小売り・卸 印字確認 OCRライブラリー

株式会社永谷園様 永谷園 茨城工場がiPadを使って1日90回の賞味期限チェックを強化
~パッケージに印字された日付をOCR文字認識、バーコード情報と自動照合~

お茶づけやふりかけ、即席みそ汁など、数多くの人気商品を製造・販売している株式会社永谷園(以下、永谷園)。「味ひとすじ」の企業理念のもと、安全かつ高品質でおいしい商品の提供を目指している永谷園 茨城工場では、このたび、「賞味期限確認システム」を導入。マジックソフトウェア・ジャパン株式会社(以下、マジックソフトウェア)の超高速開発ツール「Magic xpa(マジック エックスピーエー)」によって、短期間での開発が実現した本システムには、パナソニックの高精度OCRエンジン「活字認識ライブラリー」が組み込まれている。そこで、マジックソフトウェアとパナソニックは茨城工場を訪問し、システム活用方法について話をきいた。

株式会社永谷園様 ロゴ

株式会社永谷園様

1953年に株式会社永谷園本舗(現、株式会社永谷園ホールディングス)を設立、2015年に持株会社体制に移行した際、飲食料品の製造販売会社となる。現在は、市販品・業務用商品合わせて約370品を永谷園ブランドとして展開。「お茶づけ海苔」をはじめとするお茶づけシリーズ、即席みそ汁「生みそタイプみそ汁 あさげ」、フライパンひとつで簡単に作ることができる「麻婆春雨」、「松茸の味お吸いもの」、ちらしずしの素「すし太郎」、「チャーハンの素」、「おとなのふりかけ」などのロングセラー商品も多い。また、最近では、「1杯でしじみ70個分のちから みそ汁」、「『冷え知らず』さんの生姜」シリーズなどが人気。定番の味を守りながらも、消費者の嗜好・志向を取り入れ、日本のみならず海外でも永谷園商品の販売を行っている。
本社:東京都港区西新橋、製造拠点:茨城・岡山の基幹工場他、グループ各社含め全国7ヵ所。

  • 大袋・化粧箱・段ボール箱への印字不良・間違いを防ぎ、商品回収リスクを無くす
  • 転写・切り貼り・ボールペンチェックによる作業負担を軽く
  • 現場発のアイディア・イメージを1週間で形にした高速アプリ開発

40商品の賞味期限確認作業

永谷園の基幹工場である茨城工場は40年以上の歴史をもつ。徹底した衛生管理体制が敷かれた工場内では、各ラインに分かれて40種類以上の商品が製造されており(2017年8月末時点)、3パターンのパッケージ、大袋(ピロ)、化粧箱(Bケース)、出荷用段ボール箱に包装・箱詰めされていく。

茨城工場では、全種類の商品を対象に午前・午後の2回、パッケージ化の各工程で、印字不良や間違いがないかどうか、賞味期限表示のチェックを行っているが、

「以前は、『商品印字管理表』という台紙を印刷し、賞味期限の印字された箇所を台紙に転写したり、実物を切り貼りしたりしていました」

と、工場長の関口氏は語る。1日に90回以上も発生している賞味期限の確認を全て人の手と目で行うのは、大変な作業だった。

「数字を人の目で確認し、ボールペンでチェックを入れていました。それでも、間違いを見逃してしまうことや、そもそも記入している台紙が違う、ということもありました」(関口氏)

関口 裕 氏

株式会社永谷園
茨城工場長 関口 裕 氏

食品の品質・安全管理の観点で、賞味期限の確認は非常に重要な工程であり、間違いを低減・防止するための対策が必要だった。加えて、

「台紙は3年間保管しています。後日、記録を確認する際も、該当する紙を探すのに、時間がかかっていました」

と、設備グループ マネージャーの渡部氏は、業務に紙が介在することの課題について述べた。

「賞味期限確認システム」イメージ図

紙の台紙からiPadへ

そこで永谷園では、より確実に賞味期限表示の確認を行い、万が一の商品回収リスクを防止するためにシステム導入を検討。アプリの高速開発で多数の実績・ノウハウをもつマジックソフトウェアに相談を行い、「賞味期限確認システム」の開発を始めた。なお、現場で使用するツールには、iPadを採用した。

「もともと、本社では、iPhoneを営業担当者に配布し、活用を促進していましたが、茨城工場では、「賞味期限確認システム」を契機にiPadの利用を開始しました」(関口氏)

段ボール箱に印字された賞味期限を確認する
茨城工場では、カメラを用いた「印字チェッカー」も併用し、賞味期限のチェックを徹底

利用方法は非常にシンプルだ。品質管理部門の担当者が、iPadで大袋・化粧箱・段ボール箱のバーコード(JANコード、GTINコード)を読み取ると、該当する商品の賞味期限などの情報をデータベースから取得。次に、現品に印字された賞味期限・工場記号を撮影すると、文字データに自動変換し、データベースの情報と照合される。この時、文字認識に使用されているのが、パナソニックのOCRソフト「カラーOCRライブラリー」シリーズ、「活字認識ライブラリー」である。

そして担当者は、iPadの画面で認識結果とデータベースの情報を見比べ、OKまたはNGボタンを押す。渡部氏によると、「操作方法が簡単なので、担当者の戸惑いもそんなにありませんでした」ということだが、「賞味期限確認システム」には複雑なボタンや画面遷移がなく、誰でも直感的に操作可能な設計になっている。

「賞味期限確認システム」導入前後の業務の流れ

たった1週間でプロトタイプが完成

アプリ開発におけるキーポイントは、利用者の要望・要件の再現性と開発工期の短縮である。今回は、マジックソフトの超高速開発ツール「Magic xpa」を使いオリジナルアプリを開発。マジックソフトウェアでは、現場業務のイメージを吸い上げてから、わずか1週間でプロトタイプを完成させた。その後、3回程度の改良を加え、開発開始から半年後には、カットオーバーとなった。なお、渡部氏によると、プロジェクトメンバーは、「茨城工場から3名、本社から2名の計5名で推進しました」ということだ。

パナソニックの「カラーOCRライブラリー」シリーズは、高い認識精度を発揮するのはもちろん、開発者の視点に立って作られたツールキット(SDK)である。無料体験版による事前検証やシンプルで充実した関数群、わかりやすいマニュアルなど、簡単に短期間でOCR機能をソフト・アプリに組み込むための機能とサービスが盛り込まれている。もちろん、iOS、Windows、Androidの各OSにも対応している。マジックソフトウェアでは永谷園の商品パッケージを使って検証した結果、その高い認識精度を評価し、「活字認識ライブラリー」を「賞味期限確認システム」の文字認識エンジンとして採用した。

「賞味期限確認システム」の基本構成図

製造現場で使われているフォント

渡部 一弘 氏

株式会社永谷園 茨城工場 設備グループ
マネージャー 渡部 一弘 氏

「効率化よりも間違いの防止」。関口氏は、「賞味期限確認システム」の導入目的をそのように語る。業務プロセスの中で、人の手・目や紙が介在する比率が高いと、どうしても見逃しや間違いが発生してしまうが、永谷園では、現場の仕事にICTの力を上手に取り込むことで、品質管理体制の強化につなげている。しかしながら、現状のシステムがゴール、というわけではない。

「字体によっては、認識しにくいこともあるので、その場合は、担当者が目視チェックしています」(渡部氏)

「でも、本当はダブルチェックもやめたいですね。『誰かが見てくれるだろう』という考えを排除したいのです」(関口氏)

製造現場で多用されているゴム印やドット印字については、その形状上、他の印字方式・フォントと比べると、認識精度に差が出てしまうことは否めない。パナソニックでは、この事実を受け止め、OCRエンジンのバージョンアップ、認識精度向上に向けた対策を始めている。

関口氏は「ICTを使った業務ツールのアイディアを工場内で募集しています」と言うが、品質管理・検査工程のみならず、他の工程においても、業務の高品質化につながるICTの活用がまだまだたくさんあるはずだ。
今後もパナソニックでは、ICT・IoTを使った業務改革が急速に広がっている製造現場のニーズを的確にキャッチし、現場発のイメージ・アイディアを具現化するための技術提供を続けていく。

永谷園 茨城工場内部の様子

※ 本文中に記載されている内容は、2017年9月の取材時点のものです。

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