第60回電気科学技術奨励賞

2012年11月27日、第60回電気科学技術奨励賞(旧オーム技術賞)が決定し、パナソニックグループから2件、6名が電気科学技術奨励賞を受賞しました。

同賞は、電気科学技術に関する発明、改良、研究、教育などで優れた業績を挙げ、日本の諸産業の発展および国民生活の向上に寄与し、今後も引き続き顕著な成果の期待できる人に対し、公益財団法人 電気科学技術奨励会より贈呈されるものです。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

贈呈式

贈呈式

『光学設計解析技術の開発と光ディスク技術への応用』

受賞者

西脇 青児:R&D本部 主幹技師
百尾 和雄:AVCネットワークス社 チームリーダー
麻田 潤一:AVCネットワークス社 主任技師

開発の背景

光ディスク技術はCD、DVDそしてブルーレイディスク等の高密度化が図られてきました。それとともに光ディスクを支える光ピックアップについても高度な光学設計が求められるようになりました。このような光学設計のためには、ホログラムの設計や光の波動性、干渉性を扱う機能が求められていましたが、これに対応できる設計ツールは世の中に存在しませんでした。

光線追跡の結果を波動化処理して得られる光検出器上の干渉パターン

光線追跡の結果を波動化処理して得られる光検出器上の干渉パターン

開発技術の概要

本開発では、光線追跡の結果に数学的な処理することで、光線追跡では不可能な光の干渉 (例えば多層ディスクに於ける迷光干渉) の問題が扱え、光ピックアップの検出器や回折レンズの設計に応用できます。また2光束干渉という現象を数値計算上で再現することで、ホログラムの設計が実現できます。更にこれらの技術を、複雑な反射、屈折光線やホログラム、回折レンズによる回折光線も追跡できる光線追跡技術と組み合わせることで、光ピックアップの簡素化、高性能化を実現しました。

光ピックアップの薄型化を実現した光線追跡技術

光ピックアップの薄型化を実現した光線追跡技術

開発技術の成果

開発した光学設計技術はDVD用ピックアップの設計や、マルチディスク対応、2層ディスク対応、その後のブルーレイディスク用の多層ディスク、ピックアップの開発で広く活用されています。また、本技術により設計された光ピックアップは従来の方式に比べ2割程度の薄型化を実現し、9.5mmハイト、7.0mmハイトの薄型光ディスクドライブ実現に貢献しました。これにより光ドライブのノートパソコンへの搭載、普及を可能としました。

受賞者コメント

西脇 青児

西脇 青児

1990年頃より構築を始めた光学設計解析技術を光ディスク、光ピックアップの開発に応用した結果として、名誉ある電気科学技術奨励賞を受賞することができ、大変嬉しく思っています。画期的な商品は先進的、独創的な設計、解析技術が素朴で粘り強い探究心と結びついたところから生まれると信じています。この信念のもと、今後も、魅力ある商品につながる光学技術、光学デバイスの提案を行ってまいります。

西 孝啓

百尾 和雄

入社以来CD、DVD、BDと光ディスク関連商品開発に従事し、この度このような名誉ある賞を受賞させていただき、大変うれしく思うと共に、ご支援いただいた関係の方々に深く感謝いたします。光ディスクで培ってきた光学設計解析技術は、様々な分野への応用展開が可能で、今後も新たな商品開発や事業創造に取り組んでいきたいと思います。

麻田 潤一

麻田 潤一

この度は名誉ある賞を頂き、大変感激するとともに光栄に存じます。シミュレーション技術は常に現物との突き合わせ、多角的な視点の議論により精度を向上していくものであります。本技術を用いて複雑な設計や課題の予測ができるようになってきたのは、ひとえに関係の方々のご支援、ご協力によるものであり、深く感謝致します。今後も本技術をさらに応用、発展すべく努力、精進し、夢のある新製品の開発、事業化に貢献していきたい所存です。

『高速伝送対応高多層プリント配線板用材料の開発と実用化』

受賞者

藤原 弘明:デバイス社 チームリーダー
井上 博晴:デバイス社 主任技師
橋本 昌二:パナソニック デバイスマテリアル郡山株式会社

開発の背景

SNSや動画サイトなどの普及により、インターネット上では、個人レベルでも大量の情報がやりとりされるようになり、サーバ、ルータなどの通信ネットワーク機器に対して、大容量のデジタル情報を高速で処理するというニーズはますます高まっています。高速通信ネットワーク機器の機能性向上には高速伝送対応高多層プリント配線板が不可欠ですが、そのためには低誘電特性と高耐熱性を兼ね備えた多層基板材料の開発や、導体回路と樹脂界面の高密着化技術の確立が求められていました。

当社材料の採用が進む通信ネットワーク機器

当社材料の採用が進む通信ネットワーク機器

開発技術の概要

本開発では、樹脂変性技術、材料ブレンド技術および無機フィラーの複合化技術を確立することによって、新規な低誘電率多層基板材料の実用化に成功しました。さらに、銅箔と樹脂の異種界面の高密着化技術の確立により、高速伝送に有効な低粗度銅箔の採用を実用化させ、機能性・信頼性の向上にも寄与しました。

高速伝送対応多層基板材料「MEGTRONシリーズ」

高速伝送対応多層基板材料「MEGTRONシリーズ」

開発技術の成果

開発した高速伝送対応高多層基板材料は国内外の大手通信機器メーカのサーバやルータ機器に多数採用され、高度情報化社会の進展に貢献しています。さらに超高速の演算能力が求められるスーパーコンピュータや半導体テスター機器用途にも採用され、高速電子機器分野においても貢献しています。

受賞者コメント

藤原 弘明

藤原 弘明

名誉ある電気科学奨励賞を受賞し、たいへん光栄に思っております。関係者の皆様に心から感謝申し上げます。本材料の実用化は、マーケッティング、営業、製造、技術、QAなど様々な部門が一体となって活動できたことにあると思っています。材料開発は地味な仕事ですが、あきらめずに粘り強く開発を進め、実用化できたことは、私にとってたいへん貴重な経験になりました。今後も、お客様に喜んで頂き、社会に貢献できる商品の技術開発、実用化に取り組んでまいります。

井上 博晴

井上 博晴

電子材料は商品の特性上、表舞台に出ることが少ないため、一般の方には殆ど認知されていません。そのような中、電気科学奨励賞という名誉ある賞を頂きましたことは材料開発に携わる者として、大変光栄なことだと思っております。今回の受賞を励みに、今後ともお客様に喜んで頂き、そして、新たな価値を創造する技術開発や商品の実用化に取り組んでいきたいと思います。

橋本 昌二

橋本 昌二

今回、このような名誉ある賞を頂き、大変光栄に思います。 製造安定化、品質安定化までは様々な課題がございました。それらを解決し、標準化できたことは多くの方々のご支援、ご指導がなくては実現し得なかったことです。この場をかりて心より御礼申し上げます。今後もこの経験を生かし、新商品の安定化、技術開発に取り組んでいきたいと思います。