まったく同じ現象はない ~人の判断力が重要~
和田氏によると「似ていることはあっても、まったく同じ現象が発生することはない」設備点検の世界では、メーターなどで管理されている数値だけではなく、音やにおいから異常を検知したり、錆の進行度合いなどの外観変化から状態を判断したりすることも多いという。つまり、経験者自身が数十年かけて蓄積したデータベースだからこそ、適切な状況判断に応用できるのだ。
同社では作業員のかけがえのない経験知を活かし、設備の安定稼働につなげるために現場の無駄や不安を取り除き、業務に集中できる環境を提供している。
一方、同社では、『MobileInspect』に日々蓄積されていく点検データが予防保全のヒントにつながるのではないかと期待を寄せている。
「異常が発生し、過去の紙の点検シートを見直していたところ予兆に気づいた、という経験があります。でもこれからは、データベース化された情報を使って予兆を検知し、クイックアクションにつなげたいと考えています」(和田氏)

予見により部品を早めに入手して交換するなど、先手先手の対策が打てる、と考えている同社では、すでに、山本氏が中心となり、データ分析を始めている。
「作業員の点検方法の傾向など、少しずつ分かってきたこともあります。ただし、単にグラフ化すればいいということではなく、気温・湿度の相関関係や負荷バランスなど、現象の要因を多角的にとらえたうえで、グラフが何を示しているのか読み取ることが必要です」(山本氏)
さらに山本氏は、今後はVBAを活用することで分析の確度・深度を広げようと考えている。このように、同社では、現場を知り尽くした人がもつ知識・経験とデータの力を合わせて活用することで、設備点検業務の質をさらに高めていこうと考えている。
最後に宍野氏に今後の展望について伺った。
「西門真は当社の重要な本部拠点です。この本部での取り組みを通じて得た管理手法を国内外の拠点に広げて管理値の見える化を図ると同時に、日常の設備点検・管理業務に忙殺されている従業員の働き方革新の一助になればと思っております」
新しい“モバイル”点検スタイルを水平展開していく構想がすでに始まっている。
【納入企業プロフィール】パナソニック株式会社 オートモーティブ & インダストリアルシステムズ社

車載事業、BtoB事業をグローバルに展開しているパナソニックの社内カンパニー。自動車のネットワーク化・エレクトロニクス化、工場やオフィスの省・蓄エネ化、さらにIoTを活用したインダストリー4.0の加速など、社会・産業のニーズをとらえ、デジタル家電開発・製造を通じて培った高度な技術をデバイス・システム開発に応用し、さらにメンテナンスまで含めたソリューションで事業成長を追求。
-
http://www.panasonic.com/jp/corporate/ais.html
※ 本文中に記載されている内容は、2016年11月の取材時点のものです。
商品に関するお問い合わせ
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社 お問い合わせ受付窓口
電話番号: 0570-087870 受付時間: 9時00分~17時30分 (土・日・祝・当社指定休業日を除く)

