PGS®グラファイトシート

貼るだけで簡単に電子機器の熱を逃がす

デスクトップ型コンピュータなどにファン(扇風機)がついているように、電子機器、特にCPUは自らの動作により発した熱で性能が低下します。スマートフォンやタブレット端末などの小型モバイル機器の場合、狭い場所に多くの部品が詰め込まれているので、熱の問題はいっそう深刻で、内部のCPUなどが発した熱を逃がしきれなくなってしまったことが原因で、液晶画面の色が変わってしまうこともあります。そんな熱の課題を解決するのが、パナソニックが開発したPGS®グラファイトシートです。

高分子フィルムを高温でグラファイト化

グラファイトとは自然または人工の炭素だけで構成される元素鉱物で、黒鉛とも呼ばれます。結晶性のグラファイトは高い熱伝導率を示しますが、モバイル機器の中のような高密度の実装に耐えるためには、徹底的な薄さと柔軟さを追及する必要がありました。

パナソニックは特定の高分子(ポリイミドなど)フィルムを不活性ガスの中で超高温加熱し、バラバラになった物質(前駆体)をさらに高温加熱(焼成)することで炭素構造の組み替えを起こし、結晶を成長させる工法を確立しました。摂氏3000度の高温で炭素原子を整列させるため、温度調整などに非常に高度な技術を要する工法ですが、パナソニックではすでに1990年代にこの技術を確立していました。

高分子フィルムを原料としたグラファイトシートの生成工程

効率的に熱を逃がし、電波を遮る

PGS®グラファイトシートは、炭素原子が整然と配列されたダイヤモンドにはほんの少し劣るものの、金属の中で高い熱伝導率を持つ銅の2倍から5倍の高い熱伝導率を示します。

PGS®グラファイトシート熱伝導率表

層状の結晶構造を持つため、層の方向(面を伝わる方向)には高い熱伝導を示す反面、層の厚さの方向(層の上下に伝わる方向)には約100分の1程度の低い伝導率となり、熱を特定の方向に流したい場合に大変役に立ちます。また、熱伝導率に加えて遮蔽性(電磁波シールド機能)もあり、放熱と同時に電磁波の問題を軽減することも可能です。

折鶴も折れる柔軟性と軽量・薄膜

PGS®グラファイトシートは、厚みが10~100μmと薄く生成することができます。その薄さは、10μmのシートを76枚重ねてようやく標準的なクレジットカードの厚み(0.76mm)に達するほどです。比重も1~2g/cm3と水よりも僅かに高い程度で、銅の比重8.82g/cm3と比べると非常に軽くなっています。

薄くて軽くても、曲げに対して脆いと加工が難しくなりますが、PGS®グラファイトシートは非常に柔軟性に優れており、正方形のシートで折鶴を作ることもできます。また、折り曲げて延ばすことを繰り返す耐屈曲性試験では3万回の屈曲に耐えるしなやかさを持っています。

携帯電話への応用例(対策前後の熱分布)

薄く、軽く、自由に折り曲げられ、しかも特定の方向に高い熱伝導率を示し、電磁波を遮蔽するという性質から、スマートフォンや携帯電話、デジタルカメラ、パソコン、半導体製造装置など幅広い製品や装置に採用され、見えないところの熱を効率的に逃がしているのです。

さらに、PGS®グラファイトシートは炭素でできているため、環境への負荷が極めて低く(RoHS指令対応)、地球に優しい素材となっています。

最新情報

パナソニックのPGS®グラファイトシートは進化を続けています。スマートフォンやタブレットなどのICT分野での取組み強化に加え、車載分野、産業分野での熱対策へ新たな用途展開を図ってまいります。

貼るだけで熱対策!パナソニックのPGS®グラファイトシート