九代目の茶畑。

茶農家

永尾 松巳・俊介

写真は茶農家、永尾 松巳さん(右)・俊介さん(左)

山間からさし込む朝日が、ゆっくり嬉野の地を染めていく。茶畑がもっとも美しく見える時間。佐賀県のなかでもこの辺りは、朝晩冷え込むことで知られている。永尾松巳は言う。「この寒暖の差が、お茶の味や香りを育むんです」。
佐賀県嬉野市。永尾家は、ここで代々茶農家を営んでいる。創業の年は定かではないが、その歴史は江戸時代まで遡る。この地で採れたお茶が海外へ輸出され、そこで得た富が幕末の志士たちを支えたという。嬉野茶の特徴は、ひとつは、そのまが玉のような形にある。一般的なお茶と違い、自然成形であるため、新芽が大きくなりすぎると、味はよくても形が悪くなりやすい。そのため摘むタイミングが大事になるのだが、ひと雨でお茶の葉はまったく違ってしまうから、非常に繊細な作業となる。「お茶づくりは毎年が挑戦。去年と同じという年はないですから。気温が違うし雨とかでも変わってくる。ちょっとずつ工夫をしてみるけど、お茶づくりには、これでいいっていうのはないんですよ」。
いま、となりには九代目の俊介がいる。だんだんと茶農家らしくなってきた息子を見ながら思うことがある。「受け継いできた土地があって、茶の樹があったから、息子に『継げ』って言ってきました。だから、ちゃんとバトンを渡すまでは、コイツが家族を持って、メシ喰えるようになるまでは、やらないとって思います。バトンを持って走る間は、責任があるからね」。父と働き始めて6年目になる俊介は言う。「九代目ってことは、初代がいて、二代目がいて、正にリレーですよね。やっぱり、つないでいかなきゃダメだなって思います。そして嬉野のお茶をもっとたくさんの人に『うまか』って言ってもらえるようにしていきたいです」。
新しく拓いた畑で、去年からやっとお茶が採れるようになった。九代目がつくった苗で、4年かけて育てた畑だ。初めて植えた品種を、初めて採って、初めて飲んだとき、二人は顔を見合わせて言った。「うまかね」。嬉野の地に、新しい風が吹き始めていた。

写真は茶農家、永尾 松巳さん(右)・俊介さん(左)

永尾 松巳(写真 右)・俊介(写真 左)

佐賀県嬉野市で、代々茶農家を営む永尾家。栽培だけでなく、お茶の葉をお茶にする製茶まで、一貫してお茶づくりに携わる。

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