第62回大河内賞 大河内記念生産賞

第62回(平成27年度)大河内賞・大河内記念生産賞が決定し、パナソニック株式会社の『高周波数に対応した低伝送損失、高耐熱、高多層回路基板材料の開発』が受賞し、贈賞式が2016年3月25日、日本工業倶楽部会館(東京・丸の内)で開催されました。

大河内賞は、公益財団法人 大河内記念会が毎年、わが国の生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施等に関する顕著な功績を表彰するもので、日本で最も権威ある賞のひとつです。

今回の当社の業績は以下の通りです。

『高周波数に対応した低伝送損失、高耐熱、高多層回路基板材料の開発』

開発の背景

2000年以降、ブロードバンド回線の普及とインターネットに接続される端末の爆発的増加により、データトラフィック量が激増しました。これに伴いデータセンターでは設置するサーバ数が増加、設置スペースの確保や消費電力増大が新たな課題となり、大容量のデータを高速に処理、伝送が可能な大型サーバの要望が高まり、その実現には高速伝送に対応し高多層化が可能な電子回路基板が不可欠でした。電子回路基板を形成する樹脂材料には次の2点の主要特性を兼ね備えていることが要求されました。
(1)データ伝送速度の高速化に対応できる低誘電正接、低誘電率
(2)配線数の増加や高多層化に対応可能な多層成型性、高ガラス転移温度、低熱膨張率
従来材料では、誘電特性と多層化、基板サイズの大型化を同時に満足することができませんでした。

開発技術の概要

当社では、高速伝送に対応し高多層化が可能な電子回路基板の材料を次の要素技術により新規に開発しました。

  1. 樹脂設計技術
    誘電特性の優れたポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂を変性し、さらにこの変性PPE樹脂と低分子量の多官能架橋剤をアロイ化する技術により低誘電特性と多層成型性、高耐熱性を高次元で兼ね備えることに成功
  2. 銅箔と樹脂の界面制御技術
    抵抗損失を抑える平滑化銅箔は密着性の低下から実用化困難であったが、界面の表面化学処理の最適化により密着性を改善し、業界で初めてH-VLP(High performance Very Low Profile)箔を実用化
  3. 反り制御技術
    樹脂とガラス基材を複合化する製造工程において、新たな評価・制御手法の開発・導入により、極めて反りの少ない形状安定性を持った製品を歩留まり良く製造することに成功

開発技術の成果

本技術により、従来材料と比較して伝送損失は50%以上低減でき、また、鉛フリーはんだに対応する高耐熱性を有することにより、60層を超える高多層の電子回路基板の作製が可能となりました。本技術を用いた電子回路基板は、爆発的に増大したインターネットのデータを高速に処理する大型超高速サーバの実用化を可能とし、多くのデータセンターで直面していた設置スペースの確保や消費電力増大の課題を解決し、環境負荷低減にも大きく貢献しました。さらにスーパーコンピュータの性能向上にも貢献し、医療やエネルギー等の幅広い分野の発展にも貢献が期待されます。

高多層基板材料 MEGTRON(メグトロン)シリーズ (2016年3月 パナソニック)