第25回:シリーズ『ビジュアルな作業ナビゲーション活用術』(2/2)

生産現場を悩ます5つの課題
では、組立製造の生産ラインにフォーカスを絞ったとき、テクノロジーによって改善を図るべき(あるいは、改善しうる)課題とは、具体的にどの辺りになるのでしょうか──。以下では、そのポイントを明確にするために、生産現場でよく見受けられる課題をまとめていきます。その課題は、下記の5点に集約できます。
(1)作業スピード・品質が低下傾向にある:
一定の技能を持ったベテラン作業者の絶対数が不足し、作業スピード・品質の維持や向上が困難になっている。
(2)スキルの継承、世代交代が進まない:
ベテランの作業者がそれぞれの作業に追われ、若手へのスキル継承が思うように進められず、結果として、世代交代がなかなか進展しない。
(3)作業手順の変化に現場が即応できない:
現場での作業手順の変化に作業者のスキルやスキルアップのトレーニングが追いついていかない。
(4)作業スピード・品質のバラツキがなかなか解消できない:
「標準作業」を定め、徹底することができていないために作業のバラツキが発生している。また、改善の基準とする「標準作業」がないと、作業のムダ、ムラ、ムリを見つけたり、正常と異常を区別するなどの判断ができず、どこに問題の原因があるのかが即座に把握できず、有効な解決策を迅速に打つことができない。
(5)作業手順の標準化が徹底されておらず、作業上のミスや遅延がなかなか低減できない。
以上に示した5つの課題は、ほとんどが“ヒト系”の問題で、デジタルテクノロジーによる解決は難しいように思えるかもしれません。ただし、一概にそうとは限りません。上述したような課題を一挙に解決しうるソリューションとして、「標準作業ナビ」があります。
パナソニックの選択
標準作業ナビは、デジタル映像を手順書として使い、生産現場における組立作業の標準化と作業時間/作業品質の均一化、そして見える化を実現するシステムです※2。その導入・活用によって、以下の4点が実現されます(図3)。
(1)作業動画の記録を手順書化:
ベテラン作業者(熟練者)の目線で作業動画を記録し、リアルな映像で効率的に手順書を作成。
(2)映像と音声による作業指示:
映像と音声を使った標準作業のナビゲーションで、作業ミス防止と早期習熟を支援。
(3)さまざまな機器と連携可能:
音声認識デバイスや電動ドライバーなど、作業現場や運用にフィットした機器と連動した作業ナビゲーションが可能。
(4)現場作業の継続的な改善:
動作記録を保存することで、現場の作業実績を電子化。作業者各人の作業効率の確認や、作業工程のボトルネックの把握、さらには、MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)へデータを取り込んで、工場全体の見える化を加速するなどの応用も可能。
※2 標準作業ナビのソリューション紹介サイト

標準作業ナビは、パナソニックのセル生産の現場が、標準作業のいち早い定着と作業効率の継続的な改善を目指して導入し、実績を積み上げてきたシステムです。そのため、生産現場での使いやすさを考慮した工夫も随所に凝らされ、すでに多くのお客様からご評価をいただいています。次回は、その標準作業ナビについて少し詳しくご紹介します。
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