第44回 市村産業賞 功績賞

パナソニック株式会社と千住金属工業株式会社は「環境保護に寄与する鉛フリーはんだの開発と実用化」の功績において、第44回市村産業賞 功績賞を受賞し、贈呈式が2012年4月27日、開催されました。市村産業賞は、優れた国産技術を開発することで、産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者またはグループに対し、財団法人 新技術開発財団(昭和43年設立)より贈呈されるものです。

(左から)古澤、西浦、加藤

(左から)古澤、西浦、加藤

『環境保護に寄与する鉛フリーはんだの開発と実用化』

受賞者

古澤 彰男/生産革新本部 生産技術研究所 チームリーダー
西浦 正孝/技術品質本部 技術品質ソリューションセンター 評価ソリューション総括参事
加藤 力弥 氏/千住金属工業株式会社 田口研究所 技監

開発の背景

1990年代以降、鉛による環境汚染に対する関心の高まりを受けて各国で法規制の強化が進められてきました。電子回路基板で使用する鉛含有はんだには5000年の歴史があり、業界では長年かけて知見を蓄積してきた材料を新たな材料に置き替えることに対する不安の声がありました。しかしながら、鉛を含まない接合技術に対する社会からの期待は高く、受賞者らはこれを実現する鉛フリーはんだの開発と世界に先駆けた実用化を進めました。

開発技術の概要

本技術は、Sn(錫)を主成分とする鉛を含まない鉛フリーはんだを開発し、電子回路基板の鉛フリー化を実現したものです。キーとなる技術は、以下の3つです。

(1)金属組織制御により鉛含有はんだと同等の特性を実現する材料設計技術(図1)
(2)工業化に向けた各種形態の実装基板に対する量産化技術
(3)長期使用時の接合品質を見極める信頼性検証技術

特に、材料設計技術では、Sn亜粒界にAg3Sn金属間化合物を微細析出さ せて変形を防止することを基本構造とし、Cuにより接合界面の組織構造を制御したSn-Ag-Cuはんだと、BiとInの固溶強化で強度と低融点化を両立 したSn-Ag-Bi-Inはんだを開発し、Snを主成分とする鉛フリーはんだの特性に合わせてフラックスの耐熱性と還元力を最適化することで鉛フリー接合を実現しました。さらに、開発した鉛フリー接合技術を社内外に発信することでエレクトロニクス業界への普及に努めました。

金属組織を制御する材料設計技術

開発技術の成果

開発した鉛フリーはんだは、フローとリフローの両プロセスで使えるSn-Ag-Cuはんだと低温実装が可能なSn-Ag-Bi-Inはんだです。その 結果、欧州RoHS指令を3年前倒しし2003年に世界に先駆けてパナソニックブランド全製品の鉛フリー化を実現しました。(図2)特に、Sn-Ag-CuはんだはISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)で国際規格に採用されグローバルスタンダードとなり、2010年にグローバルで87%が鉛フリー化される中、同はんだが80%のを占めています。鉛フリーはんだは鉛含有はんだには無い優れた特性を持ち、今後は欧州ELV指令により鉛含有はんだの使用が規制される見込みの自動車分野での普及等、多方面に展開する可能性を秘めた材料です。

鉛フリーはんだの展開

受賞者コメント

古澤 彰男

古澤 彰男

鉛フリーはんだを開発し実用化した実績が認められ、このような名誉ある賞を頂いたことを大変嬉しく思います。今回の受賞は、材料開発のみならず工法、設備、基板、部品等の幅広い分野の方々のご支援により成し遂げることができたものであり、関係の皆様には心より感謝申し上げます。
鉛含有はんだ5000年の歴史に対し、鉛フリーはんだの歴史はわずか20年です。今後も成長していく技術分野であり、産業界へのさらなる貢献を目指して新規技術開発に挑戦し続けたいと思います。

西浦 正孝

西浦 正孝

私達が開発した鉛フリーはんだ技術が、グローバルで使用され、環境保護や産業界の発展に大きく貢献できましたこと、大変嬉しく思っています。また、今回、このような名誉ある賞を頂きましたこと、大変光栄に思います。
この鉛フリーはんだ技術の開発に関わって頂いた皆様、グローバルに使用される様にご尽力を頂いた皆様に、心より感謝申し上げます。