平成26年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞

2014年4月15日、平成26年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者が決定し、パナソニックから2名が科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

同賞は、科学技術に関する研究開発、理解増進等において顕著な成果を収めた者について、その功績を讃えることにより、科学技術に携わる者の意欲の向上を図り、もって日本の科学技術水準の向上に寄与することを目的とし、文部科学省が表彰しています。

今回の当社の受賞者と業績は以下のとおりです。

受賞式写真

受賞式写真

『柔軟性を有する結晶性グラファイトシートの開発』

受賞者

西木 直巳/モノづくり本部 生産技術開発センター 生産技術研究所 チームリーダー
久保 和彦/オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 回路部品事業部 チームリーダー

開発の背景

電子機器の高機能・高性能化、高集積化が進むに伴い、機器内部の電子部品から発生する熱が大きな課題になってきました。特にスマートフォン、タブレット等の小型モバイル機器では、軽くて薄く、高い熱伝導性を有する放熱部材が求められていました。そこで、当社は、重さが銅の1/4、熱伝導率が3倍以上のグラファイトに着目しました。

開発技術の概要

特定の高分子フィルムが熱処理条件により溶けたり・縮んだり・燃えたりすることなく結晶性のグラファイトシートになることを見出し、また、結晶性を保ったまま柔軟性を付与する工法を開発し、小型モバイル機器向けの熱対策部材として実用化に成功しました。
本技術の特徴は、

(1)高分子グラファイト化技術
特定の高分子フィルムを3,000度で熱処理し、炭素原子だけを残して再結晶化させることで、世界で始めてB5サイズ以上の大面積を有するグラファイトシートの作製に成功し、理論熱伝導率である1,500W/mKを達成しました。

(2)炭素の結晶配向性を保ったまま柔軟化する新工法
再結晶化時点では固く脆いグラファイトシートを圧延する工法を開発し、炭素原子の結晶配向性を保ったまま、折り鶴が折れるほどの柔軟性を与えることに成功しました。

(3)有機フィルムを用いたラミネート構造形成方法
グラファイトシートの柔軟性・熱伝導性を維持したまま、補強・絶縁を施し、電子機器内で自由に貼付けることが可能なラミネート構造の形成方法を開発しました。

開発技術の成果

本開発により、空間的制約の厳しい機器内での使用に適し、高い熱伝導性により局所的に発生した熱を効果的に拡散することができる熱対策部材の実用化に成功しました。
本成果は、スマートフォン、タブレット端末をはじめとする小型モバイル機器の熱対策部材として広く使用され、機器の高性能化、軽量化、薄型化に寄与しています。

スマートフォンでの熱対策効果

スマートフォンでの熱対策効果

受賞者コメント

西木 直巳

西木 直巳

栄誉ある賞をいただき、ご関係の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます。開発から二十数年、多くの方々に支えていただき、続けることができました。何度も、開発中断になりかけながら、ご関係者や用途に恵まれました。その出会うタイミングがずれていれば、生き残れなかったと思います。グラファイトシートは運の良い製品です。私は、今も、グラファイト材料の開発を担当しています。次の製品にチャレンジを続けます。

久保 和彦

久保 和彦

柔軟性を有する結晶性グラファイトシートの開発に対し、このような栄誉ある賞を受賞できましたことを大変光栄に思います。これまでに本開発でご指導やご協力頂いた会社、OB、上司、また、開発を支援いただいた関係団体に心から感謝申し上げます。グラファイトシートは、スマートフォンに代表される熱ソリューション商品であります。今後、お客様のニーズが多様化する中で、さらにベストなソリューション提案と商品開発を行い、社会に貢献していきたいと考えております。