パナソニック電工技報

【3月号】MARCH 2009 Vol.57 No.1の概要

特集:住宅設備・建材技術

特集:「住宅設備・建材技術」によせて

住建総合技術センター  センター長 山田 昌司

特集論文

建材組込用の薄型高効率LEDライン照明ユニット

田中 秀基,川田 宗一郎,田中 敏裕,大野 達司,小泉 秀樹

間接照明用途の建材組込式照明ユニットの開発において,LEDエッジライト方式を採用し,導光構造設計によって薄型形状(ユニット厚15mm以下)を確保しながら,導光部へのレンズ機能付与,導光パターン幅寸法の細小化,導光パターン反射特性の指向性制御を行い,LED2個のみの使用で効率良く照射面へ集光することによって,光学性能(明るさ感,均一性)を向上させ,ユニット近傍の照射面において平均照度253lx,照度相対平均偏差0.11を実現した。
共通モジュール設計を行った当該ユニットを各種建材製品に組み込むことで,現場での造作工事を伴うことなく,非点灯時は照明器具の存在を感じさせないすっきりとした空間を形成するとともに,点灯時は空間の明るさ感を向上できる。

建材組込照明の光演出空間特性評価法

柴野 伸之,星野 洋,天沼 はるか

光演出空間特性の評価において,ラジオシティ手法を計算手法の基盤として境界条件に照明器具配光特性データ,素材表面の反射率データ,および部屋形状データを設定することによって,実物空間試作の代用となる定量的評価が可能で,しかも精度の良い光環境シミュレーション技術を開発した。
また実物大の部屋形状における照度について,実測値とシミュレーション値とを比較した結果,誤差が10%以下の精度であることが確認できた。さらにVR技術と融合することで,実際の部屋空間にいるような感覚を伴って光環境を検討することが可能となり,実物の空間試作にかかるコストや時間を削減できると考えられる。

6面PTCヒータ式「掘座卓」の加熱制御法

木村 猛,遠田 正和,立田 美佳,上田 滋之,大岸 昌弘

電気式掘りこたつにおいて,PTCヒータを使用して天面,側面,底面の6面を個別に加熱制御するとともに,三つの生活シーンを想定した自動運転方式の開発によって,省エネルギーと快適感の持続を実現した。この評価においては,人が掘りこたつで快適に感じる温熱要素を抽出し,モニタによる主観評価と生理量(皮膚表面温度)の計測からその相関関係を見いだした。その結果,人は足全体が均一に暖まると快適さを感じ,それには同じ投入電力であっても側面加熱でふくらはぎを強く温めることが有効であることがわかった。

キッチン・バス用排水口の防汚と清掃性の向上

佐古 利治,磯部 智明,野間 真二郎,伊藤 良泰,立田 美佳

キッチンおよびバスの排水口において,傾斜配向性を有するフッ素系の撥水撥油樹脂による表面処理を施すことで汚れが付きにくく,かつ凹み中心を偏心させた形状とすることでごみを集中させて簡単に除去できるものとすることによって,清掃性の大幅な向上を実現した。
またこれらの開発においては,汚れの再現方法,色差計を用いた官能値の定量化,簡易除去性の評価法など,新たな評価技術を確立した。

FRP亜臨界水分解プロセスのパイロット実証

真継 伸,宮崎 敏博,矢野 宏

亜臨界水分解による廃棄FRP浴槽のリサイクルの実用化を目指し,バッチ式の固液反応系において処理時間の短縮と配管の閉塞などに対して安定した運転を実現するプロセス技術を開発することによって,製造工程廃材を用いたパイロット実証設備(400kg/回,浴槽約20個相当)を導入してパイロットスケールで分解性能を実証した。
FRPの分解プロセスでは粉体,スラリー(固体粒子の混入した液体),固形分と多様な物質を扱うが,高温高圧状態で排出して外部で分解液を冷却する高温高圧排出技術の開発により,分解液の冷却・排出時間の短縮と固着や閉塞などに対する安定性と安全性の向上を実現し,実用規模の安定した処理能力を達成した。これまでのラボスケールやベンチスケールとほぼ同等の反応率が得られるとともに,全体の81%をFRP原料として回収できた。

環境配慮型のケナフボード複合建材

梅岡 一哲,内藤 茂樹,安藤 秀行,鈴木 伸一,大野 宗一郎

ケナフボードを活用した環境配慮型建材の開発において,含水率変化に伴う寸法変化が小さいという特性に注目し,ドアパネルの表面材として使用することによって,ドアで間仕切りされた二つの空間に温度差または湿度差がある場合でも反りの発生を大幅に低減した。また,木ねじ保持力が大きい物性に着目し,一般的なエコロジー基材であるパーティクルボード(PB)やMDFと組み合わせることで,複合建材の木ねじ保持力の向上を実現した。さらに,曲げ剛性の高さを活かしてPBと組み合わせることで,南洋合板と同等以上のヤング率と曲げ強度を有する合板代替基材を開発した。

塗布形成法による積層型有機薄膜太陽電池

阪井 淳,河野 謙司

有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率向上のため,塗布形成法による積層型有機薄膜太陽電池の開発において,ITO(インジウムすず酸化物)薄膜を中間層として挿入することによって,下部太陽電池の損傷を防止し,世界で初めて動作させることに成功した。
この積層型有機薄膜太陽電池は,開放端電圧(VOC)が単層太陽電池の1.6倍に当る1.34V,エネルギー変換効率が1.3倍に当る3.1%の値が得られており,ITO中間層を挟んで上下のセルが直列に接続していることが確認され,高い開放端電圧と変換効率を有している。

化粧木質床材の自動外観検査法

本田 達也,三高 良介

木質床材製造工程の外観検査において,その欠陥を木目欠陥,単板破損欠陥(表面つや異常),表面の凹凸欠陥の三つに大別し,次の自動検査方法を開発した。まず木目欠陥については,目視による欠陥レベルと検査画像における欠陥輝度の関係を明らかにし,これらの関係を用いて欠陥を画像処理パラメータとして定量化することによって,また単板破損欠陥と凹凸欠陥については,これらの物理的特徴を強調して撮像する光学系と欠陥検出アルゴリズムを開発することによって,自動検査を実現した。
これらの開発技術を用いてスライス工程とプレス工程における自動検査機を開発し,これまでの課題であった品質の安定化と生産性の向上を実現した。

力制御による高密度積載機能をもつ長尺品積載ロボット

明渡 甲志,中嶋 久人,北野 斉,谷口 稔,堤 俊成,橋内 賢二

梱包品をパレット上に積載するパレタイズ工程において,力制御による高密度積載機能の開発によって,双腕ロボットを使用した積載装置を実現した。この装置における制御法の特徴は,梱包品を隙間なく積載させるための力制御,先の梱包品積載座標を基準に次の梱包品の積載目標位置を順次求める計算プログラム,および梱包品の寸法と積載スペースを比較して積載の可否を判断するアルゴリズムを有することの三つである。
この制御法によれば,梱包品やパレット寸法のばらつき等の変動要因に対しても柔軟に対応でき,さらには煩雑なティーチング作業も軽減できる。また,ロットごとに長尺梱包品のサイズが異なる場合でも,所定サイズのパレット上に効率的な配置で,きずを付けない積載が可能となる。

2層押出成形雨樋のインライン樹脂厚み計測システム

杉本 憲昭,前川 正己

2層押出成形雨樋の樹脂厚み計測において,超音波パルス反射法によるインライン非破壊計測システムを開発した。
本システムの特徴は,押出成形条件の経時変動により雨樋樹脂表面にわずかな反りが発生した場合でも,エコー波形の特徴から反り方向を判定して演算することによって,安定した樹脂厚みの計測ができる点にある。
本システムの開発により,リアルタイムな雨樋樹脂厚みの計測が可能となり,製造工程においてより確実な製品品質管理が実現できる。