第1回では、ビーコンがワークスタイル変革に有効なツールであるということをお伝えしました。第2回の今回は、当社でビーコンを利用して働き方を見える化した結果、なにがわかったのか?当社が体感したことを具体的にご紹介します。
総合ICTソリューションを提供している当社では、フレックス、時短勤務、モバイルやクラウド環境を利用したテレワークなど、以前より、さまざまな属性をもつ社員のライフスタイルに対応し、時間や場所に縛られない自由で柔軟な働き方を実現するための対策を講じてきました。今回の実証実験では、さらに踏み込んで、フリーアドレスの導入と社員の位置(所在)情報の見える化を行いました。
フリーアドレス導入と社員の位置(所在)情報の見える化
当社は、ワークスタイル変革に向けた実証実験の一環として、2015年2月より一部のオフィスにフリーアドレスを導入しました。これは、個々に座席を用意しないことでオフィス全体を有効に活用し、時間や場所に縛られない自由な働き方ができることを目的とした取り組みです。
フリーアドレスにすることで、時間や場所に縛られない働き方ができるようになる一方、座席が固定されないことで、「相談したい相手がどこに居るのか?そもそも出社しているのかさえわからない」という状況に陥ることは容易に考えられます。

このような事態が予め想定されたため、当社はフリーアドレスを導入すると同時にビーコンを導入することにしました。ビーコンを導入しなければ発生していたと思われる「相手の居場所がわからない」という事態も、ビーコンを名札に取り付けたことで社員の位置(所在)情報が見える化され、「誰がどこ居るのか、または居ないのか」をすぐに確認することができ、円滑なコミュニケーションを図ることができたのです。
グループウェアのプレゼンス管理機能などだけでは実現できない、ビーコンによる位置情報の自動検出は、離席時などのコミュニケーションロスを防ぐと同時に、フリーアドレスオフィスへの円滑な移行に効果を発揮したことをすぐに実感しました。
実証実験結果1:勤務傾向の見える化~営業は外回りできているか?~
では、これより、ビーコンで収集・蓄積した社員の位置情報のデータを具体的にどのように活用したのか、事例を2つご紹介します。
1つ目は、「勤務傾向の見える化」です。
フリーアドレス化された、ある営業部門の社員の所在情報から、勤務時間全体に占める社内作業の比率を算出したところ、経営者が想定していた数値よりも高いということがわかりました。「なぜ営業が社内にいるのか?」その理由を探るため、メンバーに数値を示した上でヒアリングを実施しました。
すると、
- 帰社後も受注登録などの付帯作業が多い
- PCは持ち出しているが、モバイル接続していないため、帰社後の作業が増えているという情報が得られました。
一方で、他の部署では、
- 社内作業を代替するためのサポートメンバーを配置している
- 外出先でも業務を継続するためのモバイルツールの整備している
- 直行直帰を推奨しているなどの対応策が進んでいる
ということもわかりました。この対応の差が、はっきりとした数値として表れていたのです。
そこで、対象の営業部門で
- 受注業務をスタッフ部門に振り替え
- モバイルツールを整備・提供。外出先での業務継続可能な環境をつくり、直行直帰を推奨
- 外出先や自宅からのWeb会議利用を推奨

部門ごとの所在人数
というアクションプランを策定・実行したところ、社内作業率が減少するという改善効果が数値として確認できました。その結果、営業が外回りに費やすことのできる時間が増え、本来のミッションである顧客への提案活動に集中することができるようになったのです。
このように、ビーコンを活用することで、現状の働き方を数値で「見える化」し、アクションプラン前後の変化を定量的に比較することができます。私たちが提 案するビーコンを活用したソリューションは、働く人、組織を動かすために必要な「強い説得性」を発揮することができ、ワークスタイル変革を加速させる、と 考えています。
実証実験結果2:会議の見える化~効率的な会議運営ができているか?
2つ目の活用は、「会議の見える化」です。
長時間の会議、準備・運営の負担でお悩みの企業が多いのではないかと思いますが、当社でも、以前より会議の効率化の必要性を認識していました。日々、さまざまな会議が開催されていますが、その開催頻度や時間、参加人数などは、グループウェアのスケジューラーに概要が登録されていることはあっても、実態まで把握するのは難しい状況でした。
そこで、ビーコンによって、会議開催時に以下の情報を簡単に取得できるようにしました。
- 参加者の実際の参加時間
- 月次、週次などの期間における会議開催回数
会議の実態を「数値」として見える化することで、対象部門へ直接データを提示し、必要に応じて会議の効率化の検討・改善を促すというアクションが可能となりました。また、会議室の利用実態についても、「会議室が利用されているか」といった観点だけではなく、
- 何人で利用しているか
- 予約通りに利用されているか
- 会議が予定通りに開始、終了したか
という観点でのチェックも可能になりました。

会議室の予約状況と、実際の利用状況を組み合わせた分析例
これにより、会議室の稼働率を把握するとともに、会議室のキャパシティに対する利用人数の実績も確認できるようになり、
- 現在の10人部屋を、分割して4人部屋を2部屋にすることで稼働率が向上する
ということも、実績から判断できるようになったのです。
また、参加者の部署構成も見えるようになるので、コミュニケーション量についても、数値で把握できるようになりました。そして、最も重要なことは、会議に対する社員の“意識改革”です。常に「見られている」という意識をもつことで、
- 会議のテーマとゴールを明確にする
- 参加メンバーを限定する
- 資料は事前にデータ配布する
など、効率化に向けた取り組みを自発的に行うようになっています。
以上が当社の会議効率化に向けた取り組みです。少しずつではありますが、確実に成果をあげています。
図は、当社での議室予約状況と、実際の会議室利用状況を組み合わせた分析データです。このように、「予定よりも早く終了したのに、会議室を開放していない」というケースや、「予定時間をオーバーしているケース」、さらに、遅刻したメンバーの様子や、カラ予約(予約したのに利用しないケース)なども把握できます。
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