2022.08.16
チャットボットを社内問い合わせ向けに導入する際の比較ポイントとは?
メリットや活用事例も解説

社内問い合わせの効率化ができるチャットボット。しかし、選び方と運用を間違えると効果が得られにくいことも事実です。本記事では比較ポイントやメリットデメリットから活用事例までわかりやすくご紹介します。
< 目次 >
- 社内問い合わせにおける4つの課題
- 問い合わせ対応に手が止められ本来の業務が進まない
- 同じような内容の問い合わせが何度も寄せられる
- FAQを用意しても活用されない
- 正しい問い合わせ先に連絡してくれない
- 社内向けにチャットボットを導入するメリット
- 問い合わせ対応業務の効率化
- ナレッジの集約・蓄積
- 利用者の利便性の向上
- チャットボット導入がデメリットになるケース
- 頻度の少ない問い合わせへの対応
- 複雑な問い合わせへの対応
- 回答の内容が頻繁に変わる問い合わせ
- 社内向けチャットボット選定時の比較ポイントは5つ
- AIの回答精度
- 管理画面の使いやすさ
- 複数部門で使いやすいか
- 利用者が使いやすいか
- サポートが提供されているか
- 社内問い合わせ対応をチャットボットで効率化した事例
- 全国の店舗従業員からの問い合わせ対応を約3,500時間削減
- ITヘルプデスクの月100時間の問い合わせ対応を50%削減
- 新基幹システムに関する問い合わせ対応を4ヵ月で1,207時間削減
- 運用に失敗した企業の3つのパターン
- 従業員に周知されていない
- 従業員の聞きたいことに対応していない
- 使ってみたけど聞きたいことに答えてくれない
社内問い合わせにおける4つの課題
バックオフィス部門には日常的に従業員からさまざまなお問い合わせが寄せられます。従業員からの問い合わせへの対応によって、バックオフィス部門の担当者の業務負荷に影響を与えることが問題視されています。具体的にどのような課題があるのか、社内からの問い合わせにおける代表的な4つの課題をご紹介します。
1. 問い合わせ対応に手が止められ本来の業務が進まない
バックオフィス部門の担当者は、問い合わせ対応業務と並行して別の業務を担当しているケースがほとんどです。そのため、従業員から問い合わせがあると手を止めて対応を行う必要があり、本来やらなければいけない業務がなかなか進まず業務効率が落ちてしまいます。
2. 同じような内容の問い合わせが何度も寄せられる
バックオフィスに寄せられる問い合わせは、似たような内容の質問が何度も寄せられるケースが多いです。これは人事手続きやシステムトラブルなど社員にとっては、あまりなじみがない非日常的な内容であるため、ついつい簡単な内容でもよく調べずに担当者に問い合わせをしてしまうことが原因です。
3. FAQを用意しても活用されない
問い合わせ対応業務を効率化するためにFAQを用意している企業も多くあります。しかしFAQを用意しているにもかかわらず、活用されておらずお問い合わせが減らないといったことはありませんか。FAQが活用されない背景には、以下のような背景が原因として考えられます。
- 従業員が調べるより直接聞くほうが早いと考えている
- 従業員がFAQの存在を知らない
- FAQでうまく回答を見つけられず担当者に問い合わせをしている
4. 正しい問い合わせ先に連絡してくれない
問い合わせ対応において、従業員が正しい問い合わせ先に連絡してくれないといったことはありませんか。従業員が正しい問い合わせ先に連絡してこない背景には以下のようなケースが考えられます。
- 正しい問い合わせ先が周知されておらず、個別の担当者に連絡している
- 内容ごとに担当窓口が細かく分かれており、どこに問い合わせればいいのか判断できない
問い合わせ先が異なり自分の担当外の質問が来た場合、担当者へ転送したり、回答内容を確認したりしないといけないため対応に時間がとられてしまいます。
社内向けにチャットボットを導入するメリット
社内向けにチャットボットを導入すると、企業にとってどのような課題を解決できるのか、導入メリットと期待される効果についてご紹介します。
1. 問い合わせ対応業務の効率化
対応しなければいけない業務があるのに次々とくる問い合わせへの対応に手が止められ、業務が進まないといったことはありませんか。AIチャットボットは問い合わせを担当者に代わり自動で回答することで、問い合わせ対応にかかる工数を削減することができます。
例えば、お問い合わせの40%が同じような質問である場合、よくある質問をチャットボットに登録しておくことで対応を自動化させることができます。また、複雑な内容も一次対応をチャットボットが行うことで、ムダなやり取りを削減し、対応工数を効率化できるため問い合わせにかかる全体の工数を半減させることができます。

2. ナレッジの集約・蓄積
バックオフィス業務では効率的に業務を行うため、業務ごとに担当者が分かれている場合が多いです。業務が担当者ごとに縦割りで分かれているようなケースの場合、自分の担当外の質問には回答ができないことがあります。また、担当している業務であっても人によって丁寧に答える人もいれば、簡潔に答える人もいるなど回答の品質が異なる場合があります。
AIチャットボットはそのような属人的な回答を標準化し、回答品質を改善します。幅広い業務ナレッジをチャットボットに集約することで、企業や部門に散らばるナレッジを一元管理し誰もが活用しやすい状態にすることができます。
3. 利用者の利便性の向上
チャットボットの導入メリットは質問を受け付ける側だけではなく、質問を行う利用者側にもあります。チャットボットは24時間365日すぐに回答を行うことができるので、業務時間外や会議で不在のため回答に時間がかかるということはありません。また、一度聞いたことのある質問や人事評価、給与・手当などのデリケートな内容は、人に聞きづらいケースもあります。チャットボットの場合はそのような心理的ハードルを取り除くことができるので、聞きたいときにスグに気軽に聞きやすい環境を利用者にもたらしてくれます。
チャットボット導入がデメリットになるケース
メリットの多いAIチャットボットですが、その効果は万能ではありません。チャットボットに適していない業務の場合、逆に運用工数がかかり失敗になってしまうケースもあります。チャットボット導入がデメリットになりかねない、導入に向いていない業務についてご紹介します。
1. 頻度の少ない問い合わせへの対応
チャットボットは利用頻度の高いよくある質問ほど高い効果を発揮します。一方で頻度の低い問い合わせでは十分な効果を発揮することができません。例えば月2回しかない問い合わせと、10回以上発生する問い合わせでは5倍の効果の差があります。このように頻度の少ない問い合わせは登録にかかる工数分の効果を得るまでに、時間がかかってしまいます。

2. 複雑な問い合わせへの対応
丁寧にヒアリングをして回答を提示する必要があるような複雑な問い合わせも、AIチャットボットはあまり得意ではありません。複雑な条件分岐やヒアリングが必要な場合は、階層構造でカテゴリーを絞り込めるものや聞き返し機能があるもの、シナリオ機能があるチャットボットを採用することで条件分岐にも対応することができます。
3. 回答の内容が頻繁に変わる問い合わせ
回答が頻繁に変わるような問い合わせへの対応は、回答を修正する手間が発生します。回答を頻繁にメンテナンスしなければいけない問い合わせの場合は、自動化できた時間よりも運用コストが上回るケースがあり投資対効果を得ることができないため注意が必要です。
社内向けチャットボット選定時の比較ポイントは5つ
AIチャットボットは数十種類のツールがあります。選定を始めてみると、どのように選べばいいかわからないということはありませんか。当社で実施した調査結果※ではバックオフィス部門担当者が選定時に重視するポイントでは「費用対効果」「AIの回答精度」「予算が組みやすい料金体系」が上位に挙がっていました。一方いざ導入してみたものの解約してしまったケースを調査したところ「回答精度が悪い」「管理者画面が使いにくい」「複数部門での運用がしにくい」が上位に挙げられました。
選定時に重視する点 | 解約を検討するきっかけ | |
---|---|---|
1位 | 費用対効果 | 回答精度が悪い |
2位 | AIの回答精度 | 管理画面が使いにくい |
3位 | 予算が組みやすい料金体系 | 複数部門での運用がしにくい |
※ 社内問い合わせ向けチャットボットサービスに関する実態に関するインターネット調査の結果(2022年4月19日~22日)
アンケート調査の結果を踏まえて、失敗しないAIチャットボットの選び方をご紹介します。
1. AIの回答精度
選定時、解約時ともに上位に挙がっていたのは「AIの回答精度」です。AIの回答精度が悪いと表現の揺れに対応できず、せっかく登録した回答をうまく検索ができません。AIチャットボットの効果を最大限発揮するためにはAIの回答精度を重視する必要があります。AIの回答精度はトライアルで実際のデータを登録して確認するのが一番ですが、検討時に確認しておくとよいポイントをご紹介します。
確認ポイント | |
---|---|
エンジンの得意分野 | エンジンの回答精度は学習しているデータに大きく影響されます。 職種や業界に特化したエンジンもあるため、自社の業務合わせて選択すると効果的です。 |
バージョンアップの頻度 | AIエンジンは自動学習機能でログから単語の意味を自動獲得していきますが、利用数が少ない導入直後はデータ数が少なく自動学習機能をうまく活用できないケースがあります。 AIエンジンによっては定期的にバージョンアップを行い、新語の追加やロジックの改善など全体最適を行っているものもあるため、バージョンアップの頻度も確認しておくのがおすすめです。 |
回答精度を上げる補助機能 | チャットボットには回答精度を上げるために、カテゴリーを分類する機能や入力文をサジェストするなどの補助機能があるものがあります。AIエンジンのそのものではありませんが、補助機能についても確認しておくとよいと思います。 |
2. 管理画面の使いやすさ
管理者画面の使いやすさ・運用のしやすさは解約のきっかけの上位に挙げられており、導入した後に気がつく重視すべきポイントです。チャットボットは問い合わせの対応を行っている現場の担当者が、データの登録や運用を行います。そのため、誰でも使いやすく運用しやすいツールを選択しないと「導入後に使われなくなった」「かえって運用コストが増加した」といったことになりかねません。導入後の運用を想定し、次の3つのポイントを確認しながら比較してみてください。
(確認ポイント)
- 直感的に操作できるか
- メンテナンスが簡単にできるか
- 効果測定機能があるか
3. 複数部門で使いやすいか
選定時には重視されませんが、運用後に気づく重視すべきポイントとして「複数部門で使いやすい」といった拡張性が挙げられていました。チャットボット導入後、横展開を行う企業が多いですが複数部門での運用に適した設計になっていない場合、新しくチャットボットを契約する必要があります。将来的に全社展開が想定される場合は、複数部門を想定した機能も確認しておくことがおすすめです。
(複数部門管理に必要な機能の例)
- Q&Aデータを部門別で管理・編集できる権限設定
- ログを部門ごとにフィルタリングして管理できる機能
- 問い合わせ先・有人チャットを部門ごとに設定できる機能
- 部門ごとにチャットボットの入り口を分ける機能
4. 利用者が使いやすいか
トップ3以外では利用者の使いやすさも選定時の重点ポイントに挙げられていました。どんなにチャットボットにナレッジをためても利用者に使われなければ効果を発揮することはできません。利用者にメリットがあり、使いやすいツールという点も非常に重要な確認ポイントです。利用者の使いやすさは次の3つのポイントを参考に確認するのがおすすめです。
確認ポイント | |
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直感的に操作できるか |
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チャットボットが設置できる場所 |
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回答できなかった場合のフォロー |
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5. サポートが提供されているか
チャットボットは導入後もQ&Aを最適化するなどの運用をしっかりと行う必要があります。そのためには、導入後のサポートをしっかり行っているツールを選択することが重要です。導入検討時には自社で運用を行う上で必要なサポートが提供されているのか、内容もしっかり比較するようにしてください。
サポートなしの場合 | サポートが充実したチャットボットの場合 | |
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導入時 |
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導入後 |
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社内問い合わせ対応をチャットボットで効率化した事例
人事・総務・システム・経理などバックオフィス向けにチャットボットの導入が進んでいます。社内問い合わせ対応をAIチャットボットで効率化した事例をご紹介します。
1. 全国の店舗従業員からの問い合わせ対応を約3,500時間削減
従業員からの給与・勤怠・福利厚生・社会手続きなどの労務関連の問い合わせ対応の効率化に、AIチャットボットを活用することができます。
株式会社クスリのアオキでは、労務関連の社内問い合わせ対応にAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応にかかる業務負荷が約75%削減、約3,500時間の人時削減を実現しました。さらに導入前は、「土日に連絡が取れない」、「メールでの返信が遅い」といった従業員からの苦情が問題になっていましたが、チャットボット導入後解決時間が短縮され、従業員が疑問をすぐに解決できるように改善することができました。
2. ITヘルプデスクの月100時間の問い合わせ対応を50%削減
DXの影響で社内システムの導入が進み、情報システム部門への問い合わせが増加していませんか。AIチャットボットはシステムに関するよくある問い合わせへの対応を担当者に代わって対応することができます。
株式会社ホンダロックでは国内拠点の社員700名からPCの設定方法、リモートアクセスの接続方法など、IT部門では月200件の問い合わせ対応に100時間かかっていました。また、窓口のヘルプデスクではなく、各システムの担当者へ直接問い合わせられ本来の業務に集中できないことも大きな課題となっていました。AIチャットボット導入後、200件の問い合わせを100件に半減させることができ、チャットボットが一次対応することでシステム担当者への直接問い合わせをほぼゼロにすることに成功しました。
3. 新基幹システムに関する問い合わせ対応を4ヵ月で1,207時間削減
社内DXのように複数の部門が協力してプロジェクトを進める場合、問い合わせの内容によって担当者が細かく分かれており、どこに問い合わせをしていいかわからないようなケースはないでしょうか。
株式会社ミツワ電機では新しく導入した基幹システムに関する問い合わせ対応の効率化のためにAIチャットボットを導入しました。購買倉庫チーム、再販工事店チームなど関連する部門は多岐にわたっていましたが、チャットボットにナレッジを集約し問い合わせ対応を効率化しました。チャットボットの自己解決率は91.3%で4か月間で1,207時間の対応工数を削減することに成功しました。
運用に失敗した企業の3つのパターン
チャットボットは導入するだけでは効果は出せません。うまく運用ができないと、せっかく導入してもチャットボットが利用されない、問い合わせが減らないなど効果が出ないケースがあります。最後に導入に失敗した企業にありがちな3つの原因をご紹介します。
1. 従業員に周知されていない
従業員がチャットボットの存在や利用方法を知らない場合は導入しても利用されず、問い合わせの削減につなげることはできません。このような事態にならないためにはチャットボットを導入するときに社内にしっかりPRすることが重要です。チャットボットの認知度を高め、従業員に使ってもらうためにはまずは「広める」、そして興味関心を高めて「使い続けてもらう」ことが重要です。
「広める」施策 | 「使い続けてもらう」施策 |
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2. 従業員の聞きたいことに対応していない
聞きたい質問がチャットボットで対応できない場合、チャットボットの存在を知っていても使う機会がなく利用されません。そのような場合には、チャットボットで対応できる業務範囲を広げ利用機会を提供することで、まずはチャットボットに触ってもらう機会をつくることが重要です。
(対応業務を増やす3つの方法)

3. 使ってみたけど聞きたいことに答えてくれない
チャットボットが利用者の質問にうまく回答ができなかった場合は、使えないといった印象を与えてしまい、利用が停滞します。このようにならないためには、チャットボットをメンテナンスし回答精度を改善する必要があります。
AIチャットボットはうまく運用ができないと、せっかく導入しても効果を出すことができません。導入に失敗しないためにはサポートの手厚いチャットボットを選択することが重要です。
社内DXが進む中、バックオフィス部門の業務効率化の手段として、AIチャットボットの導入が進んでいます。同じような問い合わせが多く、担当者ごとに属人化しやすいバックオフィス部門ではAIチャットボットを導入することで問い合わせ対応業務の効率化につなげることができます。
バックオフィス用途に特化した社内問い合わせ向けのAIチャットボット「WisTalk(ウィズトーク)」で問い合わせ対応業務を効率化しませんか。
AIチャットボット「WisTalk」は、人事・総務・システム・経理などのバックオフィス向けの用語を網羅し、複数部門でもQ&Aを部門別に管理でき安心してご利用いただくことができます。また、チャットボットの導入や運用を追加費用なしでカスタマーサクセスチームがサポートしています。ご紹介した導入の手順のほかにも、短期間で効果的に導入するためのコツやノウハウをお客様の運用に合わせて提案することができます。
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社内向け用途(BtoE)3年連続シェア1位※のAIチャットボット「WisTalk」
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※ 出典: ITR「ITR Market View : ビジネスチャット市場2022」
- チャットボット市場 - BtoE用途 : ベンダー別売上金額シェア (2020年度~2022年度予測)
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