第59回大河内賞 大河内記念生産賞
『柔軟性を有する結晶性グラファイトによる高熱伝導シートの開発と実用化』

2013年3月22日、当社の『柔軟性を有する結晶性グラファイトによる高熱伝導シートの開発と実用化』が「第59回(平成24年度)大河内賞・大河内記念生産賞」を受賞しました。

大河内賞は、(公財)大河内記念会が毎年、わが国の生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施等に関する顕著な功績を表彰するもので、日本で最も権威ある賞のひとつです。

開発の背景

電子機器のデジタル化の流れは、パソコンや携帯電話等の普及によって高機能・高性能化、高集積化が進み、それに伴いCPUからの発熱が大きな課題になってきました。特に携帯電話やスマートフォン、タブレット等の小型モバイル機器では、軽くて薄く、高い熱伝導性を有する放熱部材が求められていました。そこで、当社は、重さが銅の1/4、熱伝導率が3.5倍であるグラファイトに着目しました。

開発技術の概要

特定の高分子フィルムが熱処理条件により溶けたり・縮んだり・燃えたりすることなく結晶性のグラファイトシートになることを見出し、また、結晶性を保ったまま柔軟性を付与する工法を開発し、小型モバイル機器向けの熱対策部材として実用化に成功しました。
本技術の特徴は、

(1) 高分子グラファイト化技術
特定の高分子フィルムを3,000度で熱処理し、炭素原子だけを残して再結晶化させることで、世界で始めてB5サイズ以上の大面積を有するグラファイトシートの作製に成功し、理論熱伝導率である1,500W/mKを達成しました。

(2) 炭素の結晶配向性を保ったまま柔軟化する新工法
再結晶化時点では固く脆いグラファイトシートを圧延する工法を開発し、炭素原子の結晶配置はそのままに、折り鶴が折れる柔軟性を与えることに成功しました。

(3) 有機フィルムを用いたラミネート構造形成方法
グラファイトシートの柔軟性・熱伝導性を維持したまま、補強・絶縁を施し、電子機器内で自由に貼付けることが可能なラミネート構造の形成方法を開発しました。

PGSグラファイトシート

PGSグラファイトシート

スマートフォンでの熱拡散効果

スマートフォンでの熱拡散効果

開発技術の成果

柔軟性を有する結晶性グラファイトシートは低比重、高熱伝導性に加えて加工性の良さを特長とし、モバイル機器の放熱部材として用途展開を図り、現在、急速に市場拡大しているスマートフォン、タブレット等で必須の熱対策部材としての地位を確立しました。また、他材料との複合化により更なる市場の創出や、電磁波シールドとしても期待されています。