平成22年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰
科学技術賞(開発部門)

2010年4月5日、平成22年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が決定し、パナソニックから3名が科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

同賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学省が表彰しています。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

『半導体超微細加工用エキシマレーザーリソグラフィ技術の開発』

受賞者

笹子 勝(ささご まさる)
パナソニック株式会社 セミコンダクター社 生産本部
プロセス開発センター チームリーダー

笹子 勝

笹子 勝

概要

近年のエレクトロニクス産業を牽引してきた半導体の指数関数的高集積化を可能にしてきたキーテクノロジーが微細加工技術です。半導体の更なる微細化には、半導体基板に回路パターンを転写する光リソグラフィ露光の短波長化が必要ですが、従来光源の高圧水銀ランプでは波長365nmが限界で、半導体の微細加工精度は600nmにとどまっていました。

本開発では、世界に先駆け、光源に波長が短いKrFおよびArFエキシマレーザーを利用するため、光学手法による狭帯域化技術の開発及び短波長に非常に良く感応する新たなコンセプトのレジスト材料開発など総合的なリソグラフィ技術を構築し、従来光源の限界を超えた超微細加工を可能にしました。

本開発により、解像度が500nm以下のレジストパターン形成が実現されると共に、現在の最先端プロセスである32nmまでの超微細加工による半導体集積回路実現の道が拓かれました。本成果は、さらなる半導体超微細加工を可能とし、高集積による高機能半導体を実現しました。その結果、高機能半導体を搭載したパーソナルコンピュータ、携帯電話、デジタルテレビ等の各種最新デジタル機器が上市され、国民生活の向上に寄与しています。

受賞者コメント

笹子 勝

笹子 勝

本開発は、日米の半導体微細化競争の真っ只中で始め、志操堅固の念で一気に世界に先駆ける思いで行ってまいりました。
今回の受賞で、当社の半導体微細加工技術が認められたことは、大変光栄に思います。

これまで本開発に関して、ご指導、ご協力頂いた会社、OB、上司およびスタッフ、開発をご支援頂いた関係業界、団体に心より感謝申し上げます。

今後も、更なる半導体微細加工技術の進展に尽力すると共に、新しい事にも挑戦して、日本発の斬新な技術を開発して、敢為邁往の精神を、若手の技術者たちに伝えていきたいと思います。

『静電霧化技術を用いた空質改善デバイス(「ナノイー」※1デバイス)の開発』

受賞者

山内 俊幸(やまうち としゆき)
パナソニック電工株式会社 電器事業本部 電器R&Dセンター 技監

須田 洋(すだ ひろし)
パナソニック電工株式会社 電器事業本部 電器R&Dセンター 技師

(左から)山内 俊幸、須田 洋

(左から)山内 俊幸、須田 洋

概要

従来の空質改善におけるコロナ放電方式は、発生させる微粒子の径が小さく短寿命で遠くまで拡散せず、また空気中の有害成分(菌、ウイルス、カビ、花粉など)を分解するラジカルを含まないため、部屋全体の空質改善効果が発現しにくいという課題がありました。

本開発では、部屋全体に拡散させるためには10~100nm(ナノメートル)の粒子径が有効であることを見いだし、レイリー分裂現象※2の利用に加え、ペルチェ素子とプラズマ放電の融合により、ラジカルを含む10~100nmのナノサイズの帯電微粒子を発生させる静電霧化技術を開発。さらに、従来計測不能だったナノサイズ帯電微粒子の粒子径、ラジカルなどの物性計測技術も併せて開発しました。

本開発により、ラジカル成分を含む寿命が長い帯電微粒子の発生とデバイスの小型化を実現し、デバイスから離れた場所での脱臭やカビ、花粉などの分解が可能になりました。さらに、野菜の栄養素向上、毛髪のツヤ向上や肌への保湿作用を検証しました。その成果は、エアコンなどにおいて室内空気環境改善に寄与するとともに、冷蔵庫での野菜の栄養素向上、理美容商品の保湿作用により生活改善にも寄与しています。

※1:「ナノイー」は、パナソニック電工株式会社の登録商標です。
※2:「レイリー分裂現象」とは、微量な水に高電圧を印加すると帯電水がナノサイズに分裂し空気中に飛散する現象です。

受賞者コメント

山内 俊幸

山内 俊幸

この技術が確立するまでの空気浄化技術は、フィルターで脱臭する、あるいは菌やカビを捕集する技術が長年の主流でした。そんな市場に、アクティブな空気浄化技術(ナノイー)で付着臭脱臭するという、新しい技術を投入するにあたっては、お客様に受け入れられるか、その技術を搭載した商品は販売増に寄与できるか、が一番の懸念でした。結果、市場で大変にご好評いただいており、そしてこの度の受賞とともに、たいへん誉れに思います。

メーカーの技術開発においては、商品の使用シーンやお客様への提供価値を今一度見直すところから、これまでの技術開発と異なる開発が可能になる場合があります。

技術的なシーズは幅広い学界の情報を持ち合わせていることで、ニーズに適合した最適な技術開発が可能になると思います。そのためには、徹底的にその情報を調べ上げる、知り尽くすといった探究心を、自分もいつまでも忘れずにありたいと思っています。