平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞

2013年4月16日、平成25年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が決定し、パナソニックから5名が科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

同賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学省が表彰しています。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

受賞式写真

受賞式写真

『大容量片面多層記録型光ディスクの開発』

受賞者

大野 鋭二/R&D本部 デバイスソリューションセンター 参事
久田 和也/AVCネットワークス社 メディア事業部 主幹技師
児島 理恵/AVCネットワークス社 ストレージ事業推進室 主幹技師
林 一英/AVCネットワークス社 メディア事業部 チームリーダー
錦織 圭史/オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 企画センター 参事

開発の背景

BSデジタル放送の開始(2000年)、地上波デジタル放送の開始(2003年)によりTVや映像のハイビジョン化が急速に普及すると共に、フラッシュメモリやハードディスクの大容量化が進み、扱うデータサイズが飛躍的に増加し、記録型大容量光ディスクへの期待が高まりました。例えば4時間以上のハイビジョン映像を高品質・高解像度で録画保存するには50GBの記録型光ディスクが必要ですが、それを実現できる多層構造の記録型光ディスクは存在しませんでした。

開発技術の概要

本開発では、次の3つの独創的技術により世界で始めて大容量多層記録型光ディスクの実現に成功しました。
(1)ディスク上の微小光スポットを歪ませないためには、記録層間の中間層(平均厚さ25μm)をディスク全面で±1μm以下の高精度で形成する必要がありますが、これをUV硬化樹脂による新規なスピンコート中間層形成工法の開発で実現しました。
(2)ディスクが厚さ方向に非対称な構造のブルーレイディスクは湿度変化で反りやすいという課題がありましたが、これを新発想の吸湿制御膜の開発で解決しました。
(3)奥の層(L0層)は手前の層(L1層)を通して記録再生されるため、L0層の記録再生に影響を与えないL1層として、高透過率かつ記録・未記録に関らず透過率が一定な記録膜の設計に成功し、多層記録を実現しました。

開発技術の成果

本開発により、書換型の2層BD-REディスク、追記型の2層BD-Rディスクの商品化を世界に先駆け実現しました。これらのディスクは安価で、大容量を有し、ハイビジョン映像の長時間記録や編集、PCデータのアーカイブ記録に活用され、ブルーレイレコーダやPCドライブ市場の拡大に大きく貢献しました。本成果は、記録型光ディスクの多層化の基本技術を確立したもので、世界初の片面3層BD-REディスク(100GB)商品化も実現しています。

受賞者コメント

大野 鋭二

大野 鋭二

「ハイビジョン映像を長時間記録できる光ディスクが欲しい」、BSデジタル放送が始まった当時のお客様の声です。このご要望にお応えするためには従来にない大容量化が必須で、その手段として記録層を積層する多層光ディスクに着目し、結果として2層Blu-ray Disc™を始めとする商品を実現できました。お客様のご要望に技術で応えらえたことを大変嬉しく思います。そして、その成果でこのような名誉ある賞を受賞できましたことを大変光栄に思います。また、未熟な技術を商品にまで仕上げていただきました関係の皆様に心より感謝申し上げます。これからも新しいデバイス提案を通して社会に貢献していきたいと考えております。

久田 和也

久田 和也

入社して初めて携わった開発でこのような名誉ある賞を頂くことに対し、幸運に感じると共に大変光栄に思います。本技術の開発にあたり多大なご支援・ご努力を頂いたR&Dの皆様、そして量産化、事業化につなげて下さった事業部門の皆様に深く御礼申し上げます。
現在、R&Dから事業部門に異動し、業務用アーカイブシステムに用いられる光ディスクの開発を行なっております。今回の受賞を機に、本技術をさらに発展させ、より大きく事業貢献できるよう努力していきたいと改めて決意する次第です。

児島 理恵

児島 理恵

薄膜材料の開発技術と多層薄膜の設計技術を駆使して、高透過率を有するL1層の開発に成功し、多層記録型光ディスクの実現につなぐことができました。
本技術が評価され、この度このような名誉ある賞を受賞させていただき、大変光栄に存じます。また、ご支援いただきました関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
入社以来、光ディスクの薄膜材料の開発一筋で仕事をさせていただいたこと、大変幸せに思います。今後も本技術やこれまでの経験を活かして、お客様に満足いただける新規商品の開発に取り組み、事業化に貢献していく所存です。

林 一英

林 一英

この度はこのような栄誉ある賞を頂くことができ、大変光栄に思います。当時、多層の記録型光ディスクはコンセプトがあったものの、その実現を確実とする工法がなかったため、高精度な機械性能を実現するディスク工法の開発には非常に苦労をしました。中でも、様々なトレードオフを解決できる基本工法に気づいた瞬間はいまだに記憶に鮮明に残っています。また、ドライブ開発メンバーや社外の方々との徹底議論の中で自らの技術をレベルアップできたと考えております。関係の皆様には心より深く感謝申し上げます。今後もお客様の視点に立って本技術をさらに進化させて、お客様に喜んで頂ける商品開発に取り組んで参りたいと思います。

錦織 圭史

錦織 圭史

本受賞は、Blu-ray Disc™(BD)が技術的に評価された結果だと、大変嬉しく思っています。BDは記録容量を意識せずに使用できるようにDVDの5倍以上の容量を目指したため、膜厚精度や環境に対する反り変化、欠陥の影響などの課題が多く、ディスク開発や量産歩留まりを上げるのに大変苦労しました。
新たな評価技術開発やドライブとの摺合せなど、社内外問わず多くのメディア・システム・メカ技術が結集したことより、その苦労も乗り越えることができました。今回このような栄誉ある賞を受賞できたことを大変光栄に思うと共に、関係者の皆様に深く感謝申し上げます。