第6回:シリーズ『AI画像認識』(1/3)

「画像認識」の頭脳はこうして作る~DIY指向のAIプラットフォームがもたらす効果~

これまでの連載を通じて、製造現場の効率化という観点から、AI(人工知能)画像認識とどのように向き合っていくべきかについて考察しました。本シリーズの最終回となる今回は、これまで述べてきた内容を踏まえながら、パナソニック ソリューションテクノロジーが提供しているAIプラットフォームと、それを活用したAI画像認識のソリューションが、お客様の課題解決にどう役立つかについて紹介します。

AI画像認識の3ステップをすべて外部に任せることのリスク

本連載の前回、AI画像認識の導入・活用に際しては、「画像認識の可否評価」「システム化の条件評価」「システム化による効果の評価」という3つのステップを踏む必要があると説明しました。また、これらのステップの遂行(特に、画像認識に関わる作業)をすべて外部のベンダーに“丸投げ”するのではなく、ユーザー企業が大きく関与することが必要になるとも述べました。

なぜそうすることが必要かを改めて言えば、それは、AI画像認識では、作成した頭脳を使って対象物を認識させた結果を受けて、画像の追加や、学習方法の修正といった改善のフィードバックループを高速回転させていくことが大切だからです。もう少し具体的に言えば、画像認識ができなかったり(未検知)、誤って検知する(誤検知)条件があるなら、該当の画像を元にして追加で学習させることで、期待する認識ができる頭脳になるように育てていきます。学校のテストで間違った問題を、家に帰ってから復習することで、次のテストで良い点が取れるようになるのと同じです。
このプロセスをすべて外部のベンダーに任せてしまうと、このフィードバックループをスピーディーに回すことが難しくなり、最悪の場合、期待した効果が得られないまま取り組みがとん挫したり、システム改修のたびに多額のコストが発生したりすることになりかねません。

さらに言うなら、画像認識など、AIを使いこなすためのノウハウを蓄積することが、今後、現場が市場で生き残っていくためのスキルとなっていきます。 これまで、現場の競争力は、熟練者(ヒト)に蓄積されていたのではないでしょうか。AIが導入されると、ヒトに蓄積されていたスキルが、徐々にAIに移行されることになります。
しかし、これまで述べてきたとおり、AIは魔法でも何でもなく、「適切な学習をさせることにより初めて期待どおりに動作する一方で、一度動き出すと、文句を言うこともなく、ひたすら働き続ける」そんな特徴を持った機械なのです。
AIのシステムさえ導入すれば、ある一定の基準までは、お金で現場のスキルが買えてしまうのですが、さらに強い現場にするには、「現場でAIを育てる」ことが重要になってきます。まさにこれが、「画像認識を行うための頭脳づくり」に関わる一連のプロセスを現場で遂行することをお勧めする理由なのです(図1)。

図1:画像認識を行うための頭脳づくり

図1:画像認識を行うための頭脳づくり

前回も触れたとおり、AI画像認識の導入・活用においては、「DIY(Do It Yourself)」の考え方がとても大切なのです。

「内製化」ではなく「DIY方式」を選択することのメリット

AI画像認識を「DIY」で行うポイントは、必要な材料をそろえたうえで、自分たちで実作業を行うことです。ちょうど、ホームセンターなどから必要な材料や必要な工具を調達し、最終的な組み立てだけを自分たちで行うのに似ています。

システムの自社開発というと、システムの内製化をイメージすると思います。ただAIについては、AIエンジンそのものの開発から内製化することは現実的ではありません。そこでポイントになるのが、AIエンジンやツールの利活用です。

繰り返すようですが、ここで注意していただきたいのは、AIエンジンやツールを導入・活用するにしても、データ(画像)の集め方や学習のさせ方、システム設計などをそっくり外部のベンダーに依頼してはいけないということです。

これは、DIYで言えば、最終的な組み立てまでをベンダーに任せてしまうのと同じです。少なくとも「他社よりも良い製品やサービスの提供」を目指すのであれば、目的のために、どのように部品を組み立てるかを自分で工夫してこそのDIYです。せっかく自社に合う材料や工具をそろえたのに、ベンダーが他社と同じサイズで材料を加工して、市販品と変わらないものを作成してしまったのでは意味がありません。

もちろん、画像認識の方法など、ベンダーが蓄積したノウハウを活用することで作業が大幅に効率化できる部分も多くあります。大切なのは、ベンダーに相談し、システム化の全体構成や導入プロセスなども含めて的確なアドバイスをもらいながらAI導入を進めることです。つまり、あくまでもユーザー側が主導権を握り、自社にはない知見やノウハウだけをベンダーから取り込みつつ、プロジェクトを進めるのが、DIYらしいアプローチだと言えます。

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