFSと認定されている製錬所は錫が65%、タンタルが100%、タングステンが66%、金が65%でした(2015年12月末時点)。
「対象諸国を原産地としている」との回答をいただいた金属について、現時点、直接・間接に武装勢力の資金源となっている鉱物は確認されていませんが、引き続き製錬所情報の精査、特定を続けてまいります。
また、業界活動などを通じて、精錬所にCFS認定の取得を働きかけるとともに、購入先様に、引き続きデュー・ディリジェンスに取り組んでいただき、万一、紛争に加担する鉱物が見つかった場合には、調達先の変更など不使用化に向けた取り組みを行っていただくことをお願いしています。

「責任ある鉱物調達のためのデュー・ディリジェンス実施」フォーラム参加

当社では2011年より、「OECD紛争鉱物デュー・ディリジェンス・ガイダンス」実施プロジェクト(現、「責任ある鉱物サプライチェーン・フォーラム」)に参加しています。2013年11月のフォーラムでは、ルワンダで責任ある鉱物調達に取り組む鉱山、取引所、鉱石のトレーサビリティシステム、鉱物の組成および年代分析により鉱山を特定する取り組みなどを確認し、コンフリクトフリーの鉱物調達に向けた努力が行われていることを理解しました。2015年5月にパリで開催されたフォーラムにも参加し、紛争鉱物問題への効果的なアプローチについて、関係者との意見交換を行いました。

業界連携の取り組み

紛争鉱物調査ではサプライチェーン上のすべての購入先様のご協力が不可欠です。このことから当社では、電子情報技術産業協会(JEITA)「責任ある鉱物調達検討会」の共同主査、および、共同リーダーとして、業界連携によるサプライチェーンへの啓発活動や調査効率の向上に取り組んでいます。
具体的には、国内外の業界団体と連携し、紛争鉱物に対する正しい取り組みを促進するためのセミナー開催や調査説明会の実施、製錬/精錬所情報の精査、米国の紛争鉱物に関するデータ転送規格IPC-1755策定への参画などに取り組んできました。「責任ある鉱物調達検討会」は2013年11月に、日本の自動車メーカーと「コンフリクト・フリー・ソーシング・ワーキンググループ」を発足し、製錬業界との対話や製錬/精錬所情報精査の取り組みを加速させました。当社はこの活動にも参画しています。
2016年1月よりCFS認証をまだ取得されていない製錬所に対しJEITA「責任ある鉱物調達検討会」加盟企業とともに、CFS認証を取得いただくよう働きかけを行っています。
また日本国内の製錬所を訪問し、紛争鉱物対応に関する状況や課題について情報交換を行い、合理的な紛争鉱物対応のあり方を検討しました。

コンゴ民主共和国及び周辺諸国での取り組み支援

当社は、川下企業の社会的責任として自社のサプライチェーンのデュー・ディリジェンスに取り組んでいますが、紛争鉱物問題解決のために最も重要な取り組みは、対象地域で責任ある鉱物調達の仕組みを確立することであると考えます。
この考えに基づき、2013年3月より、業界団体、米国政府、市民団体などによる「責任ある鉱物取引のための官民連携(PPA)」に参画しています。
PPAは、アフリカ大湖周辺地域で、紛争と関わりのない鉱物取引のための認証・トレーサビリティの仕組みづくり・能力開発などの取り組みを支援するとともに、参加組織の対話・連携の場を提供することにより、当該地域での持続可能で責任ある鉱物取引の実現をめざしています。
当社はPPAに参画し、責任ある鉱物取引の取り組みを支援することで、当該地域の健全な経済発展に貢献したいと考えています。

関連情報

対象諸国の持続可能な発展への支援

当該地域に関する当社の企業市民活動としては、2010年から、アフリカ諸国の課題解決に取り組むNPO/NGOの広報基盤強化を支援するプログラム「Panasonic NPOサポート ファンド for アフリカ」を立ち上げ、アフリカ諸国で社会課題の解決に取り組む団体を支援しています。当社がこれまで助成してきた団体の中には、ウガンダ・コンゴ民主共和国などで地雷、小型武器、子ども兵の問題に取り組む認定NPO法人「テラ・ルネッサンス」(2011~2013年)や、ルワンダで女性に職業訓練の機会を提供し、経済的自立を支援するNPO法人「リボーン・京都」(2014~2016年)が含まれています。2016年3月には、コンゴ民主共和国で人道支援活動を行う国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、当社のソーラーランタン約500台を寄付しました。

NGOとの対話

紛争鉱物対応についてNGOとの対話を行っています。2015年3月には、国際環境NGO A SEED JAPANが推進する「エシカルケータイキャンペーン」のセミナーに登壇し、当社の紛争鉱物対応の取り組みと考え方を企業やNGOの皆様と共有しました。また、セクター連携による紛争鉱物への取り組みの重要性などについて意見交換を行いました。今後とも、このような対話、連携を続けてまいります。