平成23年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰
科学技術賞(開発部門)

2011年4月20日、平成23年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が決定し、パナソニックから5名(当社OBを含む)が科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

同賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学省が表彰しています。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

『光ディスクピックアップにおけるDVD/CD互換技術の開発』

受賞者

金馬慶明(こんま よしあき)/デジタル・ネットワーク開発センター チームリーダー
田中康弘 (たなか やすひろ)/AVCネットワークス社 AVCデバイス開発センター 主幹技師
愛甲秀樹(あいこう ひでき)/デジタル・ネットワーク開発センター グループマネージャー
水野定夫(みずの さだお)氏 当社OB
西野清治(にしの せいじ)氏 当社OB

開発の背景

映画ソフト配布/TVの動画記録を行うDVD装置の製品化と普及に向けては、DVD以前に普及していたCDソフトの再生が必要でしたが、装置の小型化や低コスト化の点からDVD用とCD用の2台のピックアップを搭載することが大きな課題となっていました。

世界初のDVD/CD共有レンズ(1995年)

開発技術の概要

本開発では、DVDとCD共用レンズの基本方式を発案具現化しました。対物レンズを同心円状の内外周部に区別し、内周部では回折素子を用いることによりDVDとCDとで異なる基材厚に対応し、外周部はDVDのみに使用することによって異なる開口数に対応した新規な方式です。さらに、検出系光路を短くする検出レンズの新規開発により、小型で簡素な光学系を実現しました。 本開発により、DVDと共にCDの再生も同一の対物レンズで可能とする光ディスクピックアップを世界で初めて開発し製品化に成功しました。

世界初のDVD/CD互換ピックアップ(1995年)

開発技術の成果

本技術は、膨大なCDソフト資産の活用を可能にして、DVDが世界規模の市場を形成し広く普及することに大きく寄与しています。さらに、ハイビジョン対応のBD(Blu-ray DiscTM)装置も、BDレンズと共にDVD/CD互換レンズを用いており、本成果は引き続き広く利用されBD装置の普及にも寄与しています。

受賞者コメント

金馬 慶明

金馬 慶明

CDと同じ大きさの光ディスクに映画を記録するため、DVDの開発を始めたのは20年近くも前のことです。当社では早くから薄型ディスク保護層(基材)採用による高密度化に取り組んだためCDとの互換技術開発でも先行できました。初めて実用化した互換レンズの基本概念が現在でも変わることなく広く使われていることが評価され大変光栄です。

田中 康弘

田中 康弘

レンズの表面はつるつるできれいなもの。その常識に反して、表面に同心円状の溝、すなわち回折素子をつけることで全く新しい機能を持ったレンズが作れるのではないか。今から20年近く前に注目しつつあったこの技術と、どうやってDVDとCDを1つのレンズで読み出すかという、DVD誕生前夜の大きな課題とが共鳴して生み出されたのが、このDVD/CD互換技術です。 その後も、この基本技術に様々な改良を加えながら発展させ、今では全世界のほぼ全ての光ピックアップに使われるまでになりました。この開発のただ中に身を置けたことは、まさに技術者冥利に尽きる感動であり、是非若い技術者の方々にも、同じような体験を味わって頂ければと思います。今回このような栄誉ある賞を受賞できたことを大変光栄に思うとともに、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

愛甲 秀樹

愛甲 秀樹

種類の違う光ディスクの記録再生を、簡単なピックアップで実現したい。その思いは光ディスクに関わる技術者として強いものでしたが、DVD誕生時にDVD/CD共用レンズの基本方式開発と互換ピックアップ開発に携わることができ、思いを実現できたことは技術者として大変嬉しく思います。一方、この思いは素直に考えたお客様視点での価値創造であり、多くの関係者に支えられて新しい技術で新しい価値を生み出せたことは素晴らしい経験でした。今回の受賞を大変光栄に思うと共に感謝申し上げます。