第33回:シリーズ『スマートな工場管理へのステップ』(1/2)

トラブル発生7割減!“つながらない設備”をつなぐメリット

IoTによって生産設備の状況についてデータを収集、見える化し、工場をスマートに管理していく――。そうした『工場のスマート化』の取り組みが活発化しています。ただし、その実現に向けては課題も多く、全てを一挙に推し進めるのは困難です。そこで本シリーズでは、『スマートに管理された工場』を一つのゴールに定め、その実現に向けた現実的なステップを考えていきます。

スマートな工場管理を実現するために

本稿でいう「スマートに管理された工場」とは、複数工場間の情報連携が実現され、かつ、トラブル予兆の管理などがしっかりと行われている工場を指しています。

ご承知のとおり、このような工場を実現するためにまず必要とされるのは、IoTのソリューションによって生産設備のデータを収集し、分析・可視化する基盤を整えることです。具体的には、既存生産設備を制御している各PLC(プログラマブルロジックコントローラー)へ、「中継PLC(データロガー)」を介してリアルタイムな実績データを収集し、業務支援・生産計画・工程管理・品質管理などの機能を提供するMES(製造実行システム)からの活用を可能にする必要があるわけです。そして、MESと、全社の業務システム(ERPシステム)やAI(人工知能)予兆管理システムなどとをつなぐことで、「スマートに管理された工場」が実現されることになります。

こうした構想を実現しようとしたときに、工場がよく突き当たる問題があります。それは、「生産設備が旧式でIoTのアプローチが適用できず、稼働データが収集できない」という問題です。製品のライフサイクルが短いIT機器とは異なり、生産設備は耐用年数が非常に長いのが一般的で、導入から10年以上、あるいは20年以上、“現役”として使われ続けているものも多くあります。また、生産設備は総じて高額であり、そう簡単には新旧のリプレースができないのが現実です。

したがって、古い生産設備であっても使用を続ける必要がありますが、旧式の設備は、“IoTへの対応”を前提に設計されていない“つながらない設備”です。そのため、設備のデータを、ネットワークを通じて自動的に収集できず、生産の現場では、次のような問題を抱えたままとなります。

  • 生産数がリアルタイムに把握できず、生産管理の担当者が1日の稼働終了後に各担当者の手書き日報を集計し、1日の報告書を作成しなければならない。
  • 設備の稼働状況が正確につかめず、小さな停止が頻発しているにもかかわらず、実態が把握できずにいる。
  • 稼働状況を示すデータが不正確なために分析が行えず、改善の施策が立てられずにいる。
  • アナログでのデータ収集のため、報告書作成のための工数が高止まりしている。

これらの課題を解決し、「スマートに管理された工場」の実現へとつなげていくためには、“つながらない古い設備をつながる設備”へと変えるIoTソリューションがどうしても必要となります。パナソニック ソリューションテクノロジーでは、そうしたコンセプトを体現するものとして、設備データの見える化ソリューション「MP-Viewer」を提供しています(図1)。

図1:IoTによるスマート工場の概念~MESとMP-Viewerの関係~
図1:IoTによるスマート工場の概念~MESとMP-Viewerの関係~

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