第33回:シリーズ『スマートな工場管理へのステップ』(2/2)

MP-Viewerがもたらす効果
MP-Viewerは、旧式(レトロ)の設備を、それ自体に手を加えることなく“つながる設備”へと変え、データの収集・可視化を実現するソリューションです。既存設備のPLCや各種センサのデータ、さらには監視カメラの撮像を、中継PLC(データロガー)で収集し、「生産数」や「設備稼働状況」などを、データ可視化ツールでリアルタイムに見える化します(図2)。また、MP-Viewerでは、「トラブル発生履歴」の管理や「日次・月次レポート(生産実績/不良数実績/稼働実績)の生成」も行えます。

こうしたMP-Viewerによって、“つながらない設備”が引き起こす、先に触れたような現場の問題――つまり、「生産数がリアルタイムに把握できない」「設備の稼働状況が見えない」「稼働状況を示すデータが不正確」「報告書作成のための工数が高止まりしている」といった問題を全て解決することができます。
これにより、生産工程の効率性/生産性を高めて、企業の利益率向上へとつなげられる可能性があります。
実際、ステンレスやアルミなどの金属加工を手がける従業員数約60人のケーアイ工業株式会社では、MP-Viewerを使った見える化を通じて30%以上の利益増を達成しています。
同社では、MP-ViewerなどのIoTソリューションを活用し、「稼働状況の見える化」と「作業指示書の所在の見える化」を行いました。このうち、稼働状況の見える化では、工場の既存設備28 台に電流センサを装着し、設備の改造なく稼働状況を外部から測定できるようにしました。また、工場の各所にバーコードリーダーを設置し、作業者による加工の開始と終了時に、各自が持つバーコードをかざすことで作業内容や時間が自動で記録されるようにしたといいます。そして、これらのデータを社内のサーバーに蓄積し、リアルタイムにモニタリングしたり、稼働状況の分析に活用したりすることで、作業効率を高め、30%の利益増につなげたのです。
さらに、MP-Viewerを活用する別の企業では、ダンボールの自動形成工程で多発するトラブル原因を究明するために、設備のトラブル信号に連動したカメラ映像の分析を進めました。結果としてトラブルの主要因を突き止め、品質不良と設備異常の発生率を約70%削減したといいます。
このように、MP-Viewerを使い、これまで可視化できなかったことを可視化することで、生産現場の改善・改革を推し進め、生産性・効率性を高めていくことができます。その成功をテコにすることで、「スマートに管理された工場」をスムーズに実現していくことが可能になります。以下は、そのステップを大きく4つに分けたものです。
ステップ(1)
工場内の単一工程にターゲットを絞り、MP-Viewerなどを活用して稼働状況/生産数の見える化を実施。IT化の取り組みを始動させる。

ステップ(2)
上記(1)の実績をテコにしながら、施策を工場内の複数工程に横展開し、工程全体の管理に着手する。

ステップ(3)
工場全体を俯瞰しながら、ものづくり全体の品質管理/数量管理に取り組む。

ステップ(4)
工場間の情報連携やトラブル予兆管理など、スマートに管理された工場を実現する。
次回は、上記(1)と(2)のステップで重要な役割を演じるMP-Viewerの機能について少し詳しく見ていきます。また、のちにはステップ(3)、ステップ(4)の実現方法について具体的にお話しする予定です。
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