第61回電気科学技術奨励賞

2013年11月27日、第61回電気科学技術奨励賞(旧オーム技術賞)が決定し、パナソニックグループから1件、3名が電気科学技術奨励賞を受賞しました。

同賞は、電気科学技術に関する発明、改良、研究、教育などで優れた業績を挙げ、日本の諸産業の発展および国民生活の向上に寄与し、今後も引き続き顕著な成果の期待できる人に対し、公益財団法人 電気科学技術奨励会より贈呈されるものです。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

(左から) 反田、塚原、中山

『部品縦埋め技術を用いたBGA電流プローブの開発とLSI実装設計への適用、実用化』

受賞者

塚原 法人/モノづくり本部 チームリーダー
中山 武司/R&D本部 主幹技師
反田 耕一/モノづくり本部 グループマネージャー

開発の背景

デジタル機器では搭載されるLSIの動作周波数は高速化の一途をたどり、高周波帯域で電源が不安定となる問題が頻発していた。 電源安定化には電源、グランド端子追加による電源インピーダンスの低減が有効だが、この手法ではパッケージサイズが大きくなり、コストアップとなる。 電源、グランド端子の数、配置の最適化には、製品動作時における端子毎の高周波電流の振舞いを測定、解析することが有効である。 しかし、高密度実装用の主要なLSIのパケージであるBGA(Ball Grid Array)の場合、製品基板に実装すると端子が隠れてしまうため、端子毎に電流を測定することが出来ない。 そのため、電源グランドの設計は、設計者の経験と勘に委ねられ、不要な端子の増加を招いていた。

BGA電流プローブ概略

BGA電流プローブ概略

開発技術の概要

LSIのグランド端子を含む『全端子に流れる高周波電流を個別測定可能なBGA電流プローブ』を『チップ部品を基板内に縦方向に埋め込むことを可能とする独自の部品内蔵基板形成技術』により実現した。
基板内にチップ部品を縦に内蔵した部品内蔵基板の実用化例はこれまで無く、横方向に実装する従来の手法に比べ約2.3倍の密度で部品実装が可能となる。
製品動作時の電源、グランド端子に流れる電流を可視化、絶対値や周波数成分を測定・解析することで、冗長な端子を特定し、LSIの電源、グランド端子の配置を最適化する設計指針の導出に成功した。

BGA電流プローブ構造

BGA電流プローブ構造

開発技術の成果

本手法をデジタルTV向けLSIパッケージの評価解析に適用し、電源、グランド端子数の半減とパッケージサイズの小型化を実現した。 また、本BGA電流プローブは、同時スイッチング電流の定量的測定や、干渉ノイズの分布測定によるクロックジッタ解析への適用などシステム動作解析にも用いることが可能で、これまでDVD/BDレコーダやデジタルTV、デジタルスチルカメラ等の設計開発に用い、安定化、小型化に貢献した。 また、本BGA電流プローブの販売も行っている。

受賞者コメント

塚原 法人

塚原 法人

この度は、名誉ある電気科学奨励賞を頂き、誠に光栄に存じます。
商品の競争力を裏で支える「縁の下の力持ち」的存在である「実装技術」の開発に永年地道に取り組み、今回、LSIパッケージの全端子に流れる電流を世界で初めて実測可能にした「BGA電流プローブ」を世に送り出すに至ったことは、ひとえに社内外の皆様の御支援、御指導の賜物であり、深く感謝申し上げます。
今回の受賞を大きな励みとして、今後とも社会に貢献する実装技術を核としたモノづくりを追求し、独創的な商品の開発に取り組んでまいります。

中山 武司

中山 武司

商品実動作時に適用可能なBGAパッケージの端子に流れる電流測定技術が評価され、このような名誉ある賞をいただき大変嬉しく思います。 商品の安定動作には、電源グランド電流の可視化が役に立つとの思いを多くの仲間に共感、ご協力いただき、地道な努力を重ねこの取組は実現できました。 心から感謝致します。
今後もこの受賞を励みに、お客様に喜んでいただける商品の開発と安定動作に取り組んでいきます。

反田 耕一

反田 耕一

2000年代初期から始まった部品内蔵基板SIMPACTの開発は、大勢の技術者に支えられ、度重なる改良を加えながら、「BGA電流プローブ」という形で実用化に至りました。 この度このような名誉ある賞を受賞することができ、大変嬉しく思うと同時に、ご支援頂いた皆様に深く感謝致します。 今後も新たな技術、デバイスの創出に向けて、より一層の努力と精進を重ねてまいりたいと思います。