世界につづく上り坂。

ノルディックスキー

新田 のんの

新田のんのさん(ノルディックスキー)の写真

ゴールをすると、私はパタンって倒れ込む。もう、ちょっとの力も残ってない。熱くなったカラダに雪が気持ちいい。冬がこんなに楽しいなんて。クロスカントリーと出会うまで、知らなかった。
「シットスキーを体験してみないか」。2015年12月、突然、荒井監督から電話がかかってきた。そのとき私は、車椅子マラソンをしていて、スキーなんて小学校のとき習った程度。なんで私?とも思ったけれど、楽しそうだったから、すぐに「行きます」って返事をしてしまった。合宿は4日後だから、と言われたときは、急だなあって少し驚いたけど、いちばん驚いたのは、行ってみたら、それが全日本の強化合宿だったことだ。
シットスキーでのクロスカントリーはすごく楽しかった。楽しすぎて、いっぺんに冬が好きになるくらいに。本当を言うと、それまで冬がキライだった。車椅子だと雪の上で思うように動けないから。でもクロスカントリーは、雪の上でも自由に動けることを教えてくれた。私は、本格的に競技をやることに決めた。
クロスカントリーは、上りがあって下りがあって、ほんの少し平地がある。雪上のマラソンと言われていて、ゴールしたあとは、自分ひとりで車椅子に上がれないくらい疲れる。なかでも私は上りが苦手だ。腹筋がつかえないから、速いピッチで漕がないと上がっていかないし、手を止めると後ろに下がってしまうから。なんでわざわざ大変なことをって言う人もいるけれど、ただ下るよりも、上ってから下る方がずっと気持ちいい。だから、カラダのどこを動かせばいいのか、どこを鍛えたらいいのかとか、監督といっしょに考えながら、毎日毎日練習している。大会で海外の速い選手に会ったときは「どうやったら、そんなに速くなれますか」って聞いてみる。パラの選手は、みんなライバルではあるけれど、同時に頼れるお兄さんでもあり、お姉さんでもある。
少しずつ速くなってきている。その分だけ世界が近づいてくる。いまはバイアスロンにも取り組んでいて、クロスカントリーに加えて、射撃の練習をしている。だけど、やっぱり上りは苦しい。コース後半は特に。そんなとき、どこからか聞こえる声援が力になる。もうちょっと、もうちょっと。すべての力を振り絞るように、私は漕ぎつづける。ゴールが見えてくる。子どもの頃からあこがれていたパラリンピックの舞台は、もう目の前にある。

雪の中の新田のんのさん(ノルディックスキー)の写真

新田 のんの

2015年12月にシットスキーでのクロスカントリーを体験したことがキッカケで、競技に本格的に取り組みはじめ、その後、さらにバイアスロンにも挑戦。将来の夢は、美術の先生になること。

【パラスポーツを支えるパナソニック】

2014年以来、パナソニックは、国際パラリンピック委員会(IPC)とワールドワイド公式パートナー契約を締結。あらゆる人につかいやすい製品・サービスをご提供していくとともに、パラリンピックムーブメントを支援していきます。