第29回:シリーズ『RPA真・活用術』(1/2)

ご存知ですか?RPA導入が「期待外れ」になる理由

業務の効率化・自動化の一手として企業への導入が進むRPA。ただし、RPAを導入したものの、期待したほどの効果が出ない場合も少なくないようです。そこで本シリーズでは、RPAの導入効果を最大化するための方策について4回連載で紹介していきます。初回の今回は、RPAの導入が“期待外れ”に終わる理由について考えます。

RPAとはそもそも何か

RPAとは「Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)」の略称です。パソコンなどを使って人が行っている定型的で反復的な処理を、その処理手順を記憶したロボットに行わせ、業務の自動化・省力化を実現する技術(ないしは、コンセプト)を指しています。

ちなみに、人に代わって業務処理を行うRPAのロボットは「ソフトウェア ロボット」と呼ばれたり、「デジタルレイバー」と呼ばれたりしています。

ご存知のように、企業・組織には、受発注管理や営業支援、人事・会計など、特定の業務に特化したシステムが導入されています。

ただし、こうした業務システムだけで当該業務にかかわるすべての作業が自動化されるわけではありません。逆に、ビジネスの現場では、ITによる自動化・効率化が行われていない業務処理が数多く残されています。例えば、顧客や取引先から送付されてくる注文書/請求書のデータを人手によって受発注システムに転記(入力)したり、人手によって紙文書を電子化したり、データ分析の定型レポートを作成したりといった具合です。RPAはそうした処理を自動化するソリューションであり、その活用によって、人が行ってきた処理をロボットに代行させ、業務の作業工数を削減することが可能になります(図1)。

図1:受発注の業務にRPAを適用した例
図1:受発注の業務にRPAを適用した例

大きな期待とは裏腹に……

上記のとおり、RPAのコンセプトはシンプルです。

しかも、RPAのツールを使ってロボットに処理を覚えさせ、“デジタルレイバー”として機能させる作業(つまり、ソフトウェア ロボットを開発する作業)の技術的難度は、それほど高くありません(図2)。

図2:RPAツールによるロボット開発の例(UiPath)
図2:RPAツールによるロボット開発の例(UiPath)

そのため、多くの企業・組織がRPAに期待をかけ、結果として、「UiPath」(開発元:UiPath株式会社)や「WinActor」(開発元:NTTアドバンステクノロジ株式会社)、あるいは「BizRobo!」(開発元:RPA テクノロジーズ株式会社)といったRPAツールの普及も勢いよく進んでいます。さらに数々の民間調査も、RPA市場の明るい未来を予測しています。

RPAの普及に伴い、その活用に成功した事例もさまざまに報道され始め、RPAへの期待の高まりに一層の拍車をかけています。そうした成功例の代表的な一つは、日本の大手都市銀行がRPAによって年間8,000時間分の事務処理作業を削減したというものです。この報道は大きな反響を呼び、RPAへの注目度を一挙に押し上げました。

加えて、日本の行政機関もRPAツールの活用に乗り出しているようです。内閣官房内閣人事局の霞が関働き方改革推進チームが2019年5月に公表した資料 新しいウィンドウ: 『平成30年度 議論の成果 出勤簿等への押印省略など勤怠管理の効率化』によると、日本の行政機関では、勤怠管理や照会・調査の取りまとめ(およびメールの自動作成・送信)、さらにはアンケート集計などの業務にRPAを適用し、それぞれの効率化・自動化を図っているといいます。

そして、パナソニックでも、働き方改革の取り組みの中でRPAを活用し、かなりの成果を上げています(事例の詳しくは、本シリーズ連載の4回目でご紹介します)。

しかし一方で、RPAを導入したものの、期待したほどの効果を手にできずにいる企業・組織も少なくありません。実際、企業の間では、「RPAを使っているのに、業務に要する工数や時間があまり減っていない」「導入効果が局所的で、大きな投資対効果が得られていない」「RPAによる改善効果が見えてこない」といった不満の声が数多く聞かれているのです。

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