手の中からはじまる海。

海女

真田 美幸

真田美幸さん(海女)の写真

はじめて自分の手で獲ったのはサザエだった。家に持って帰ると、父と母がすごく喜んでくれたのを覚えている。なんて話したかは忘れてしまったけれど「おいしいね」という嬉しそうな顔だけは、ハッキリ覚えている。
海女、という仕事についたキッカケは、なにげなく見ていたテレビだった。高齢化が進む鳥取の漁村で、次世代のためにその地域では史上初となる海女の育成を行っているというニュースを見て、私はすぐに電話した。
「私も海女になりたいです」
でも断られた。それまで、海に潜ったこともなかったから当然だ。だけどそれは決して思いつきの行動ではなかった。子どもの頃からのあこがれの仕事。それが漁師だった。カラダひとつで自然を相手にする仕事がやりたかった。大人になるうちに、女ではムリだろうといつのまにかあきらめてしまった夢。それがまた私の前に現れたように思えたのだ。しかも生まれ育った大好きな鳥取の海に。だから何度断られても通い続けた。やがて根負けするように担当の方が言った。
「とりあえず潜れるところまでは覚えてきてください」
こうしてどうにか研修させてもらえることになった私は、一年後、この港で、史上2番目の海女になった。
いまでは、最初は全然見えなかった牡蠣も見つけられるようになったし、船酔いもあまりしなくなった。海はどこまでも広いけれど、貝とか海草とか資源という面で見ると、限りがあることも知った。少しずつだけど海女らしくなってきてるのかなと思う。
私には、新しい夢がある。まずはおばあちゃんになるまで、海女をやりつづけること。そしてもっと海女を増やして、いつか海女の里をつくることだ。そのためにいまでは誰もやっていない、昔ながらの製法でのわかめづくりとか、いろんなことに挑戦している。この手の中ではじめた一つひとつのことが、いつかここの海女の伝統になるかもって、大きいことを思ったりしながら。

漁船の前に立つ真田美幸さん(海女)の写真

真田 美幸

2017年、一年間の研修を経て海女デビュー。現在、鳥取県福部町岩戸漁港において活躍中。

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