ミリ波レーダー

より広く、より細かく、交差点の安全を見張る技術

交差点内の事故を防ぐための監視システムへの活用が期待されているのが、電波を使って車両や歩行者を検知するレーダー技術です。パナソニックは、ミリ波と呼ばれる高い周波数の電波を使った高精度で高視野角のレーダー技術を開発しました。これにより、40m先にいる20cm以上離れた歩行者や自転車などを、0.1秒という速さで見つけ出すことができます。この技術を79GHz帯のミリ波レーダーに用いることで、交差点内の事故を未然に防ぐ検知センサーなど、交通安全支援システムの進化と普及促進が期待されます。

ミリ波レーダーユニットの試作装置(視野角120度)

悪天候時でも接近している車と人を瞬時に検知

79GHzミリ波レーダーとは、発せられた電波の反射波を測定し、物体の位置と速度を検知するセンサーのことで、高分解能のレーダーとして規格化されています(ARIB標準規格 T111)。

ミリ波レーダーは障害物を検知する他の方法(光学系のレーザーレーダーやカメラなど)に比べて、雨、霧、逆光などの影響を受けにくいことから、視界の効かない夜間や悪天候時に強いという特徴があり、歩行者や自動車を検知するための手段として注目されています。
パナソニックのレーダー技術は、独自のデジタル符号化技術を適用することで、40m離れた地点にいる歩行者や自動車、自転車などを20cmの距離分解能をもって、0.1秒以下で検知することを可能としました。

また、複数のミリ波レーダー間の干渉を制御することで、同時動作を可能とし、広い角度範囲で検知ができるようになりました。この結果、交差点などへの設置の自由度が飛躍的に向上しました。

相補符号を用いた符号化パルス変調技術と多次元電子走査技術

金属製で電波を強く反射する自動車に比べて、電波の反射の弱い歩行者を高感度で検知するには、自動車による反射ノイズの影響を抑える必要があります。無線LANなどでも活用されているデジタル符号の一種である相補符号は、強い反射波によるノイズレベル上昇の要因となるレンジサイドローブ(ターゲット位置の前後の距離方向に生じる偽像)を、原理的にゼロにできるという特徴があります。このような相補符号を用いた符号化パルス変調技術を、1GHz超の広帯域を使用できる79GHzレーダーへ適用しました。

これにより、40m先の歩行者検知に必要となる高感度化と自動車からの反射ノイズを-40dB以下とする高ダイナミックレンジな反射強度の測定技術に加え、従来比で2.5倍の性能に当たる距離の分解能20cmを実現しました。さらに、波の発生源が近づいてくる時の波長は短くなり、遠ざかる時は長くなる「ドップラー効果」を利用して、速度についても時速1km以下の精度で検知できるようになりました。

これらの高感度な反射強度の測定技術に加えて、電子ビーム走査による新たなレーダー信号処理方法も開発。距離や角度、速度をそれぞれ独立、かつ、高い分解能で測定することが可能になり、自動車のすぐ近くの歩行者や自転車を、安定して検知することができるようになりました。

本開発技術による適用イメージ比較

高い分解能と広い視野角を同時に実現する直交化相補符号変調技術

同じ周波数帯を用いるレーダーが複数台同時に動作すると、互いに干渉してしまい、レーダーの検知性能が低下します。第3世代(3G)携帯電話などで利用されている直交符号化技術をそれぞれのレーダーの相補符号に適用することで、複数のレーダーで利用した時の相互干渉を40dB以上抑圧することに成功しました。

これまでは交差点の全面監視が可能な検知エリアを持つレーダーシステムは実現されていませんでしたが、複数のミリ波レーダーの検知角度範囲をずらして設置することで120度以上の広い視野角を高精度で検知するレーダーシステムを実現することができました。

ミリ波レーダーの高精度・広視野角化

今後の展開

パナソニックは主管庁などと共同でミリ波レーダーを活用した交通安全支援システムを具現化し、交通事故の起きにくい社会の実現に貢献していきます。