パナソニック電工技報

【12月号】DECEMBER 2010 Vol.58 No.4の概要

特集:制御機器・デバイス技術

特集:「制御機器・デバイス技術」によせて

制御技術応用研究所  所長 鈴木 裕二

特集論文

高精度・高信頼性の2軸加速度センサ

岸本 慎一 ,古久保 英一 ,荻原 淳 ,杉山 貴則 ,戸根 薫

2軸加速度センサにおいて,他軸キャンセルビームによって検知方向以外の加速度によるノイズ(他軸感度)を低減するとともに,シリコンチップの対称構造による応力緩和,差動容量方式の採用,および電極パターン形状の最適化により温度特性変化を抑制し,他軸感度が±1%以下,温度特性が-40~85℃の範囲において±20mV以下の高精度・高信頼性を実現した。
また,めっき配線でシリコン電極からガラス表面に電極を引き出し,ガラス表面にボンディングパッドを設ける安定した配線加工によりガラス貫通孔面積を約65%削減し,従来の1軸加速度センサのチップサイズに比べても約90%に小型化している。

EV・HEV用の小型軽量DCパワーリレー

榎本 英樹 ,山本 律 ,伊東 督裕 ,上岡 克嘉

電気自動車・大型ハイブリッド車用の高出力モータや大容量バッテリーに対応する直流高電圧制御が可能なDCパワーリレーにおいて,接圧ばねのばね定数を大きくするとともに接点押込量を小さくして電磁石の吸引力とばね負荷の整合を保ったまま接点荷重を増加させるとともに,接点材料を固有抵抗値が小さく硬度の低い銅系材料にすることで,接触抵抗を32%まで低減してDC400Vで120Aの通電性能を実現した。このリレーは当社従来品の構成をベースとしたものに対し,体積では30%,質量では35%小型・軽量化を達成している。

高放熱・高反射のアルミナ表層窒化アルミニウムMID

木下 直輝 ,佐藤 正博 ,小林 充 ,立田 淳 ,武藤 正英

放熱性に優れた3次元形状の基板を得るため,射出成形した窒化アルミニウムの表面にアルミナ層を形成することで,レーザ加工による回路パターン形成時に,その熱による窒素脱離に伴うアルミニウムの析出を防止できるMIDを開発した。また,このアルミナ層の構造をアンカ状にして厚膜化することによって,高い回路密着力の維持と反射率の向上を実現している。
これらにより,高輝度LED用パッケージなどに適した高放熱MIDが可能となった。

コイル形状による非接触型ポジションセンサの直線性向上

丹羽 正久 ,西田 結希子 ,岡田 邦孝 ,太田 智浩

コイルを用いた非接触ポジションセンサにおいて,直動型では検出コイル端部での追加巻線により測定範囲端部の直線性を向上させ,回転型では基板に形成したパターンコイルの内側ループをストロークの途中で折り返すことにより測定範囲中央部の直線性を向上させた。
これにより,巻線部長30mmの直動型では21mmから26.5mmに,開き角度90の扇形コイルの回転型では25から60に直線性が良好な検出範囲を拡大できる。

超小型・高信頼性の同軸スイッチ

荒谷 達生 ,角屋 賢二 ,大西 貴司 ,小林 輝之 ,矢形 かおり

メカニカル高周波リレーである同軸スイッチにおいて,アーマチュア-コイル並列横配置構造を採用することで,低背化と従来品比24%となる超小型化を達成した。また,アーマチュアの磁極面駆動量の確保と高周波信号伝送部におけるインピーダンスのミスマッチングを最小限に抑えることによって,26.5GHzに至る優れた高周波特性を実現した。
さらに,低摩擦で再現性の高い動作が可能なシーソー型可動接点保持ばね機構を採用することで,高周波特性の高信頼性を実現している。

カラー/モノクロームカメラ併用可能なFA用画像処理装置

服部 真之 ,大友 浩昭 ,椎名 浩司

製造分野での外観検査において,従来のモノクロームカメラに加えてカラーカメラも同時に接続し,カラー画像の特定色に着目した抽出画像や,各色成分に重みづけを行って変換したグレースケール画像を用いることで,モノクロームカメラで得られるグレースケール画像では困難であった対象でも検査が可能なFA用画像処理装置を開発した。
この装置ではすべての画像を8Bitに変換するため,従来の検査エンジンが利用でき,また撮像したカラー画像の保存でもメモリーコストを抑えることができる。

3次元外観検査装置の高精度・多機能化

野坂 健一郎 ,中原 智治

3次元外観検査装置において,3次元寸法測定アルゴリズム,凹凸欠陥検出法,および凹凸テクスチャ評価法を開発することによって,高精度な検査とともに多機能化を実現した。寸法測定では,3次元形状データ鳥瞰図の表示画面上で測定内容を指定する操作インタフェイスを開発し,簡単操作を実現している。凹凸欠陥検出法では,物体本来の形状を推定することにより,面が滑らかに変形している不良も検出できる。凹凸テクスチャ評価法では,凹凸の幅,高さ,および間隔を粗さの指標として用いることにより,人間の感覚に合った評価が可能である。

自動ルーティング機能を有する無線式電力・環境データ集計システム

木下 雅章 ,麦生田 徹 ,川上 靖洋 ,安田 英司

無線式のデータ集計システムにおいて,自動ルーティングが可能な無線プロトコルを採用することにより,有線と無線の通信をシームレスに行えるとともに,従来必要であったルーティングや子機登録等の設定を不要とした。また,電波障害があっても通信チャネルを変えて自動的にネットワークを再構築する機能により,通信信頼性も向上している。さらに,無線部を小型化して電力計と一体とすることで75×90×50mmの外形に収め,設置性とともに経済性も向上させている。

エネルギー監視用のオールインワン型データ収集機器

中田 博志 ,田口 敦士 ,竹本 圭吾 ,伊東 弘晋 ,藤井 慎也 ,青山 幹也

エネルギー監視システムにおいて,従来品「Web Datalogger Unit」と同等の90×50×60mmの筐体に電源と通信機能を合わせて内蔵した小型データ収集・蓄積機器「Data Logger Light」を開発した。この小型化に際し,ノイズに対しては基板や部品のレイアウト変更を行うことでシールド部品を追加することなくシールド効果を実現し,また発熱に対しては各部品の発熱量を勘案して配置するとともに筐体スリットと基板の位置を考慮することにより効率的な排熱を実現している。
さらに,専用の設定ツールの開発によって設定の簡易化を図り,FA機器に不慣れなユーザに対してもエネルギー監視システムの構築を容易にしている。

高ピークパワー・小集光スポットのファイバレーザマーカ

丸嶋 一夫 ,名畑 太

ファイバレーザを使用するレーザマーカにおいて,メインアンプを分離してヘッド部に搭載することにより非線形光学効果の誘導ラマン散乱および誘導ブリルアン散乱の影響を減少させ,従来の2倍となる高ピークパワー化と90%となる小集光スポット化によって発色性の高いマーキングや小さい文字のマーキングを実現するとともに,変換効率48%アップによる省エネルギーも実現した。また,励起用半導体レーザの戻り光による損傷も低減でき,信頼性も向上している。
さらに,この高ピークパワー・小集光スポット化の技術は微細溶接加工分野への応用が期待できる。

L形導光板によるプログラマブル表示器の高輝度・大画面化

大隅 サチ ,上松 栄一 ,福岡 成

プログラマブル表示器において,本体基板とLED基板の一体化により部品を削減するとともに,トップビューLEDとL形断面の導光板の組合せにより発光面の最大化を図り,従来品と同等サイズでありながら表示部を20%拡大した。さらに,導光板のコーナ部には曲面形状の反射部に加えて反射カバーを,反射面にはプリズム形状を,拡散シートの上には2枚のプリズムシート等を設けることによって,従来品比で輝度を約4倍に向上するとともに,輝度むらも30%から15%に改善している。